第45話
(※ナタリー視点)
「おい、聞いているのか? 報酬を倍にしなければ、あんたの依頼は受けないと言っているんだ」
「え、ええ……、わかったわ。でも、これ以上はもう上げないわよ」
仕方がない。
お父様たちが来るまでの時間も限られているから、交渉している暇などない。
まさか、報酬額を増やすように言ってくるなんて、思っていなかった。
前金はいつも通り支払い、その後の報酬を、いつもの二倍出すことになった。
それに、お父様たちが遅い時間帯に来ることも想定して、サクラの数も増やしたので、出費はかなりのものだった。
「まずいわ……。売上額は増えないのに、出費は増える一方だわ。いったい、どうすればいいの……」
わたしはまた、いつものように店の様子を見張っていた。
お父様たちは、予定していた時間よりも遅れてやってきた。
あぁ、よかった、サクラの数を増やしておいて……。
そうしていなかったら今頃、誰も客がいない店の様子を見られているところだった。
やっぱり、サクラの数を増やすのは、必要なことだわ。
とりあえずこれで、お父様たちに店の経営状況が悪いことがバレる心配はない。
しかし、問題はまだ残っている。
お姉さまから経営者が私に変わってから、ずっとある問題だ。
お店の経営が、うまくいかない。
売り上げも落ちてきているし、出費がかなり増えているので、利益はかなり少なくなっている。
というか、赤字である。
この状況を、何とかしなければいけない。
しかし、営業時間も終わり、いつも通りサクラの人たちに報酬を渡しに行った時、新たな問題が発生したのだった。
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