第5話 5回目
さらに生まれ変わってしまった僕は
山に籠ることにした。
もう何もかもに疲れてしまった。
誰もが来ることが難しい場所、
道に迷いそうな場所を選んだ。
僕の部屋は大人3人が寝るスペース程度で
そこには布団と食器とアコースティックギターがあるだけだ。
僕は好きな事だけして、
たまに瞑想をしてる。
好きなことは
アコースティックギターを弾く事。
そして、
仏陀のように瞑想すること。
悟りなんか全然開けないけどね。
仏陀凄いよね。
悟りカッコイイよね。
この世界に二度と生まれ変わらない為に
執着を消し去る。
死ぬ時に執着していると
生まれ変わってしまう。
悟りとかカッコいいわ。
(カッコいいとか思っている時点で悟りから遠いね……)
今、僕の前世たちを思い返すと
逆計算をしてがむしゃらに生きた時もあった。
これはこれで良かった。
意識高い系ってやつ?
でも体力的な問題もあり、
難しくなることがある。
病気をして難しくなったり、
所属している会社が倒産したり。
そもそも、マーケットが無くなったり。
急に変なウイルスが現れたりさ。
色々あるんだよ。
生きていると。
自分の力だけではどうにもならないこと。
努力だけでは乗り越えられないこと。
だから
必ず夢を持つとか
無理に背負わなくていいんじゃない?
もちろんやりたい人はやれば良い。
否定しないよ。
それぞれの生き方だからね。
でも夢を持たなきゃ、夢を持たなきゃと
焦る必要も無いという事。
自分も夢を落ち、逆算して
叶えたことがあるし、
喜びもあった。
しかし、
それは長続きしないかな。
追いかけている時の方がワクワクして
喜びの後は燃え尽き症候群的なものも経験した。
空白期間があいて
気づいたら次のやりたいことが出てきたりして
また同じ繰り返し。
ごめんね。
はっきり言うとさ、
それらに意味は無い。
私はこの為に生まれてきたと
意味をつけたければつけて納得すれば良い。
人生を生きていく上で納得感って重要だとも思うから。
やり切った感、後悔しない感じは大事だよね。
今の僕は、
食事する、寝る、そして趣味。
これだけで十分。
当然、悟りを開くことも別に出来ていないけど、
無常を理解出来るようにとは思っている。
止めどなく流れていく、
この世界は変化していくんだ。
自分の身体も一秒一秒年老いているように。
考えすぎて
疲れたら寝る。
山にいるから誰にも比較されないし、
出世競争もないし、
だらしないとも言われない。
アコースティックギター弾いて
マスターベーションして
飯食って、瞑想して寝る。
これが正しいという訳じゃないけど
転生しまくって
僕はここに落ち着いたって感じかな。
逃げているだけじゃないかって?
ごめん。
何から?
世間から?
そもそも逃げたらダメ?
そもそも正解って何?
何が絶対的な正解なの?
自然破壊して
人間が生き延びることに、
増殖して、生き延びることに
何の意味があるの?
ただの遺伝子のプログラムでしょ。
宇宙から覗いてみてよ。
はるかかなたの銀河を想像してみて。
人間が持つ、ちっさいプライドも必要無い。
今、常識とされているのは
複数人で作った正解の顔をした幻想だ。
そんなんで
何で生きてるのって?
僕はただ生きている。
言い換えるならば
死んでいる途中です。
ねぇ、君はどう生きている?
良いんだよ。
好きに生きて。
社会貢献とか寄付とか
役に立とうとか無理に考えなくて良いよ。
何かをこの世に残したいとか
爪痕を残したいとかもね。
もちろん、
やりたければやれば良い
自由だからね。
そういう人がいるのが
多様性だしね。
誰かの期待に応える必要とか
考えなくても良いよ。
考えても良いけど。
自由だからね。
結局、
どちらでも良いんだよ。
プラスとマイナスは同じ数になるのだから。
良い事と悪い事は同じ数になるのだから。
何故なら、
我々人間の脳で生み出した
ただの認識なのだから。
まぁ、シンプルに深呼吸して
ただ生きようぜ。
そうは言ってもなかなか出来ない?
まぁ、それも分かるよ。。
しがらみとかね。
でも、
ちょっとだけやってみない?
わがままに。
良い、悪い両面あるよ?
そりゃ人間の脳が作り出した意識だからね。
結局、プラスマイナスは同じ数になるからね。
大犯罪が起きたら
それに対して法律が出来たりさ、
戦争したら
ネット技術や医療技術が発達したりさ。
確かにさ、
酔っぱらってるくらいじゃないと
この世界は生きていけないよね。
この過酷な残酷な世界は。
苦しみの分、同じ分だけ光はあるんだけど、
まぁ……
見えにくいよね。
時に、
変に自信過剰になったりもあるけどね。
俺は凄いみたいなね。
バイアス、思い込める機能。
ありがとう。
だから人類は生き残ったのか。
自分は平均以上の人間だと時に錯覚出来たりさ。
思い込める、脳の省エネ機能に乾杯。
人が生きる意味は無い。
地球がある意味も無い。
宇宙がある意味も無い。
だから、
酔っぱらって生きて
意味を見出して理由付けして
納得しないと生きていけない。
意味をつけても
プラスマイナスの両面が同じ数あるだけ。
最後に残るものは?
