第32話
「毒で亡くなったなんて……。それは、確かなことなのですか?」
私は憲兵の人に質問した。
まさか、そんな大事になっていたなんて、思ってもいなかった。
「ええ、検査の結果が出たので、確かなことです。それでですね、私たち憲兵は、あの日出店に来ていた人たちに、注意喚起しているのですよ」
「え……、注意喚起ですか……」
わけがわからなかった。。
えっと……、まさか、クッキーに毒が入っていたとか?
いや、まさかね……。
「もしかして、被害者の人の胃の中から、あの出店のクッキーの成分が検出されたのですか?」
殿下が、彼に質問した。
「はい、その通りです。被害者の胃の中から、クッキーの材料やブルーベリーが検出されました。被害者はそのほかのものは口にしていませんでしたから、毒が入っていたのは、クッキーで間違いありません」
「そんな……」
私は彼の言葉に驚いていた。
えっと……、ちょっと待って。
今、ブルーベリーって言った?
ということは、まさか……。
*
(※父親視点)
今日店に行くことは、ナタリーに伝えておいた。
昼間に行った時は、静かで落ち着いた雰囲気だった。
しかし、今夜はそうではなかった。
店に足を運ぶと、ほとんどの席が埋まっていた。
店内は客たちでいっぱいである。
これほど賑わっているなんて、昼間の様子からは想像もできなかった。
以前、昼に行った時は、誰も客がいなかったから心配したが、夜になるとこんなにも客がいるのか……。
「これなら、大丈夫そうだな……」
私は呟き、安堵のため息をついた。
実は、昼間の店の様子を見てから、経営が少し危ういのではないかと心配していたのだ。
しかし、この店の賑わっている様子を見る限り、どうやらそれも杞憂だったようだ……。
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