第43話

 私たちは、そろそろ次の町まで移動することにした。


 その前に、また殿下の持ち物を売って、資金を調達することにした。

 服は既に全部売っている。

 しかし、身に着けていた貴金属がまだまだ余っているので、そのうちの一つを売ることにした。

 そして、私はその値段に驚いた。

 

 服を売った時も高いと思ったけれど、貴金属はさらに高かった。

 こんなに高額で売れるなんて……、予想よりも、一桁多かった。

 とりあえず、これで資金に困ることは当分ない。


「それで、次の町へ行きましょうか」


「ええ、そうね」


 私たちは馬車で、次の町へ移動することにした。

 しかし、その前に新聞を買った。

 気になる記事を見つけたからだ。

 私は馬車に乗って、その記事を見ていた。


「何を見ているの?」


「ああ、これですか? この前の、クッキーを食べて亡くなった人がいるじゃないですか。あの事件の事実が書かれているんですよ。犯人も捕まったみたいですね。なんと、あのクッキーを売っていたお店の人だったそうですよ」


「へえ、そうなの。まあ、予想はしていたけれど」


「え、そうなんですか? もしかして、どうやって毒を仕込んんだのかも、わかっていたりします?」


「確かめる方法がないから、何とも言えないけれど、仮説ならあるわ」


「え、本当ですか? すごいですね。あ、この記事に、その方法が書いてありますよ。エミリーさんの仮説が正解かどうか、試してみましょう。さあ、その仮説を、ぜひお聞かせください」


「ええ、いいわよ。まず、私たちは、どうやってあれだけの数のクッキーから、被害者の人に毒入りを選ばせたのか、ということを考えていたわね」


「ええ、そうですね」


「でも、実は、その前提が間違っていたのよ」


     *


 (※ナタリー視点)


 結局、お父様たちは来なかった。


 私は、大きくため息をついた。

 今日は偶然なんとかなったけど、今度からはお父様たちが遅れてくることも考えて、さらにサクラを増やして、遅い時間帯にもサクラに来てもらわないといけないわ。


 でも、そんなことをすれば当然、出費はさらに増える。

 できれば、そんなことはしたくない。

 しかし、そうしないと、皆に店の経営状況が悪いとバレてしまう。

 それが一番最悪の展開だ。


 痛い出費だけど、これもしかたがないこと。

 お姉さまのおかげで今まで貯まっていた店のお金も、そろそろ底を尽きそうだ。

 経営状況も悪いし、お父様たちにもそのことがバレないようにしなければならない。


 解決すべき問題が、山ほどある。

 しかし、どれも解決の目処はないままだ。

 この状況を、早く何とかしないと……。


 しかしこのあと、さらなる問題が、私の前に現れるのだった……。

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