そう。
チョイスだけ。
何を選ぶかだけ。
でもね。。。
未来、
いずれ宇宙も無くなるんだけど。
生命は増えたがる、
そして、戦争を繰り返す。
人類の終わりは宇宙が終わる前に
勝手に自滅かも知れないね。
そうそう、
一つ伝えておくと、
優秀な遺伝子なんてものは無いよ。
現時点では優秀とされる遺伝子も
条件が変われば分からないのよ。
だからあらゆる遺伝パターン、多様性が必要なわけ。
今、優秀だと考えられる遺伝子だけ残しても難しい。
人類が長く生き延びる為には
多様性が必要だからね。
あらゆる遺伝子のミックスで変異が起きる。
まぁ、
そもそもこの生存競争に意味はないし、
人類が向かう先とか、
人類はどこに向かうとか
そういった類の問いに意味は無い。
そもそも、錯覚なのだからね。
あと、
複数回転生して思ったことも書いておくと、
やはり、
野球を職業にするとか、数学者になるとか、
特殊系の仕事をするには
特に生まれた時に備わっている才能は重要かな。
(どんな仕事にも才能は必要だけど特にって意味ね)
人間、いや、生物は配られたカードで勝負するしかないからね。
これはライオンでも鹿でもね。
一回目のブサイクで頭悪かった時と
天才数学者だった時、
明らかに頭の回転速度が違ったのよ。
プロ野球選手になった時も
明らかに筋力が違った。
体験してみて、
これ、
努力だけじゃ無理だぞって思った。
努力も重要なんだけど、
そもそもの配られたカード、遺伝子、才能が重要。
病気になるならないも
皆同じスタートラインじゃない。
遺伝子によってなりやすい病気とかもあるんよ。
かと言って、
別に何が優秀な遺伝子って話ではないよ。
野球が無い時代に生まれたりすれば
役に立たない能力になったりするしね。
今優秀じゃないとされている人も、
今、死にやすい状況にある人も、
氷河期にはめちゃくちゃ活躍したりする遺伝子かも知れないし。
運とかある訳よ。
そう運だよ。
ガチャだよ。
理不尽じゃない?
過酷過ぎない?
不条理な世界、
酔っぱらって励まし合っていくしかなくない?
プラスマイナスあるとしても
心から納得出来ないこともあるよね。
人間だもの。
分かるよ。
でも大丈夫だよ。
いずれ何もかも宇宙まるごと消えるんだから。
苦しみも幸せも必ず終わりがあるんだ。
そして、
転生先も無くなる。
そう考えると悟りを開く必要も無いのかも知れないね。
ただ、生きて、
選んで、最後は死ぬ。
それだけ。
そのうち宇宙が終わりを迎え、
転生する世界さえ終わる。
結局、実は最初から何も存在すらしていなかったのかも知れないけれど。
認識がある今は
ただ死んでいる途中であるということ。
あー、
でも、
でもさ、
やっぱり悟りを開いてみたい。
宇宙が早く無くならなければ
僕はまた生まれ変わってしまう。
宇宙が終わるまで待ってられないから先に悟って
生まれ変われなくしたい。
死ぬ瞬間に執着があると生まれ変わってしまう。
この世界に未練があるとダメなんだよ。
この無限ループを断ち切りたい。
よし、
3年。
3年だけ真剣に修行してみようかな。
そこから僕は
3年間、ひたすら瞑想を繰り返した。
マインドフルネス
マインドフルネス
マインドフルネス
毎日、毎日、毎日、
瞑想をし、無常を感じた。
来る日も来る日も、
実体は無い、全てあるようでないようなもの。
無常を体感した。
季節を感じ、
春夏秋冬と変化を感じ、
自分の肌を見てしっかり衰えも感じた。
髪の毛を見て
白髪を見る度に止まることが無い
この変化を受け入れた。
ある夏の日のことだった、
何かふっと抜けた感じがあった。
やっと辿りついた感じがあった。
見えた。
それと、
ごめん。
これにオチは無いからね。
起承転結も無い。
だってエンターテイメントではないのだから。
もうそれは沢山の天才作家がやって
出し尽くしている。
主人公がピンチになって、
何とか克服して目標を達成したり、
あえてバッドエンドで残酷にしたり。
途中で仲間が死んだり、
恋愛したり……。
だから、
転生しまくってる僕がそれを今ここで
人類共通の感動のツボを押さえて
フリと落ちを考えて書く必要が無い。
さてと……
木漏れ日を感じながら
今、ここでそろそろ筆を置くとしよう。
コンコン……
何やらドアをノックする音がする。
ん?
誰だろう。
こんな山奥に人が来たことなんて
初めてだ。
僕はドアを開けた。
目の前には18歳~20歳くらいの
綺麗な色白の女性が立っていた。
とても綺麗な顔立ちだ。
目は綺麗な二重だ。
胸はDカップくらいだろうか。
香水だろうか。
とても色気のある香りがする。
僕は彼女に向かって
問いかけた。
「はい?どちらさまですか?」
「あの~、私、道に迷ってしまって、
もう日が暮れてきて、帰れなくなってしまって
そんな時にこちらの小屋を見つけて……」
彼女は綺麗な歯並びを見せて、少し泣きそうな顔で
僕に言った。
「そうでしたか。この辺り道に迷ってしまう方が多いですからね。
もし良ければ、綺麗な所では無いですが、中に入ってお休み下さい」
「ありがとうございます。
本当に良いんですか。迷惑では無いですか?」
「大丈夫ですよ」
彼女は僕の”小屋”に入ると、
「物が少ないですね」
と言った。
「はい、ただ、ただ、一人きりで、
シンプルな生活を好んで生きています。
毎日瞑想して、心穏やかにして」
「そうなんですね。悟りを開いていらっしゃるんですね。すごいです」
彼女は綺麗に澄んだ空のような眼差しで僕を見ている。
その女の綺麗な瞳を見ると直ぐに
僕の股間は脈打ち、過去一番に硬くなり、
天に向かって強く、強く、強く
勃起した。
転生日記~5回転生したから日記書いてみた~ 水妃 @mizuki999
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