第37話
しかしぼくだって熟練の操縦士だ。ずぶの素人の意見なんぞに従えない。頸をふる。
マリーとちがってぼくの感覚は平静だ。星のない漆黒の平坦な宇宙のようにおだやかだ。なにも問題はない。
はじめての長い宇宙の航行だ。マリーは不安になっているのだろう。ぼくもそうだった。その心配をすくってあげたい。ぼくは長く培った経験をもとに、自信たっぷりに毅然として言う。
「見てのとおり外はひどい宇宙塵だ。岩石の嵐。秒速数百㎞にも及ぶんだ。融合炉をとめたりしたら、吹き荒れる岩石の軌道が読めなくなるし航路の算定もできなくなる。ぶつかって船が砕けてしまう。でもね、マクシムに計算を任せておけば大丈夫。船体や融合炉が化石でも、算術機能はピカイチなんだ。まちがいないぜ。いざってときのために最新の秘密兵器だって積んであるんだから」
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