はじめてのふゆ



「…本当に、どういうことなんですか。




 ここが私の家っていうことはなんとなくわかりました。

 でもそれ以外はまるで知らされていません。

 

 もう少しだけ詳しく説明したらどうですか」




今までの疑問と恐怖が怒りへと変換され、

それをよりによって冬真さんにぶつけてしまった。




やってしまった。



彼は私のことを知る重要な人なのに。




しかし、当の本人は日常茶飯事のように軽く受け流す。

まるで台本があるみたいに。




『あなたは、ふゆになるときおくがとおくへいってしまいます。

 だから、ぼくはかりんさんにふゆをおしえます。



 それに、ぼくたちはとってもおともだち ということをしらせましたよ』




この口調に少しだけイラッとしたし、同時に安心もした。


いつも聞いている、ゆったりとした、大好きな声。




知らない人なのに、懐かしく思ってしまうと言うのは

いやでも私が記憶をなくす前からこの人のそばにいたと言う事を突きつける。

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