≪勇者≫とシステム
1
そもそも≪魔王≫とはなにか?
この問に正確に答えられる人間は、おそらくこの世の中には、ほとんどいないだろう。
ただ、『人類保護局』の特定のポストに就いている人間は別だ。
彼らは、知っている。
宇宙人から与えられた『魔法』というべき、魂のエネルギー化の技術こそが≪魔王≫の原因であること。さらにいえば、宇宙人たちの目的は≪魔王≫――正確には高次存在――による人類の魂の統一化であったことも。
彼らは、知っている。
既に人類の九九%以上が『魔法』を使えてしまうという実情と、現況が不可逆であることを。
彼らは、知っている。
≪魔王≫を断つ唯一の手段は、地球人類が宇宙への進出をしないことを代償に、宇宙人の最後の贈り物として入手した、地球上には千本もないディトランサーという、人類には複製不可能な未知物質でできた刀剣であることを。
彼らは、知っている。
大多数の人間は、組織的な思想よりも、特定の個人の持つ思想や行動にこそ共感することを。
だから彼らは決めた。
≪勇者≫という『人類保護局』の思想を体現できるキャラクターを作ることを。
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