第22話
出会ったのは2ヶ月まえだ。
ぼくたちはそれぞれの目的をかかえていた。
ぼくは愛すべき箱船マクシムの修理と補強のために政府否認のモグリの整備士のところへ訪れていた。通称ゴン爺。遺伝子工学の輝かしい結晶、人造生命体だ。
まる1世紀も修理ばかりやってきたためか、生物についても機械についても、耐久性という観点からのみモノの優劣や可否を判断する。ぼくと再会するなり、胸や腹の肉づきを指でふれたり押したりしてたしかめるくらいなのだ。
ひねくれ人造生命体、ゴン爺。富や権力を憎悪する大の公人嫌い。かと思いきや、闘わずして力に容易く屈服してしまう凡人たちも大嫌い。好きなのはドロドロに溶けた熱々のチョコレート・ドリンク。それと百戦錬磨の宇宙船舶。泣く子もだまる腕利きなのだ。
遺物と化した箱船マクシムは、このゴン爺に生かされているといっても過言ではない。ゴン爺を知らずにいたら、マクシムはとっくのむかしにお釈迦になって宇宙の塵となっていただろう。
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