第18話―究極アグリーメント2―

いつもの外出する衣装を着替えて家を出る。冬雅と真奈の告白されて、ずっと保留してきた返事をこの日が訪れたら応えると約束していた。ただ…この約束は彼女たちが積極的にならないよう俺なりの対応策で

人を好きになるのは長くて3年まで。

彼女たちがJkに告白され冷めるなら冷静化になるのは成人式と読んで口約束をしたのだ。

その狙いは大いにはずれてしまい二人の想いは、止めどもなくふくらむ一方。


(慣れない恋愛感情の暴走だと思っていたんだが…読み間違いをしていた。

そのうち俺も惹かれてしまった。選ぶこと事態に烏滸おこがましく傲慢ごうまんだ。

それに祝福の記念すらべき場で真奈にそんな残酷なことを……)


決心していた答えが正解なのか?最善を尽くされた返事なのかと混乱の坩堝るつぼに陥るのであった。

視線を落としてスマホの地図アプリに従いながら、たどり着いた成人式を開催される前。

もちろん一旦、足を止めてから地図アプリを確認している。ながらスマホは危険なので辞めるべき。基本的に人はマルチタスクが

苦手として作られている。スーパーマルチタスカと呼ばれる人種もいるが、それは2パーセントほどしか存在していない。


(後は冬雅たちが出てくるのを待つだけだな。それにしても着る服を間違えてしまった)


辺りを見渡すと参加者の保護者らしき人が俺と同じく待っているのだろう。

その方々たちは身を纏われるはスーツや着物など、まるで自分が参加するような気合いぶりの人も見当たる。


(せめてフォーマルスーツでも着るんだった)


今ここで後悔しても遅し。ラフな格好しているとはいえ周りは奇異な視線を送ることはなかった。たぶん、向かいにいる参加者の兄とか思われているのだろうか。

とても緊張する。時間をスマホなどで潰すことにした。

そして某ホール内の奥から賑やかな声が聴こえてくる。瞥見べっけんして出入り口に出ていく新成人さんのご姿を散見。

も、もう終わったんだね。地図アプリと格闘して着いたからギリギリだったのかもしれない。とりあえず冬雅と真奈を探さねばと目を走る。いない、いない、いない…いた!?

と声にせず心で叫ぶ。


(手、手が震えて脳も震えるようだ……

いやいや、これだと某ロマネコンティさんになるじゃないか。狙っていないボケをした)


晴れ姿をこの目にした俺は何故か異様なテンションになる。ホントー、保護者でも恋人でもないのにどうしてだろう?

ともあれ俺は2人に気づけるように手を振ってみせるが気づいてくれない――と、思ったが真奈が右を向くと目が合う。

ふむ、すごい気づいてくれたのか。さすが真奈だな。略して、さすマナ。

気づいた真奈は一緒に歩いている友人に何か言葉を発して冬雅も俺に気づく。少々落ち込んでいるような気がする。

二人はひしめくほどある往来の中をかき分けて進んで抜けると俺のところまで寄るのだった。


「二人ともお疲れ様」


という二人に対して労いの言葉を送る。どうしてか?うようにして歩き進んでいくのを見ているとヒヨコが頑張って抜け切ったような感動を覚えたからであるのです!


「えぇー、お兄ちゃんここは祝福の言葉じゃないのですか!?まさか労いの言葉だなんて……これもいいですが」


さすが冬雅。太陽が割れるような神々しさのある笑顔を放っている。この比喩表現はなにを言いたいのか俺も分からない。

ともあれ、これもいいというのが彼女らしい。なにをと尋ねたら下ネタが返ってくるかもしれないので訊かないが。


「そんな心配くてもワタシもう小さくありませんよ、お兄さん。…手を」


幸せそうに微笑む真奈。ふ、ふむ彼女らしいです。ヒヨコところまで心を読んでいるとは思えないが本当に彼女は完璧なほど読心術でも身につけているのかな?

そういって彼女の袖から覗くのは粉雪のような真っ白な左手、伸ばされた手は何かを求めている。常にしていることに言葉はかなり、端折られている。


「ああ、少し待っててくれ」


俺はポケットから携帯用のウエットティッシュを取り出して1枚を真奈に手渡す。


「ありがとう、お兄さん」


それで手を清潔してから手袋を付けると真奈は俺の手をギューっと握る。

横に回って並んで立った真奈は足が地についていないような浮遊感にいるか欣喜雀躍きんきじゃくやくとなっている。まるで、こうしていることがワタシの居場所または家だと主張しているようだ。


「ま、また真奈さも当たり前のようにスゴイことを……お、お兄ちゃん!」


おののいている冬雅よ。貴方がそれを言うのですかと内心ツッコミを入れる。

おそらく、この展開は冬雅も手を握ろうとする。促される前にウエットティッシュを手渡すことにした。どうやらこの先読みは当たりのようで受け取ると拭く。

深呼吸を始めてから冬雅は目を閉じて、ポケットに手を入れる。


「あれ?無い…」


どうやら手袋は持参していないようだ。


(やっぱり手を繋ごうとしていたか)


さっきまで緊張していたのだが嘘のように霧散していく。俺もこのやりとりに癒されて落ち着きを感じているようだ。


「なら、ここは峰島冬雅らしく…聞いてください!お兄ちゃん大好きだよ!!

わたしがお兄ちゃんのためなら全部を捧げようと強い想っているよ!」


声高に冬雅は、ためらいもなく告白を愛を叫ぶのであった。


「ふ、冬雅ここで告白を叫ぶのは……」


勇ましいことは良いことだ。だけどね、まさか成人式を催すホール前で告白なんてするとは思わなかったよ!!

案の定、皆さんの注目の的になりました。

やったねぇ(涙)。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る