第129話―閉ざされた世界と心2―
こんな大胆な事しなくても頼んだら承諾するのにと思いながら手を動かす。
「東洋お兄ちゃんに先ずやってもらいたいことがある……あの黒い物体をなんとかしてください!」
「黒い物体?ああ、この時期に活性化するあの生き物か。了解した!」
すぐに
そのあと不死川さんの散乱とした居間を片付けは順調に進んでいき終わりが迎えてくる。
よし、これで終わるぞと鼓舞した瞬間、ドアチャイムが鳴り響いた。
つい、いつものように開けに行こうとしたが
ここは不死川さんの自宅であると思い及ぶ。
「あっ、私が出るから引きこもりと東洋お兄ちゃんは作業を続けていて」
「ちょっと、引きこもりじゃないけどッ!?
ここボクの家だからボクが出るからね」
それぞれ思いやって譲ることをしない特性のある二人が競うように走っていた。
Jkさんのこうした平穏を見ていると善き
すぐ戻ってきた二人。後ろに新たに追加メンバーの二人が列をなすようにして出入口をくぐり入る。
「あっ、やっぱり兄がいる。
それで腑に落ちたよ。うん、二人の様子がいつもよりも高めなのが薄々とそうなのかと感じていましたから」
腕を組みながら現れたのは現役アイドルの
可愛さを引き出すためなのかフリル多めである。
「おやまあ。お兄様が来ていらっしゃたのですね。フフ、やはりでしょうか。
わたくし達より優先して頼られるのは実に
お二人の中には杖とも柱とも頼むぐらいに好かれておられるからですわね」
お淑やかに微笑んで最後に現れたのはペネロペ・レード・サファイアお嬢様である。
ここへ来られたのは時代劇の影響とアニメなどで日本へ住まわれている女子高生さんだ。
つややかで眩しく輝いている金髪ストレート。サファイアの名をこれ以上に相応しいとも頷ける蒼い瞳、そんな俗世間とは一見すれば無縁そうとも思える彼女かいるのは花恋と非常に仲の良い間柄になる。
あとから訪れてきた二人を見ても俺は驚かず心中でこうなることを予想していた。
来ることを花恋が教えてもらわなくても彼女なら誘ってもおかしくなかった。
「あのサファイアお一つお伺いしたいのですが杖とも柱とも頼まれるという
その場で足を止め振り返る猫塚さん、手を挙げて知らないことわざを素直に尋ねた。
「はい、はーい私も気になっていた」
あとに続いて挙手して好奇心の花恋。
ちなみに不死川さんは会話を始めようとする三人の輪から離れると俺の近く寄る。
そこから会話を眺めるようだ。
出来れば掃除を再開してもらいたいのだけどなあと俺は苦笑をついこぼす。
「そうですわね。
杖とも柱とも頼む……それはですね非常に頼りにするという意味ですわね。
ですので!わたくしの観点から述べますと妄信的なのは好きだからと思いましたわ」
「えっ!?ということは好意があるから最優先にしたことなの。もしそうだとしたら強敵かも……。
そうなの花恋?」
またそんな滅茶苦茶な理屈をと俺は呆れていたが隣で聞いていた猫塚さんが驚愕。
前にいる花恋におそるおそると尋ねると。
「ち、違うに決まっているでしょう!。
なにをそんな馬鹿なことがあるわけから、考えすぎだから。
いつものサファイア血迷いすぎな発言だからね」
「そ、そうだ!カナカナそうでもボクは違うからな。そんなの巻き込まれないでよ。
なら言うけど。というか兄ちゃんに恋愛感情を持っているのって三人でしょう?」
否定しては暴露するという連鎖が立て続けに起きてしまい混沌がこの場を支配した。
ここに俺がいることを皆さんは、お忘れなのかなと問い掛けたいが我慢。これを押し通せるとはおもえないが俺はその場のしのぎとして何も聞いていない体で掃除を一言も口にはせず動かす。
そして、この混沌の坩堝と化した空間が崩壊したのは三十分後であった。
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