二度寝と事故と報道と。
「こら!いつまで寝てるの!!いい加減起きなさい!」
男は、母親の声で目を覚ます。
「あれ?今何時?」
「スマホ見て自分で確認しなさい!この寝坊助!」
わかったわかったと、適当にあしらって母親を追い出した男は、今一度スマホを覗く。
12月15日 AM9:30
男も、こんなに寝てしまったかと頭を掻きむしりながら居間に入る。
日曜日の今日は、家族全員が集合しているようである。
つけっぱなしテレビは、今週起きたニュースを延々と振り返っている。
「なあ、本当に今日の約束キャンセルしちゃってよかったのか?」
「えぇ?あ、おう。多分大丈夫だよ」
男は、親父の言っていることの意味が分からなかったけれども、適当に返事を返しておいた。
今日の予定がよほど楽しみだったのか、家族に自慢していたらしいなと思い、何も不審に思わなかった。
「なあ親父? バスでずっと降りて行くとさ、神社のところにバス停があるじゃんか?」
「ん?あの錆びたやつか?」
「そうそう。あそこから人が乗って来る事ってあるかな?」
「うーん、どうだろう……。周りに集落も無いしなぁ。それがどうかしたんか?」
「いやあ、なにも無いんだけど……」
『ここで臨時ニュースです。未明に起きたバスのスリップ事故についての続報です。――』
「え?事故?」
「ああ。今朝そこを出発したバスがな。ループ橋のところでスリップしたらしいんだ」
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