第21話 不吉なmagic

第21話 不吉なmagicマジック


 それぞれの剣と杖を構え戦闘態勢を取ると魔獣もそれに気づき、威嚇の態勢をとった。


「なんだ?猫みたいな構えしてる。」


「四足獣タイプなのか・・・それとも変幻タイプなのか」


「どちらにせよここで倒せばいいんだろ?」


「そうだね!勝負だ!」


 リュールが地面を蹴ると同時に魔獣も走り出していた。


「うりゃぁぁぁぁぁぁぁ!」『groooooo』


リュールと魔獣の攻撃がせめぎ合い、互いに打ち消しあった。


「あの魔獣タイミングを完璧に合わせてきた。」


「なら、2人で行くぞ。」


「あぁ!」


今度は、2人でタイミングをずらして切りかかった。だが、魔獣は姿2


「マジかよ!」


「この魔獣スライム型なのか!?」


「お兄ちゃん、ザザ!危ない!避けて!」


咄嗟に左右に跳ぶと同時にもといた場所にが空いていた。


「ウソだろ・・・毒か?」


「町を襲ったやつとは違うけどこれは・・・」


「まずいね・・・」


「回避優先!」


 いざ戦いが始まってみると、防戦一方になって行った。あの魔獣の名はマジック・オブ・テラー恐怖の魔法と呼ばれていた魔獣だった。

(ここからは魔獣のことをテラーと呼んでいく。)

 テラーの能力はその名の通りで魔法マジック。自身を他の姿に変えたり、相手に魔法で攻撃、妨害などをしてくる。また、人間などの生きている者全てを襲い、捕食することからテラーの名がついた。本来の姿は人間のように2足歩行だが、背中に羽が生えている。そして主人と認めた者の命令はという。

 そんな事はリュールたちはのだ。もちろんザザも。


「とりあえず回避していこう!」


「ソウハ、サセルカ!」


「え!?しゃ、しゃべった・・・」


「リュール避けろ!」


「え?」


リュールはガスのような攻撃を受けてしまった。


「お兄ちゃん!」「リュール!」


2人の叫び声が同時に響いた。そしてガスが完全に消えると、リュールには何の傷もなく、まるで寝ているかの様に目を瞑り

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(あれ?僕は何をしてたんだろう。さっき変な煙に包まれて・・・ダメだその後からは何も覚えてない・・)


「誰か!出てきてよ!ここは何処なの!」


いくら叫んでも聞こえるのは自分の呼吸音と声だけだった。リュールが見ているのはテラーの魔法の1つだった。

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現実世界で、

「おい!リュールしっかりしろ!大丈夫か!?」


「ダメだ。お兄ちゃん起きないよ・・・」


「でも、死んではいないから多分睡眠魔法か?」


「だと思うよ。それにしても、あの魔獣も動かない・・・どうしてなの?」


「あいつに切りかかったがバリアみたいなもんで刃が通らない。」


「じゃあ、お兄ちゃんが目覚めるのを待とう・・・」

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悪夢の中、


「リュール。」


「先生!?生きてたんですか!?」


「・・・も」


「え?」


「よくも私を見捨てたな!お前を殺してやる!」


 テラーの見せる悪夢は悪夢を見る人の持つトラウマや嫌な記憶を読み取り見せるという内容だった。抜け出す方法はただ一つ、そのトラウマや嫌な記憶を自力で乗り越える事。

 現実世界で何をしようが絶対に起きはしない。乗り越えられないのなら待っているのは、死のみ。現実世界で肉体が死に、精神も永遠に悪夢の中で過ごす事となる。

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