え?私のターン来ちゃいましたか?

どうも。椎倉 琴です。

最近いろんなことがありすぎて、かなり悩んでいます。

まずですね、私の教え子が急成長と言いますか、もうすざまじい勢いいで心も体も強くなっているんです。

神仇さんっていう、私が入団する前からいる先輩が師匠についているのですが、たまに見かけるたびに、こっちがヒヤヒヤするほどの戦闘をしているのです。

強くなるのはいいことだとは思うのですが、グレないか心配です。

そうそう、最近は釘縞さんと一緒にいるのも見かけましたね。

なんでもバイクの練習だとか。

このままだと、この国で昔流行っていたというヤンキーという人種になってしまいそうでちょっと心配です。

まぁ、優しいヤンキーというのはアリな気もします。

教え子はそのくらいとして、次はカナミコですよ。

スタイル抜群ですごい歌声の持ち主の奏音ちゃん。

彼女、見た目もいいし可愛いし、優しいし。

時折、ちょっと見ちゃいけないような一面もありますが…

で、その一面の要因にいるのが嶺嶋さん。

彼女もまたこの団には欠かせない存在ですが、その実かなり見た目を気にしてらっしゃるようで…

私もかrだがちっちゃい方ですから、すごく複雑な心情なのですが…その…小さい見た目が嫌で、全身に肌感そのままで高機能な鎧を着ているんですよね。

もう、外から見たらそんなの着ているのに気づかないっていうレベルの代物で…今度私も着てみたい…じゃなくって、その3人で最近いろんな団員さんを取材しているんですよ。

最初は、もっとみんなのこと知れていいなーとか思ってたんですけど、なんでしょうか…時たまですけど、見ちゃいけないもの。それこそ奏音ちゃんの異常なほどミネさんを好いているじゃないですけど…まぁ、そんな感じ。

あんなにできる男っ!って感じの手綱さんは、奏音ちゃんに想いを寄せ続けているし、他の整備士の皆さんもかなり思考が偏っているというか…

まだ、戦闘班の筋肉大好き〜!って感じの方が接しやすくなりました。

そういう点では、情報班の皆さんとか文化保護担当あたりの班の人たちは、安心して接しられます。

私のいる、工作部隊はダメですね。

私は、能力のおかげで体を小さくすると言った感じにそれほど苦じゃないんですけど…他の方々はドMとでもいうんですかね…なんかいつも…ちょっと言葉が詰まるので他の班の話をしますが、救護班は今も変わらずストイック強くて、優しいという完璧すぎる人たちの集まりですね。

