第201話―悪夢のコスプレ会end―
どうにか三人たちを落ち着かせた。そして
「来たよ東洋お兄ちゃん。こんにちは」
「こんにちは。
今日は何をしに訪れて……なんて訊く必要は無かったよね」
予定がない日にはこうして遊びに来てくる。前に聞いた話では友達は大勢いると自慢していた。そこから考慮して休日に遊びに向かう頻度は必ずとは行かない。
それを差し引いてもなんだか週に一回以上は訪れたりする。さあ中へと通れるスペースを作って言うと花恋の
「はぁっ。そんなの……きく必要ありますか?
まるで私が家に来たみたいじゃないですか。
モテていると自惚れていますよね。そうだ絶対にそうだ!
勘違い甚だしい、とても困りものだよ」
「あ、ああ。誤解してしまった。
たしかに自惚れていたかも」
どこか鬼気と迫るような
冬雅にはじめ多くの容姿端麗な女の子が訪れてくるので心のどこかでそう見えたのかもしれない。そう見えているなら戒めないと。
何を戒めるか自分でもよく分からないが一人になってから意図をはかればいい。
靴を脱ぐと花恋はかがんで横にと移した。
礼儀作法にはまだ本格的に学ぶ機会が少ないはずなのにどうして正しい置き方をしているのだろう?
「今更で気にしなかったけど花恋は礼儀作法がしっかりされているね」
すると不機嫌そうに振り返る。どうして。
「ハァー、どうせ似合わないと言うつもりなんでしょう。慣れていますよ」
またかと態度。
不貞腐れる花恋に俺は慌てて返事をする。
「そういう意味じゃなくて皮肉とか裏がなくそのまま意味で。花恋を貶しているわけじゃないよ」
「うんうん。分かっています」
これ分かっていないの返しだった。どうも触れてはいけないところを踏んだ。ほぼ手探り状態ながら弁明しようとするよりもここは素直に語るしかない。
「失礼な言葉になるけど花恋はライフスタイルとか突飛で明るくて魅力的な女の子。
ときどき淑やかで品行方正。さり気ないところを垣間みせるギャップがあると気になって」
とりかく悪いはないよと伝えようとそれだけ優先したことで。発した内容が統一を考えないで述べたものは乱れていた。
ああ、また勘違いするのではと失態に嘆くと。
「も、もう十分です。ほら行きますよ」
困惑しながら振り返る。来客して靴の置き方は下駄箱によるが訪問先の間隔が大事とされる。
靴の置き場にもパーソナルスペースのようなものがあり訪問者はその家の人では無いので端に置いて距離を空けるのがいいとされる。
ななめに向いて置くことが一般的だろう。
間違いやすいのは靴の先端をドアに向けた置き方。これは上座の位置であり基本的に訪問者は下座が妥当とされる。ちょっと強引な例えになるが家主から承諾もさていないのに勝手に部屋に入るような行為にあたるだろうか。
洗面台に連れられて手を洗うのを待つ間に考察する。やはり作法の良さはペネお嬢様から指導を影で受けていたとかだろうか。
でも最初に会った時から備えていた。
謎は深まるばかりである。
(花恋の事も気になるけどなにか是が非でも止めないとならない事があったような気が。
うーん打ち忘れている)
どうも記憶を
花恋を通すことを止めないと慌てる気持ちはあれど忘失するから推測して
花恋は居室を開けた先に広がる光景に唖然となる。
「花恋が遊びに来たんだねぇ。えへへ、おはよう」
「こ、こんにちは冬雅さん……その格好は?」
「ふぁ!?こ、これはですねぇ。
うわあぁぁーーッ!!そ、そうでした。今のわたしは小学生のコスプレしていました」
リビングから出迎えに歩いてきたのは冬雅。
そしてその格好は女子大生がするにはあまりにも痛いもの、であるのだが元々が小柄でずば抜けて明るいせいか痛々しいさがない。
それどころか似合っていると言ってもいい。
女子大生が女児のコスプレが似合うなら健全にも見えるのだがそこは冬雅だ。
スカートの丈は短い。信頼のできる人だけ披露ことでスカートの先からのぞく
「とにかく落ち着いてください。
それで何をしているのですか冬雅さん」
「こんにちは。あはは、恥ずかしいところ見せてしまったねぇ。説明は不要だと思いますが……今しているのはコスプレ。
違う自分になって楽しんでいたんだよ」
「な、なるほど。そういう口実なのですねぇ」
「こ、口実ではないのだけどねぇ。それで花恋も良かったらコスプレしますか」
「わ、私もッ!?」
まさか誘われるとは思わなかったようで花恋は目を開いて足を後ろにと退く。
引いたいた彼女はケイレンするように顔だけには留まらず本能的に身体も引いていく。
「よく来てくれたねぇ花恋。
かわいい衣装がいっぱい揃っているみたいなんだ。花恋なら似合うのあるし一緒に楽しまない?」
同じく通常よりも鮮やかなデザインをした小学生の制服をした真奈が笑顔で歓迎して誘ってきた。
堂々した立ち振る舞いが痛々しい格好をする女性の理想的なスタイルなのだが余計それが目立ってしまい特殊な嗜好を楽しませるようなものになっている。さすがの花恋もめまいを覚えてふらつき壁に寄りかかる。
「きゃああぁぁーーッ。真奈様サイコーです」
黄色い声を上げてスマホの写真を撮るのは香音。少し前までは刺々しい女の子の面影はなく今や狂った人となっている。
彼女はさすがに小学生のコスプレには抵抗して着なかったが。その他に用意してあるセーラー服には興味津々であり『これ一度だけでもいいから着てみたかったんだよね』と着用。
中高生といっても大半が疑わないほど違和感がなく、誰も彼もが美少女として讃えるほどだ。
そう三人の中ではマトモなコスプレなのだ。悲しいかなアドレナリンが過剰に分泌して大興奮と膨大なその熱意には近寄り難いものが醸しだす異物感。理解に追いつかずに花恋は天井を見上げ始めた。
そして花恋は小さく言葉を口にする。
「もうめちゃくちゃだよ。
こんなバカげた光景。
まるで悪魔の……コスプレ会だ」
仰るとおりと俺は心の中で賛同するのであった。
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