第23話

 とにもかくにもぼくたちは、中央ステーションの伴星のひとつである第3砂星の糞尿くさい地下都市のさらに奥深くへとぞれぞれ潜伏していた。


 新世代の宇宙海賊が我物顔で跋扈しているという噂を聞いて、ぼくは新たな護船用装備を仕入れるために銀河政府に臨時休暇を申請してやってきたのだったが、ゴン爺が仕切る第9港湾での検査の結果、マクシムの老朽化はもちろん船体疲労が最高レヴェルである9度まで落ちこんでいることが判明した。


 このままでは次の光速度の走行に耐えきれず航行中に燃えて砕けて分解して一〇割かくじつに宇宙の藻屑となるだろうとゴン爺にこっぴどく叱られたのだ。おまえさんが死ぬのはかまわんが、乙女こいつはどうなる、と。


 ゴン爺いわく、宇宙船はかよわき乙女。しごく繊細。操縦士はおのが神経がすり切れて磨耗するくらい付き添い従い労わってあげねばならぬのだと怒る。機械油がこびりついて剥がれない巨大な錆びた操船場、その暗く湿る冷たい大気をびりびりわななかせながらゴン爺が怒鳴る。旧時代のマンドリルみたいなナリをして、なにが乙女だ。笑わせてくれる。

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