第6話
「――真人を排除。あとは、あなた様にお任せします」
「そうか……それで、なぜリルムを連れてきた?」
「いや、それは……」
「……まあいい。ほかのやつらはここから消えろ」
「は、はい!」
「どうかな?真人を失った気持ちは?」
「……最低っ」
「ははっ、そうか。お前は以前、レインとかいうやつと一緒にいたんだってな?レインがお前を売ったのか……」
「何が言いたいの?」
「いや別に。一つ言えるのは、お前は一生幸せになんてなれないってことだ。お前のゴールは幸せになること、だったな?しかし、レインは幸せになんてできなかった。だから友達である真人にお前を売ったんだ」
「……」
「お前は幸せになってはいけない。だから、真人を殺した」
「ど、どうして、私は幸せになっちゃいけないの!?」
「この世界では、すべての人が幸せになることだ。だが、お前が幸せになれば、ほかの人たちはどうなる?ほかの人たちには不幸が訪れることになるんだぞ」
「そ、そんなこと……嘘、絶対嘘だ」
「俺が誰だか分かってるよな?」
「この世界の王――オーディン。分かってるよ、王が言っていることはほんとだってこと」
「そうさ」
「……あれ?ここは」
目を開けると、そこは暗闇だった。
さっき撃たれて死んだはずなのに、なぜか意識がある。
誰かが俺を助けてくれたのかもしれない。
「――真人」
俺の名前を呼ぶ声がしたと思ったら、ぱっと辺りが明るくなった。
どうやら、ここは誰かの家らしい。
俺は、ベッドの上にいた。
「――リルムか」
そこにいたのは銀髪少女であるリルムだった。
「私があんたを助けたの。感謝してよ?」
「ははっ……ありがとなリルム」
「さっき、王城に行ってきたの。というか、連れてこられたって言った方が正しいかな」
「王城に?どうして?」
「わかんない。だけど、オーディンは、真人を殺して嬉しがってたよ」
「オーディン……あの、王の名前か」
レベル、ランクともに最上位といわれる王。
「オーディンは、真人のことを死んだと思っている。だから、いまこの場所にはいないっていうことになってるよ」
「ああ……復讐にはぴったりだ。というか、どうやって俺を助けた?」
「最低限の蘇生はしたけど、まだ完全には治ってないから。心臓は再生できたけどって感じ」
蘇生もできる人だったのかリルムは。
「何でもできるんだなリルムって」
「そんなこと……できるだけのことはしただけだよ」
リルムに助けられて感謝しかない。
ポケットに手を突っ込み、冒険者カードを取り出してみると、なぜかランクが1になっていた。
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