第15話―警察マナヅメ〜真奈女子の逆襲〜―

雪催ゆきもよいの空。

時間は昼前だと分かっていても真っ白に垂れ込む空が時間を伝えようとしない。

そんな冬季を神社を向かっていく道すがらに、よく身に染みて感じるは厳寒げんかんの候。


「フフっ。待ち伏せするなんて。

でもワタシ気持ち分かるなぁ…きっと嫉妬していたんでしょうねぇ。

お兄さんと冬雅の二人にさせるの不安で仕方なかったと抱いていたでは無いかな?」


そんな寒くて凍えそうなほどの外であっても真奈はホカホカな暖かい笑顔で応えた。

冬雅と花恋で参拝してきたことを出来事を俺は真奈に道を進みながら語っていた。

本当に色々とあった。安産祈願など、いつかしたい等と冬雅がそんな夢(妄想)を平然と口にしてから花恋が真っ赤になったりと

エピソードがあった。

もう、あんな具体的にもほどがある生々しい妄想を聞いて。花恋が帰宅したら冬雅に後で怒ろうとは思ってはいるがまだ叱咤

していない。

もちろん真奈に話した内容に過激な出来事は避けるぐらいのコンプライアンス的にアウトなエピソードは避けて使っています。


「叱咤か…えっ!?しっと」


「うん。お兄さんと――えーと……

つ、付き合う以前!

今のような関係性を築いて固定化する以前には嫉妬のような感情をワタシそれ認めたくなくて開き直るみたいに怒りをぶつけていたんだと思うのです。

いわゆる好きな子に嫌がらせする心理と似ていると思います」


嫉妬していたことをサラと言い出した。付き合う以前という言葉をするのに語調は強い。

天然な美少女である真奈は、意図的に言うのとそうではない線があって判断しにくい。

本人が語っているから好きということを真奈は分かって言っているのかいないかを。

少なくとも雪をあざむく肌には朱色に染まっていることから告白めいた語りの線は強いと思います!

高揚してか、いつもよりも真奈は饒舌じょうぜつだ。


「そ、そうかもしれないね。

でも最後のたとえは何か違くないかな?」


普通は男の子がするものだと思うけど、あの心理は。

一方的な好意を嫌がらせをするのは相手の立場になって考えることに出来なくて知らない接し方を無理に起こして怒らせるか心に傷つくかのパターンだけど。


「うーん、そうなると。先の話からお兄さんと二人きりになるのが難そうかな」


「それは知り合いにバッタリ会う可能性があると?」


「高確率で起きると思う」


とは言っても偶然に出会う可能性はあまりあるとは思えない。

正月から参拝するのは至って普通ではあるかもしれないが長居しようとする人は少ないと思う。警戒が緩めているとはいえコロナでは

あるから無意味に留まろうとしないよう心のどこかにあるはずで出ようとして動く。

そのおもんばかること出来る知り合いがほとんど。それに向かう場所まで伝えていないので知り合いと出会う可能性は限りなくゼロに近いはず。

内ポケットからスマホの着信音が振動と共に報せる。


「花恋かな」


「花恋のあだ名カナカナいいかも!」


俺がした言葉にカナカナと呼ぼうかと検討し始めた真奈を聞かなかったこと、他所目にして取り出してスマホ画面をタップして見ると相手は羽柴香音はしばかのんだった。


『不審者を発見。ただちにこれを捕獲し、

尋問をかけているところ。アンタも早くここに来て。右の後ろ二つ狭い通路』


「……噂をすれば影」


知り合いに出くわさないと言っておきながらキレイなぐらいに覆された瞬間だった。


「お兄さん?」


俺がおかしな反応したことに不思議そうにした真奈は画面を覗いてメッセージ内容を見る。どういうことだりうと真奈は首を傾げて俺に説明を求めたが、言えることは不審者がいたこと。

とりあえず香音だけだと危険なので指示された狭い通路に真奈と向かうのだった。

書かれていた二つ路地に曲がり通ると香音の姿があった。そして不審者と報告があった

人物――涙目になって震え上がる田中兼三郎たなかかねさぶろうくんの存在。


「田中…兼三郎くんじゃないか!?

君が不審者なのか?」


「そうです。マナ時間乱用をした変態野郎」


相変わらず口が悪すぎると思いながらも慣れ親しんだ罵声に苦笑をこぼす。

羽柴香音は鬼の形相して兼三郎くんを睨んでいる。


「怖いよね!?ごめんなさい、ごめんなさい。誤解なんです!たまたま聖女が変な人と楽しく話し合っていたので…不安で後をつけていただけなんです」


ふむ、その変な人とは俺のことですね。

そうか…俺は変な人だったのか………。


「はあっ?なにが変な人。もう一度その汚い口で言ってみなさい」


ドン。憤怒の香音は壁に追い詰められた兼三郎くんの威嚇するよう当たるギリギリに壁を蹴った。


「……」


人は恐れおののくと言葉を失うものらしい。

助けてほしいと懇願を込めた瞳で求められて無視するわけにはいかない。


「その、香音。彼は俺の知り合いなんだ。

解放してくれないかな?」


「そうなの?」


香音は威圧的な目を彼に向けて尋ねる。

おかしいなぁ。ここ異世界とかバトルものとか生死を掛けた戦いとは無縁なはずなのに、おかしいなあ。


「はい!その通りです。決して聖女をお近づきたいとか不純なことは考えていません!」


「無理な相談だね。聞きたいことは聞けてないから」


「ワタシあらもお願い香音。解放してあげてくれないかな?」


真奈は祈るように手を絡み組むと香音に許してほしいと意味でお願いをする。


「怪しいところは無かった。私が間違ったみたいだった。ごめん」


すぐ解放され謝罪をした香音。


「「ええぇーーッ!?」」


怒涛どとうの展開に俺と彼は理解を超えたことに驚愕の声を上げたのであった。

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