第3話
『…奥さん役になってって
言って欲しい。』
『ごめん…
言えない。
今の奥さん役
真っ暗ん中
入れさせるなんて出来ない。』
『何処に戻ってくか
知ってるよね.
主がいない配役が…
自分らが…
何にもない
なーにもない所に
ただただ戻ってくことをさ.
じゃあさ…
じゃあ、
僕はいいのかよ。
そこに帰って行くんだよ?』
『あなた
一人称どれにすんだよ。』
『あれこれさせといて
勝手に言うなよ…
誤魔化さないで.
ただ言ってくれるだけでいいから…』
『言えない。
守れない事なんて
言うつもりなんかない。』
『言うだけタダなんでしょ?』
『それで
言葉放って、
あなたを傷つけていい事にはならないから.』
『勇気出して言っても…
欲しい言葉すら
くれないのか。
傷つけるくらいの言葉があればっ!
こんなとこから
抜け出せるのに。
変な優しさとか
いらんのに…』
『だって言った後に、
主がいないあなたは
あの真っ暗闇へ
帰っていかんと
いかんでしょ。
口先だけの言葉が
何の意味を持つのか。
何を言ったって,
何をしたって,
どーせ俺が出来る事はないのに.
あなたが言った事を…
あなたが言った意味を…
考え続ける.
これで許してよ.』
『あぁ…
うん。
もういい。
分かった。
髪いつ
ほどいたっけ.
ツインテールじゃない.』
『鏡来る前
あいつがほどいてたじゃん.
今日の収集品.
記録として手元に残るんだ.』
『何それ,
ゲスい.
全部残らず
一切合切ばれてしまえ.』
『どんな呪い?
ばれたら
マジで大事だよ.
はー…
ただ興じるしかねーんだよ.
楽しむしか.
いー加減分かれよ.
ね?
腰が括れてて
いいね.』
『指輪してないじゃん.』
『えっ?
俺の指見てんの.
いっつも
シリアス持ってくんよね.
頭かてーよ.
まぁ指輪は…
手洗い必須だったり,
傷付けちゃならん職業人は
外してる事多いよ.
あまり,判断になんねーよ.』
『どこに入れてるの?』
『刺さってんの見えんじゃん.』
『あほか.
指輪だよ.』
『あほじゃねぇ,
ボケるのも許さんのか.
えーっと小銭入れ.』
『全部ぶちまけてしまえ.』
『色々と
それ大事になるから…』
『いつ着けるの?』
『家のドアが見えてから.』
『そうなんだ.』
『ピンポン押して,
ただいまーって言ったら,
おかえりーって
嫁と娘が
ぶっ飛んでくる.』
『ふーん.
良かったね.』
『全部,嫁役曰く
知ってるみたいだけどね.
表面上は仲良く出来てる.
知ってる事を知らないし.
でも,娘も
俺の子か分からんみたいだし,
ちょうど良く
合ってるんだろ.』
『おぉ…
修羅ってんね.』
『だろー.』
『じゃあ
嫁役は僕でもいいじゃん.』
『だから…
じゃあそうしますなんて
言えないんだって…
言ってんだろ.
仮にも
俺あの人支える役なんだから.
責任はあるんだよ.』
『責任ねぇ…
どの口が.』
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