私を拾ってくれた救護長は、今どこにいるのかわかんないけど、いろんなことを救護班の人から教わりました。もっと活躍して恩返しせねば…ですね。

まぁ、取材していくうちに救護班の人も変わり者が多いって分かって、心が揺らぎかけましたけど。

まぁ、総じて言えばこの二つはそこまで大ごとじゃないっていうか、耐えれなくはないんですよ。

問題は、咲楽 陽助ですよ。

あの人、ようやっと私以外にも心を許せて自分の悩みとかを話してくれるようになったと思ったら、なんやかんやで自由組潰すとか言ってるし…

で、昨日帰ってきたと思ったらそのまま私の教え子と自由組の奴らと戦わせるし…

全く、あの人はいつもそうです。

まぁ、私がこうして生きているのは彼のおかげといいますか、いつも守ってくれるからこそではあるわけで、感謝はしてるんですよ。

でもね、ああやってトッピないことしたり、面倒臭いことばっか他人に任せたり、ちょっとは周りを配慮しろっ!って感じです。

初めて会った時の、まだ純粋で可愛らしく思えた陽くんはどこへ行ってしまったのか。

私と付き合ってからも別に何かするわけでもなく…

っまぁ…ゼロじゃないけど…

とにかく、ほんといつになったらあの性格治るんでしょうかね。

さらには、会いたくもなかった親父が陽くんと戦って、その結果うちの団に入るとかほんと信じらんない。

あのクズ親父なんか…認めない。

それに、教え子を殴った親父を誰が許すもんですか。


昨日のどんちゃん騒ぎの後、再び作戦室に呼ばれた。

「陽助…説明いいか?」

「いやぁ、たまたま自由組の人たちと出会しましてね、そのまま意気投合っ!そんなこんなで、うちらの団に入りたいって言ってるんっすよ」

「認められるとでも?」

「そこをなんとか。俺が責任持ちますから」

「お前の責任ないに等しいだろうが」

「そんなこと言わないでくださいよ〜」

「百歩譲って自由組壊滅はいいとして、流石に元自由組の奴らを受け入れるわけがないだろう」

「じゃあこう言うのでどうよ」

「何?」

「あくまで自由組はそのままで、我々の指示下に入る。もうすでに、自由組はチリジリになってるわけですからそう難しいことではないでしょう?」

「いい訳がないだろうが! 良くて畑送りだ。」

「でも、戦力が必要なんですよね?彼らは、組長以外が戦闘支援系です。オペレート次第ではかなりの即戦力になると思いますが?」

「…それも、一理あるか」

「でしょでしょ?ならそう言うことで解散っ!」

「待て。一理あるとは言ったが認めてはおらん。だから明日、結論を出す。いいな」

そうして日が変わり、組長を除く4人が赤い服に袖を通すこととなった。

「で、俺は?」

「どう考えても無理だ」

組長と団長。結局あいいれぬ関係性は変わらず、翌日組長が出ていき話が終わった。


狐巳さんてどこにいるかわかる?

『いつも通り厨房のところにいるかと』

オッケー

厨房に足を運ぶと、いつも通りに注文を待つ狐巳さんがいた。

「この前は、途中で出てしまってごめんなさい」

「今回だけ…許したる」

「ありがとうございます」

「で、何かいい案でも思い立ったのか?」

「そのことなんですが」

「ふむふむ。言ってみぃ」


三日が過ぎ、元組員の人たちも少しづつ慣れてきたのを見計らい、歓迎パーティーを催した。

「よかったわ…なんか不完全燃焼で終わるとこだったから」

三日で場所とか小道具を揃えながら、料理長に頼んでいろんな世界の料理を作ってもらったりした。

ボスは参加しなかったが、ほとんどの団員が色々持ち寄りながら参加した。

いろんな人の手伝いに行ってたおかげで、知っているものも多かったが、中にはみたこともない果実や衣装、お菓子が並んでいた。

「ほんと、ここの人たちは楽しいことが好きなんですね」

「そうですね。結局歓迎パーティーとか言いながら楽しんだもん勝ちだ〜とか言って、ワイワイやってますよ。」

「うちの組はこんなのなかったから…だから、ある意味では救われたのかもしれませんね」

夏宮さんが物惜しげというか、少しの悲壮感を漂わせていた。

「あんたらが主役なんやから、たのしみぃ!」

そんな彼らをみて狐巳さんが背中を押していた。

「せっかく、やったんだから、君たちが楽しまなくてどうする!!」

「そうですね。…では、」

壇上に上がる夏宮さん。

「一発芸行ききまーすっ!」


大人たちは二日酔いに苦しんでいるのもちらほら…

いい感じに溶け込めた彼らだった。

狐巳さんも、とりあえずやることやったわといった表情で元気そうにいつも以上に元気だった。

そうしてまた月日が流れ始める。

1ヶ月もすれば組員が入る前と後での違いなど微塵も感じなくなりそれぞれに与えられた仕事を全うしていた。

「…おかしい」

今日は男性組だけで部屋に集まり話し合いが行われた。

「どうした?」

「何かボスの動きで変化でもあると思ったんだがな、全くと言っていいほどないんだ」

「そうだな。いつも通りの生活だな」

「というか組員がもう少し暴れるかと思っていたが、普通に馴染んだ」

あ…

「最近食料の様子を見に行ったが、なんあら後100人ぐらい一気に増えても問題ないらしいしな」

「もしかして、ボスはうちらの狙いに気付いて…」

「あり得るな…」

「あえて、表立っては平然を装うのに尽力していると?」

「そう…でも、ほんとにボスが何か企んでいるのかすらも確証が…」

「だな。」

男3人、悩んでも答えは出なかった。


戦争の目的

代命能力

ボスの最愛の…


「そう言えば以前、能力の原初についてのページがなかったんでしたっけ」

「ああ。神だかなんかそんなのが書いてあるはずだと思ってたんだがな」

「で、僕が聞かされたボスの愛した存在」

「愛した人じゃないのか?」

「そこなんです。イアモモえば不自然なほど、“人”って言ってないんです」

「なるほどね」

「そこに真意が隠されているかも知れない」

「でも、おっれはかなり最初からこの団の世話になっているんだが…ボスの奥さんなんて聞いたことなかったんだよな」

「墓場にある一際大きな木については?」

「御神木って言って…あ」

「やはり、神とやらが関係しているのかも知れんな」

「となると、どうにかしてその資料を見つけねばならないようだね」

…神…神…

「あの…僕…」

吸い込まれるような感覚だけが残り、それ以降覚えていない。

目が覚めた時、見慣れた手枷足枷がついていた。


……………………え?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る