どゆこと?

全く状況が読み込めない。

両手を金属で縛られ、布団をかけられている。傍には眠っている女性。

あと、麻縄で縛られた金髪野郎が目の前に…

「あ、少年!起きた?(*^ω^*)」

「な..」

声を発っしようとも、喉が乾いて、言葉が詰まって咽せる。

「な…なんです?この状況」

むくりと起き上がる白衣を着た女性。

ここで、最初に話したあの人か...

「あぁ...やっと起きてくれたか。すまないな...でもこうするしか...なかったんだ」

「なぜ...に?」

突如、警笛が鳴り響く。

「情報統括より緊急連絡。軍の進行を確認。及び、第一王女の現在位置を捕捉した模様。至急対策本部へ。繰り返す...」

びっくりしたぁ...

「ちょっと、状況が飲み込めないと思うけど少し待っててね。細かい話は後でするから。」

「わ...わかりました。」

周りを見渡すと、白衣姿の人達が忙しなくしていた。

金髪も、ボスも既にその部屋にはいなくなっていて、天井を見るしかすることがなくなってしまった。

途端、自分の鼓動が次第に大きく聞こえ、頭がくらくらしてきた。

そうして再び、記憶が飛んだ。


「…祥ちゃん!聞こえる?!…祥ちゃん!」

…うっ。この声…は…

「取り敢えず聞くだけ聞いて!いい?」

あ、…

「今君の中には僕たちの本当の能力が引き継がれてるの。」

「…え?本当の…ん?」

「しっかり認識さえすれば問題ないから。だから自分を強く持って…いい?」

「あ…あぁ。それは分かったんだが—は…?どこにいるの?」

「もう…どこにも居ないの。僕は…僕らは居ない存在。」

「そんな…だって僕の前に…耳に…」

「それは君の中にある僕のコピー。まぁ一応僕自身でもあるけど、本当の僕の時はもう止まってる。…でいいんだよね?」

「うん」

聞き馴染みのある筈の声が頭を駆け巡る。

「それって…どういう…」

「いずれわかるようになるよ。だからそれまでは僕たちのことを忘れてて。いい?」

「やだよ…そんなの。忘れられるわけが…ないじゃん」

「仕方ない。あんまりしたくはなかったかと…」

「え?ちょ…まっ…!」

「これで、僕たちのことを思い出せなくなったかな。ごめんね、心に傷をつけて。」

「あ..あ..うっ」

うわぁあああああああああ


一気に血が回り始めたように感じる。

息を切らし、服はとっくに汗を吸わなくなり、視界はぼやけていた。

「もう…大丈夫?」

「はぁ..はい。でも…何か…何か大事なことを…忘れてしまった気がします」

「…そう。あ、何か食べたいものある?」

「…シチュー。食べたいです。」

「シチュー?」

「はい。よくおばちゃんが作ってくれたの..思い出しちやって」

体だけでなく心まであったまるようなあの味…

「はいよ。じゃあ、ちょっと作ってくるから。それまでに汗拭いときな」

それから、拘束具を外してもらいタオルと部屋着を借りた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る