第19話―究極アグリーメント3―

これを機にいつもよりも賑やかと化した冬雅と真奈をなだめる。


「我慢していましたけど、お兄さん大好きだよ。ワタシが宇宙一と愛していると自信が胸の内にあるから!」


感化されし才媛さいえんエンジェル

真奈は顔を熟したトマトのような赤々となって叫んで告白する。


「お兄ちゃん大好き!えへへ。楽しいしドキドキしますねぇ。もう大人なのでこれから堂々と公衆の場にだって叫び放題だよ」


常識として在るべき部品を置いていた冬雅は今日もとんでもない発言をする。

日に日に、悪化している。公衆の場で盛り上がるのは痴女ちじょの発想だよ。


「女神さま天使さま、どうか荒波ほどある情に呑まれずしずまりたまえ」


そして俺も感化されていた。なぜか、おかしなベクトルに影響を受けて祈りをして。

冷静になってから周囲を見渡したら人という者が一人もいなかった。どうやら完全に頭のおかしい奴と思われたようですね。


「君たち、そこでなにをしている!」


警備員らしき方が走ってきて、こっぴどく怒られるのでした。まさかこの歳で成人式で騒いで怒られるとは去年の俺はこんなこと起きるなんて想像もしなかっただろうなぁ。


「ハァー、いいかい二人とも。騒いでもいいが迷惑にならないように。それじゃぁ写真を撮ろうか」


この日のためにカメラ、とは金欠の縛りから新しいのは購入が出来なかったので以前に使っていた旧式のカメラ。促すと二人は嬉しそうに返事をするのであった。

一緒に写真を撮ろうと要求に応えて、何枚か写真を撮ることになり思ったよりも疲れて大変だった。


「えへへ、ありがとう。お兄ちゃん」


ホールを背にして三人で写真を収める。


「どういたしまして。俺も老いたな、もう疲れてきた」


「あの…わたしと真奈そろそろ告白の返事を聞きたいなぁ」


「ああ…もう長引かせるわけにはいかないからね」


先まで浮かれていた二人は顔を固くなる。

真剣な表情となった顔色の裏には不安や期待ない混ざっていると感じた。


「この長くて続けてきた関係を変えない時が来た。……コホン。人生を最後まで居て欲しいと願うのは」


「「………」」


果たしてアルバムの中の一つとして飾られるべき成人式に、返事してよいものだろうか。


「返事は後日までに!」


と応えるのであった。

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