ちょっと、体借りるね(^_−)−☆

瞳が熱い。

体に篭ってたはずの熱が、蒸発していくような感じがする。

視界は真っ白になり、耳から入ってるはずの音は全くと言っていいほど聞こえない。

...だめかも。

膝から崩れ落ち、感じるはずの地面の冷たさすら感じず、感覚だけが地面の下へと落ちていった。

むくりと体が起き上がる。

壁の鏡から見る自分の顔は、大して変わっていないが、瞳が真紅に燃えていた。

...ん?

意識下に存在しなくなった体が言うことを聞かず、口を開く。

「ちょっと、体借りたくね。あと、ベットも。」

音が聞こえるようになったと思ったら、行ってないはずの言葉が発したことない声色で、確かに自分の口から出ている。

「悪いようにはしないからさ。この子の体と二人きりにさせてもらうよ。何、直ぐに終わるから。よろしくー」


...あのぉ?...これは一体。

「初めまして少年。僕は熱の神様さ。」

は..はぁ...。え?

「よっこらせっと」

ベットに横になった自分の体は、そのまま目を閉じた?

「よし。これで話しやすくなったね」

目を開けてみると、真っ白な球体の中に、僕と自称神が二人きりでいた。

僕はといえば、重さはないものの体が元に戻り、自称神の方は、真っ赤な靄となって目の前に現れている。

「あの...僕はどうして体を乗っ取られて、今こうなってるんです?」

「ごめんね。ちょっと強引でも、キミに話しておく必要があってね。」

「そうですか...」

「あまり時間がないんだ。手短に終わらせるね。あと、その前に...」

ん?

赤い靄が背中に集まり、少しこそばゆく感じがする。

「キミを守るために、少し時の流れを遅くしたよから〜」

「え?」

気づいた時には目の前に、赤い靄が集まりなんともいえない形を形成している。

「単刀直入に言って、君をあまり色で染めないようにするためなんだ。許して欲しい。」

「染まる?」

「髪について少し話をしておこう。この世界で昔から信じられている“神”の文化はね、そもそも神自ら作り出したものなんだ。神が体を持ち、やがては神の頂点に立つためにね。」

「んん?神って...え?」

全く何を言ってるのか頭に入ってこない。

「で、その神の器として最高のものが君って訳」

「なるほど?つまり僕の体はいつ奪われてもおかしくないってことですね。」

「そう。神にとって色は二色しかないんだよ。白が黒か。でも君はどちらでもない。強いて言うならば透明。そこに神が狙う理由があるんだよ」

「じゃあ、今あなたに乗っ取られてるのってもしかして…」

「あー。大丈夫、大丈夫。神にも色々いてね。頂点狙ってるの3割もいないから。私は残りの7割だから」

「えぇ…じゃあなんで僕の体を乗っ取ってまで僕と接触したんです?」

「残りの7割のほとんどが不変を望んでてね。王なんて出てきちゃったら面倒くさくなるに決まってるから」

「なんか、人間と似てるような、ちょっと違うような…」

「神と人間の違いは、どこから生まれたのか分かるかどうかってとかだけだから。それ以外は人間とほぼ同じなんだよ。」

「じゃあなんで人間の体なんて欲するんです?」

「んん。それはねぇ..」

うっ。体が熱い。

「ちっ。時間きちゃったか…。まぁ、人の体がないと闘えないんだけど、その時に自分の色にあったものじゃないといけなくって..」

「…」

「でも神は自分の色わかんないから、透明な君を狙ってるってわけ」

「ど…どうすれば…いいんですか」

「神を弱らせて、能力そのものを、人から消し去るしか…ないかな。それで神も消せる。」

「なるほ..え?」

……数秒の沈黙が続いた。


「ふむ。言い難いのだが、君には死んでもらう。」

「…代命能力。」

「そう。それを君は二つ持っているわけだが」

うっ、..やばい。全身が燃える様に熱い...

「これ以上いると、君を傷つけてしまうから。じゃあね(^_−)−☆」

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