いつもアトミック・エイジ

黒田寛実

第1話 核の傘カレー

指先がにゅすり入りこむ

なんて魂は柔らかいんだろ

玉ねぎの皮はお洋服

ゆりゅりゅんと剥く日々


さあ、党よ!

天の上から覗く大いなる光

降り注いだ力はじゃがいもに

夢はにんじんに変わるだろう


核時代に炒めよう

輝かしく死に満ちた日に死んだ鳥だ

私たちは見ずに済む

死ぬまで発動は遅延だと信じている

鶏肉がモラトリアムの灰

無垢で汚れきった子どもらに降り注ぐ

党は道の真ん中でうずくまっている


スモッグに覆われた今日の良き大地

空は見えているか

夕暮れは迫っているか

鍋にカレールーを入れた刹那

まったく日常的に連続に

破裂するだろう

おおアトミック・エイジよ!

破裂せよ破砕せよ

党が立ち上がる空虚まで

共生の鈍色の栄光の日まで

踏み出す百年の待機決起!


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いつもアトミック・エイジ 黒田寛実 @otoronenayu

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