第42話

 マリーはぼくのかたわらで落ち着き払って静観している。大丈夫よと目で訴える。


 疑ったってはじまるまい。信じてみようと思う。


 ぼくは情報解析の電源をきる。


 本気できるつもりかとマクシムが2度ほど確認をとる。


 さいごに融合炉も停止させる。本気かと訊いてくる。本気だとこたえる。


 かくしてぼくたちは、一時的にせよいかなる電気的信号も発しない宇宙に浮遊する亡霊のごとき存在となるのだが、次の瞬間、先刻マリーが予感したとおり、すぐさま変化が生じた。

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