第5話

飲食店である、リルという店。

「ああ、お腹いっぱいになったよ!ありがとな、リルム」

「えへへっ、どういたしまして」

お腹がいっぱいになった俺はしばしの間外の景色を眺めていた。

「ねぇ、さっきの約束覚えてるよね?」

「えっ?そんな約束したっけ?」

「後で貸してくれるんでしょっ?」

「……?」

リルムは頬杖をつきながらそういうが、俺には何のことだかわからない。

「ふふっ……まあ、今日の夜にわかると思うけどっ」

にーっと笑顔のリルム。その表情がなんともかわいいが、その裏には何か企んでいるようにも見える。

「……お前は何を企んでるんだよ?」

「ははっ、おしえなーい!」

「……まあいいや。とりあえず、ここを出よう」


リルを出ると、そこには一人の男が立っていた。

「――お前か。真人っていうやつは」

なぜかその男は俺の名前を知っていた。

「え、えーと……そうですけど、っていうかどうして俺の名前を?」

「そっちは……リルムか。そうか、お前もランクが3に上がったのか」

帽子を深くかぶっているため、その男の表情はうかがえない。

少し髪が長いのか白い髪が見える。

「一つだけ言っておく。……これ以上、この世界とは関わるな。お前が関わったおかげで、この世界は変わったんだ!」

大きな声を上げられたせいでびっくりしてしまった。

「ちょ、ちょっと待ってください。この世界と関わるなって……別に関わっているつもりは――」

「お前のせいで!……お前のせいで、この世界は変わったんだ。お前がこの世界に来る前は、平和に過ごせてたんだ」

「……全然言っている意味が分かんないんですけど。というか、あなたは誰ですか?」


「――この世界の王だ」


「……王、だと?」

まさか、この人が本物の王なのか?

「お前がこれまでにしてきたことが、この世界の崩壊へとつながったんだ」

「いやっ、俺は別に何も!ただ普通に生きてるだけなのに――」

「自分がしてきたことも忘れるぐらいのバカだったか。仕方ない、お前を、ここで消す」

「はっ?消すってどういう――」

「そのままの意味だ。……やれ」

王と名乗った男は、そのままどこかに消えていき、さっきまでいなかった銃を持った男が二人出てきてた。

「ま、待て、俺は何も――」

「そうはいっても、王の命令だ」

「そ、そんなことっ――!?」


耳元で鳴り響く銃声。そして、胸辺りがジンジンと痛くなっていく。

視界がぼやける中、最後に聞いたのはリルムの声だった。






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