第47話

 (※ナタリー視点)


 なんてことなの……。


 もう、限界が訪れてしまった。

 いくらサクラが増えようと、彼らは客の数には入らない。

 もちろん、食べた分の料金は払ってもらっているけど、そもそも彼らへの報酬はその何倍も払っているのだから、利益が伸びることはない。


 そして、サクラの効果によって、ほかの客が来るようになったかというと、そうでもない。

 全くいないというわけではないけど、そもそも店の立地が悪いので、めったに客は来なかった。

 そんなわけだから、サクラを呼んで出費は増えても、それで新たな客が増えるわけではないので、どんどん赤字が大きくなる一方だった。


 そしてついに、恐れていた事態になってしまった。

 サクラを雇うお金すら、なくなってしまった。

 彼らも彼らで、充分私からお金を搾り取ったので、もう満足していた。

 サクラをばらすと脅されるようなことはなかったので、それだけは不幸中の幸いだ。

 まあ、脅したところで、私から取れるお金がもうないことを、彼らもわかっているのだろう。


 そして、今日はお父様たちがやってくる日だ。

 当然、来るのは夜である

 しかし、店は今、空席だらけの状態である。

 お客さんは一人もいない。

 こんな状態をお父様たちに見られたら、店の経営状況が悪いことがバレてしまう。


 しかし、私に打てる手はもうない。

 奇跡的にほかのお客さんが来ることを祈ることくらいしか、私にできることはなかった。

 お父様たちが来る前に、ほかのお客さんがたくさん来てくれなければ、私は終わりである。


 そして、店の扉が開かれた。

 お店に入ってきたのは……。

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