第4話

あれから数日がたった、とある土曜日のこと。


「そういえば書いたよ 自分の小説」

そう、メールをした。

「そう?じゃあまた会わない? いつがいい?それで、どこがいい?」

「いつでもいい、何なら今日でも 静かで、二人だけでいられるところ」

「そう、じゃあ今日、今、俺の家?」

「うん」

「わかった。」

そうやり取りをしてから、すぐ匠の家に向かった。

「おじゃましま~す」

私は匠の家に入った。

「どうぞ」



「でさ、どんな感じになった?」

「はい」

私は分厚い紙の山をわたした。

「おぉ!すごいおおい、期待はできる。」

「ありがとう」

「じゃあ読んでみるね あ、異世界転生先のお嫁様、読む?」

「あ、うん!」


二人で小さな文字を黙々と読んだ。

「ふぅー、おもしろかったー!」

私はそういった。

「うん、俺も読み終わった」

「はやっ!」

匠は私の読んだ漫画の倍以上あるものを私と同じスピードで読んだ。



「で、どうだった?」

「あっ」


私達は声を揃えてそういった。

「ふっ、あはははははは」

二人の笑い声がその部屋を包んだ。


「えっとね、まず、私はね、すっごい面白かったと思う! えっとね、個人的には花奈(かな)ちゃん!めちゃくちゃいいこですごいかわいいし私花奈ちゃんが好き!」

「そうだったか、いやー、花奈ちゃんもかわいいよなー、でも、俺は中田の姉さんが好き」

「あー、お姉さんねぇ、うん、好きそう」

「そうか?」

「うん!」

二人で異世嫁の話をした。その時はすごく楽しかった。


「えっと、それで、豊香の話、とてもいい話だった。豊香の話、読みごたえもあるし面白かったと思う。それで、豊香、」

「え?」

匠は手を前に出した。

私はなんとなくで匠の手の上に自分の手をそっとのせた。すると匠は私の手の上にもう1つ自分の手をのせて二人の目の前に出してから

「大変だったな、これからは俺が豊香に付き合うから…」


そういい、匠はとても泣いていた。

「え?なに?いや、別に…」

私はそういった。

「そんなことないはずだ。豊香は幼少期とてもな扱いを受けていた。」


そう言うと匠はそっと私のことを抱きしめた。


「えっ…」

その時の私は今までにないほど幸せな気持ちで溢れた。




私は小さい頃、父からは雑用、母からは大きなことを頼まれてはやり、でもそれは初めてやるからそれで怒られ、

「次からは完璧に…」

そういう気持ちが日に日に増えていっていた。

そして、そういうこともあり、友達のつくりかた、友達との遊び方、何もかもがわからないまま中高一貫校に行った。そこで私は自己紹介のときに

「こんにちわ前野豊香です。友達をつくって、楽しく暮らしたいです。」

そういった。それが謎の友達いない私、可哀想、そういうふうに見えたんだと思う。

それで、騙されて、友達なんぞできなかった。したら私の母が

「最近進みも遅い、余裕がないのでは?」と、思ったんだと思う。それで、ひっこして、新しい学校に来て、

私は家にいないときが一番楽しい。

それくらいの気持ちになればいいと思った。

したら初日に匠に出会って、そこから匠といるのが一番楽しいようになった。




それでこの状況って、もう泣くしかないでしょ…


「っ…うぅっ…」

私はあっという間に泣き崩れた。

「大丈夫、俺がいる。俺はお前を裏切らない。約束する。もし俺がお前を裏切ったら俺を殺してもいい。その後は好きにしてくれ。」



「私は匠に救われたね…」

私はそう泣きながら言った。すると匠はとんとん、と、私の背中を優しく叩きながらいった。










「大丈夫、大丈夫、絶対大丈夫」



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