第3話 『初めてのごはん』
「君の名前はハルくんに決定しました!!」
「はっ、はぁっ!?」
🐟🐟🐟🐟🐟
「どっ、どういう経緯でそんなんことになったんだ!しかもなんで名前を決めた!?」
「それはね、君がぼくの家で暮らすことになったからだよ。」
「う、うーん?っと、えっと、はぁ!?お前ん家で暮らす!?どういうことだよそれは!!」
「だって、ここで暮らさなかったらぼくのお母さんとお父さんに研究所に連れていかれることになるよ。そしたら大変なことになるとぼくは思ったんだけど・・・?」
「あ、あぁ、それはそうだな。何されるかわかんねぇし。」
「しかもね、君はぼくのあこがれのお魚さんなんだ!一緒に暮らせるとなったら一石二鳥だと思わない?」
「あ、憧れ?なんで俺みたいな魚に憧れるんだよ。もっと大きい魚だって数えきれないほどいるし、強い魚だってもっと他にいるだ・・・」
「でもぼくはきみが一番かっこいいと思うよ!!!」
「・・・・・・あっそ。ならいいんじゃないか。俺だって研究所になんか行きたくはないしな。」
「よかった、君がここで暮らすって言ってくれて。」
これでぼくは晴れてあこがれのお魚さんと一緒に暮らすことになるのでした。
🐟🐟🐟🐟🐟
「で、まずは俺をその水槽に移してくれよ。さっきから狭くてイライラすんだよ、この袋。」
「もちろん!」
ぼくはハルくんをお母さんとお父さんがリビングにおいてくれた水槽に移しました。移してみたらハルくんは、人が背伸びをするときのように伸び伸びと泳ぎ始めるのです。とっても気持ちよさそうでよかった。
「あっ、そうだハルくん。まだぼくの名前を教えてなかったね。」
「お前の名前か。まぁ知っておかないといろいろ不便だろうしな。」
「ぼくの名前は猛晴。いろんな人からはタケって呼ばれてるんだ。君の名前はぼくの名前のハルを取ったんだよ。」
「へぇ、そうやって俺の名前が付いたんだな。」
なんでかはわからないけれど、少しうれしそうです、ハルくん。
「じゃ、俺もお前のことはタケって呼ぶわ・・・俺の世話はきっとお前がやってくれるんだろうな。・・・よ、よろしくなタケ・・・。」
「うん、よろしく!ハルくん!」
ハルくんはとっても恥ずかしそうに言いました。とっても怖い顔なのに、なんだかちょっとかわいいです。ふふっ。
「早速で悪いんだが・・・腹が減ったんだよな。メシとかってあんのか?」
「もちろんあるよ!君が好きだって言ってた小魚をたくさん買ってきたんだ。ちょうどぼくたちもこれから晩ごはんにするから、一緒に食べようよ!」
「あぁ。」
ハルくん、ちょっとソワソワしてます。実はぼくも・・・とってもソワソワしています!
🐟🐟🐟🐟🐟
ついにやってきました!晩ごはんのお時間です。ぼくはハルくんの水槽に小魚をいれました。小魚さんの香りがとってもします。
「サンキュー、タケ。じゃあ食おう・・・」
「ちょっと待って、ハルくん!」
「うおぉ!!!な、なんだよいきなり大声出して。びっくりしたじゃねぇかよ。」
「せっかくだからさ、みんなで一緒にいただきますしようよ。」
「いいけど、早くしてくれよ、俺腹減ってんだからさ。」
料理を作り終わったお母さんがリビングに帰って来ました。すでにぼくとお父さんはテーブルに座っています。隣にはハルくんが。
「さて、食べましょうか。」
「そうだな。」
今日の晩ごはんはハンバーグとサラダとご飯です。サラダには僕の好きなミニトマトが入っています。ハンバーグのとってもいい匂いが辺りにふわふわしています。
「じゃあ、いただきます!」
「「「いただきます。」」」
ここでハルくんはようやく食べれるのか、待ちくたびれたぜ、みたいな顔をしています。言葉には出ていませんが、何となく、そんな気がします。ぼくも食べ始めます。ハンバーグ、とってもおいしいです!お肉の肉汁がぶわぁってたくさん出てきました。でも、その肉汁で舌をやけどしそうになりました。いや、したかもしれません。なぜなら、ミニトマトの果汁が舌にしみます。痛いです。でも、おいしいので食べ続けます。おいしいには、誰も勝てません。
「ハルくん、おいしい?」
「あぁ、うまいぞ。ってお前は食べるのが遅いんだな。もうお前以外食べ終わってるぞ。」
そうです、ぼくはたべるのが人一倍遅いのです。と言いつつ、ぼくも食べ終わりました。おなかいっぱいです。おいしかった。
「「「「ごちそうさまでした。」」」」
ぼくたちとハルくんが一緒に食べた『初めてのごはん』の時間です。
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