はじめてのふゆ



『んー、やっぱりみたほうがはやいですね』



そう言って冬真さんはベッドの近くにあったカーテンを開けた。

淡い水色のカーテンが軽い音を立てて横に流れていった。



そこにあったのは、蓋の黒い大きい窓。



『かりんさん、こっちにきて、

 そとをのぞいてみてください。』



窓のそばに立った冬真さんがこちらを振り向いてそう言った。





なるほど、外を見るとわかるということは生物のことなのかもしれない。

この時間にだけ現れる生物が珍しいから私に教えたいのだろう。




どんなものだろう。


大きくて可愛い猫のようなものなのかもしれないし、

小さくてきれいなピンク色のお花なのかもしれない。




少し期待を胸にひめ、私はそろそろと窓へと向かった。




好奇心がここまで膨れ上がったのはいつぶりだろうか。


こんなにウキウキしている私を見て冬真さんはいいことを思いついたようだ。




『じゃあ、ぼくがいいっていうまで

 めをひらいちゃダメですよ?』



聞き返す暇もなくいつの間にか私の右斜め後ろに立っていた冬真さんに俗に言う手で目隠しをされた。





少しだけまっすぐ歩いていくとどんどん気温が下がっていくのが感じられる。


それでも恐怖より好奇心の方が勝っている。




『はい、ここがまどですよ〜

 いいですか?てをはなしますよ?』



窓の淵に手をかけ、ゆっくりと目を開ける。この世界で初めて外を見た。


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