第187話―天使と悪魔の太宰府天満宮4―
せっかくなので周囲を楽しもうと散策をする。
髪先を指で遊びながら香音は提案した。これから
初夏の季節で咲かして風景を飾るは風光明媚と映る風景。
ただ冬には弱くて枯れてしまう。
「真奈様には満開を魅せたかったですが、冬も案外と悪くないと思っていまして。ついでにアンタも、二人に見せたかったんですよ
独特な哀愁の
朱色の橋をのんびりと渡った先を進んでいくと開いた場所がある。わたる橋からの以外には池に囲まれる。
夏の季節であるなら白と紫の菖蒲が揃い並べる景色をみれただろう。
冬季には過ぎ去っていく物事の終わりをしずかに迎えていく様を感じざるえない。ここにいると栄枯盛衰してゆく
「落ち着いた雰囲気がありますねぇ。お兄さん!」
「ああ、そうだね」
真奈と俺は手を繋いだまま辺りの中を立ちながら儚くある景色を味わい尽くす。もう少し時期が経過すれば菖蒲で咲くだろうと想像する余地も楽しめる。
「またの機会に来ましょう次も三人で。
どうせアンタはスケジュールには困っていないんだから……そ、その時には絶対に断らず来るように……もちろん真奈様も是非お願いします!」
「決定事項にされている」
「うん、また三人で行こうねぇ」
ふむ約束を交わされるのはよろしいのですが俺は三十路のオッサンであります。なので今後は俺なんかよりも別の人を誘うように返事しよう。
いや、それどころか観光に訪れて交友を深めた言葉。だから後々になってから別に俺なんか誘わなくてもいいだろうと考えに至ることもあるはず。
「水面に映る姿キレイなここは夜間照明がありまして、より美しくなるんです。
……ここは私が幼少期に来たことある思い出のある場所。親しい人と来られるのはいいですね」
いつも罵られる毒舌な香音がお淑やかに立ち振る舞いして、いるだと……ッ!?驚きに禁じ得ないと表に出しすたせいか香音に睨まれてしまい変態など罵声を浴びることになるのだった。
――今度は初夏にでも来ようと未来の予定を交わす。海にぽつんとあるような小さな島のような形から橋を渡り菖蒲池から離れる。
そして楼門から外側まで続いている一直線の参道に到達する。分かりやすい設けた道を帰りに沿っていくのかと思いきや橋を渡らず遠回りする。
「あの、お兄さん。しばらく待ってくれませんか?」
「ああ、いいよ」
モジモジしていたし花をつみに行くのだろう。
「うん。ありがとう」
だがその予想は外れて真奈は香音に耳元でなにかを囁く。肩を隆起するようなリアクションして硬直していくのがここからでも分かる。分かりやすいぞ香音。
さて何かを伝え終えると香音はなにか言いたそうに口を開いたり閉じたりとくりかえす。
考えを変えたのか香音はやるせない感じで俺たちは離れていく。別の道に進んでしまったけど?
「お待たせ。お兄さん行きましょう
「今から渡るの!」
真奈は、手を引いて前進する。手を握るのに躊躇いがなく、まるでここが我が家だといわんばかりにと腕を伸ばしてくる。
殊更そんなことでは動揺はしないが好意をここまで持たれていると考えると鼓動が高まる。
いや今はそんな事を考えている場合では無い。
「ワタシ達が通っている橋は過去を表します。
過去と現在そして未来」
「そう、なのか」
疑問を問い掛けようとしたが先回るように真奈が解説をはじめた。仏教的な思想のある橋の上を真奈が先頭で進んで繋ぐ手を引いていく。
「それを
「なるほど、そうなのか……」
頭にはいらずに俺はここへ連れていかれることの意図がはかれず対応がやや雑になる。
それを気にしない真奈は振り返らず進んでいく。
「太鼓橋につづいて平橋《ひらばし》ラストには太鼓橋を進んでから決着つけましょう!」
「決着?」
それ以上は何も告げずに応えようとしなかった。三世一念のテーマにした橋を超えると香音が待っていた。
ここで合流かなと思いきや横切る。
まだ終わっていなく真奈は進路の邪魔にならない端の方へと案内された。足を止めると真奈が振り返ると深刻な顔で見上げていた。
そして沈黙だった口を開く。
「太宰府天満宮は俗世な噂がありまして。
カップルを縁を切る場所でもあるみたいなの」
「縁を切る場所なのか!?でも、そうか。
わざわざ橋を超えてまで縁を切るのは……真奈なりのケジメなんだね」
すると真奈は間を置いてから頷いた。
「うん。いつまでも現状維持は厳しいですからねぇ。ワタシは、お兄さんのお嫁さん候補にはなれなかった」
透明な水滴が頬を伝う。
涙を拭うことなく話を続けようとする。
「大好きだったよ……お兄さん。
フフッ、スッキリしました。これからは友達としてワタシと永遠に付き合ってくれますか」
新しく関係を構築、いや少々それは違うか。
明確化となった関係を示すための通過儀礼なのだ。
これからは友として握手を求めて手を伸ばす。
「ああ、もちろんだとも真奈」
恋愛関係は断たないといけなかっただろう。
それがこんな形となり真奈がそう選択を決断した。
なら俺は誠意と感謝で応えるのが今できる精一杯。
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