第3話 ヤバディと変身
「取り敢えず、お前をアルゴスへ連れて行く」
シュリとの出会いから七日後、契約を交わした彼女により注入された大首領細胞を安定させる為と言う事で晃助は只管彼女と愛し合っていた。
ようやく落ち着いた晃助は、チョッパーのアジト内にある黒いベッドの中で
シュリに帰還を告げる晃助。
「はい、職場への寿退社の報告ですね♪」
シュリがとんでもない事を言い出す。
「いや、辞めないからな! 俺まだアルゴスアカデミーの学生でもあるし!」
晃助は、アルゴスの隊員であると同時に組織内の高校の生徒であった。
「私の資産は潤沢なので、学業は通信教育の高校と大学でできますからね♪」
「俺は、お前と一緒に青春時代を分かち合いたいんだけど?」
晃助はシュリが興味を引きそうな事を言って見る。
「わかりました、貴方に従います♪」
「決断速いな!」
「晃助さんと、学生生活をエンジョイするのが魅力的でしたので」
晃助の言葉に即決するシュリ。
「いや、遊ぶんじゃなくてこれからは俺と一緒に悪と戦う為にだな」
晃助が説教をしようとする。
「ファクターチェンジ、ウシファクター♪」
シュリがキーワードを唱えると、元から豊満だった彼女の胸が更にサイズアップした。
それを見た晃助は黙ってシュリの胸に顔を埋めた。
二人が山を下りると、街では無数の戦闘員を連れた怪人達が街で暴れ回っていた。
「ヒャッヒャッヒャ! この街は俺達、ドラッガーが支配してやる~♪」
怪人達のリーダー格は青いカメレオンらしき異形の男で、鞭となった両腕を振り回し逃げ惑う市民を煽っていた。
「早速仕事だ、シュリ! 行くぜ、変身だっ!」
「はい、旦那様♪」
シュリが晃助に、引き金がナックルダスター状になった黒い拳銃型のガジェットを手渡す。
市民が逃げ惑う中、晃助はガジェットの銃口を左掌に押し付けて引き金を引いた。
エンゲージ♪ マリア―ジ♪ トリアージ♪
ガジェットから音声が流れると同時に、ガジェットの銃口から晃助の体へと緑色のエネルギーが注入される。
「うおおおおおっ! 変・身っ!」
ガジェットから注入されたエネルギーが、晃助の体内の大首領細胞を活性化させ体中を駆け巡り晃助の体を逆三角形の巨漢へとバンプアップさせ緑色の強化外骨格を
纏わせる。
こうして彼は、蜘蛛の如き真紅の複眼を持ち、蝙蝠の如き鋭い牙を生やしたマスクを被り全身に蛇の如き鱗を持つ緑の外骨格を纏った異形の戦士へと姿を変えた。
「素敵なお姿です、旦那様♪」
「ありがとう、行くぜ!」
シュリもバラクネラに変身し晃助と共に駆け出した、市民からは新手の怪人が現れたと更に怯えられて逃げられた。
「そこまでだ、ドラッガー!」
「我らが威光に平伏しなさい!」
ドラッガーの怪人達の前に姿を見せる晃助達、ドラッガー側からすれば突然別組織の怪人が現れたようにしか見えなかった。
「な、何者だ貴様ら! ここは我々の縄張りだ!」
晃助達を悪側だと勘違いした、ドラッガーの怪人ムチカメレオンが叫ぶ。
「俺はアルゴスの戦士、蛇面キュマイラーだ!」
「その伴侶、チョッパー大首領が娘バラクネラ♪」
名乗りを上げる変身キュマイラ―とバラクネラ。
「チョ、チョッパーの残党だと! やはり貴様ら悪の組織か!」
バラクネラのせいで勘違いされる二人。
「違う、俺は正義のヒーローだ!」
敵にも下手をすれば市民にも誤解されたであろうキュマイラ―は、悲しみの雄叫びを上げながら戦いを挑んだ。
「ええい! かかれ~~っ!」
指揮官であるムチカメレオンの号令で、キュマイラ―達に襲い掛かるドラッガー。
市民からは怪人同士のぶつかり合いにしか見えない、ヒーローと悪の戦いが始まった。
「は~い♪ 戦闘員の皆さんは、駆逐しま~~す♪」
バラクネラが飛び上がり、空中から無数の蜘蛛の白い蜘蛛の糸を戦闘員達に降らせると蜘蛛糸が毒々しい紫色に変わり戦闘員達は彼女の毒で滅んだ。
「うおおお! キュマイラ~、パ~~ンチッ!」
拳をオレンジ色に輝かせ、海老らしい怪人を相手の装甲をぶち抜くほどの威力で殴り爆死させる。
同じ要領で、今度はミノムシらしい怪人をキックで倒すキュマイラ―。
「流石ですわ、旦那様~~~~♪」
バラクネラがうっとりとした口調だが、蝙蝠の特性による恐ろしい威力の超音波を発して空を飛ぶ鳥の怪人達を爆散させて行く。
こうして、残ったのはムチカメレオンただ一人となった。
「さあ、残るは貴様だけだドラッガー!」
「大人しく、旦那様の糧となりなさい♪」
キュマイラ―とバラクネラに睨まれて怯えるムチカメレオン。
「う、うるさい! 俺もドラッガーの幹部、最後まで戦ってやる!」
ムチカメレオンが電撃を帯びた両腕の鞭を振り、襲い来る。
「危ないっ!」
バラクネラを庇って、その攻撃を受けるキュマイラ―。
「旦那様っ!」
バラクネラが慌てる。
「ヒャッヒャッヒャ♪ 死ね~~~っ!」
ムチカメレオンの電撃に耐えるキュマイラ―。
「……悪いが、俺はまだ死ねない!」
電撃に耐えきり。自分に絡まった鞭を引きちぎるキュマイラ―。
「この程度、貴様に苦しめられた人々に比べれば何とでもない」
キュマイラ―、悪の力をその身に宿しても心はヒーローであった。
「……ああ、ヒーローらしい旦那様も素敵です♪」
バラクネラはキュマイラ―に惚れ直していた。
「止めだ、スケイルチェーンソー!」
キュマイラ―が両腕の鱗を高速振動させて振動波を纏う。
「キュマイラ~、クロスチョップ!」
そして、素早く相手の突進し高速振動した両腕でムチカメレオンを十文字に両断したのであった。
敵を倒して元に戻る二人。
「……これが、俺が手にした力かヤバすぎるなパワーも姿も」
自分がバラクネラと行った戦いの後を見て震える晃助。
「大丈夫ですよ、私がずっとお傍にいて支えますから♪」
シュリが晃助に抱き着く。
「……うん、それが一番おっかないな」
こうして、晃助達の初戦闘は終わった。
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