第172話―サファイア姉妹と使用人ケルンの大聖堂五の巻―
ケルン大聖堂の南門。NPC、プレイヤーの管理のないゲーム内の人物で定めた行動パターンやセリフのみを指す。
リアリティ近づいたバーチャル内にからだと範囲内に楽しませるために活動される。
近づこうにもボヤけた顔、まるで完璧なほど風景に溶け込んでいる。いくら他人は関心がなくても希薄でも街や信号機のように風景の一つとして見れても一部。この全体で風景として存在されると仮想空間にいることを如実に感じた。
「外観を裏切る……この無骨感。
ペネお嬢様は右足を突き出すように前にする。そのまま膝を曲げると右手を置くという前傾、まるで昔のドラマみたいなポージングだ。
「わぁー。絵の中にいるみたいだァァ」
キラキラと星のように目を散らばかせる妹君は内部を見回していた。
「なるほど。ここが内部ですか……」
氷のように表情を纏っていたメイドさんも一瞬だけ纏っていた威厳を忘れて目を見開いて感嘆の声。
どちらもベクトルが若干の違いはあれど感動していることだけは同じだった。
視線だけを向けて見ていた。これは長くなるかなと三者三葉な彼女たちから少し離れて俺は構造を見ようと決めた。さすがペネお嬢様が発言された無骨感という表現は乱暴すぎると苦笑、実用的な作りをされているなあと感想が心に呟く。
どこまでも上が続いている螺旋階段のある前まで歩いて寄ってみたら一段から三段の上には円盤が設置されていた。
「これは」
「お目に高いぜよ。お兄様それは昇降盤ですわね。ゲームで見たことある馴染み深い道具」
矯めつ眇めつ円形を見ていたら後ろからペネお嬢様が説明された。しょう、こう、ばん……いわゆる下だけ取り外されて床だけとなったエレベーターのような形をしたもの。
「これを乗れるのですか。
俺は構わないのですが設置される昇降盤の形状から不安要素があるかと思われます」
「山脇東洋それは出過ぎた発言ですよ」
し、しまった。たしかにフレンドに接することを認可されているとはいえ失礼な振る舞いの許可では決してない。信用しているからの砕いた言葉を使うことを許された。
散々そう説明されていたのに、ぶしつけな振る舞いだった。グレイスさんが叱責するのは当然。
「それがしは別に気にしていないでござるよ。
そこにある昇降盤の安全性でしたら心配ご無用。
「疑問お答えくれて感謝いたします。
……それで。ペネお嬢様がそこまで強く言うなら、そうなのですね。それじゃあ乗って上がるのですか」
「モチのロン!」
豊満な胸を叩いて、朗らかと笑うペネお嬢様。
「お兄さま心配しなくともサファイアの次女わたくしがついていますから安心して」
袖を掴んで励ましてくれるサファイア家の次女。まさか、こんな小さい子に背中を押すとはと俺は何度目かの曖昧な笑みで返すのだった。
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