真実を知る。
男が駅前で何時間叫び続けても、誰一人として反応した者はいなかった。
「そうだ……。あいつらに賭けてみるか…」
今日待ち合わせをしている友人たちならあるいは……と考えたのである。
結果から言えば、待ち合わせをしていた友人の誰にも、男の姿は見えていなかった。
それどころか、忘れてるなら置いてっちまおうと、そそくさと目的地に向かって行ってしまったのである。
男は若干の心疾しさを感じながら、致し方なくまた元の駅に戻り、トボトボと家に戻った。
もちろん駅に向かうバスというものはあるはずなのだが、この日は待てど暮らせど現れなかったのである。
「おい、母さん!助けてくれ!!」
「親父!!頼む!!」
男は敷居をまたぐや否や、大声で叫んだ。
前年ながら、
居間に向かうと、男の家族が一つの机を囲んでいた。
全員が俯き、よく見ると母の頬は濡れている。
「お願い…お兄ちゃん、帰ってきて――」
妹までもがすすり泣いていた。
「おい!俺はここだ!!帰ってきたってば!!!――――ダメか。家族にまで見えないなんて……」
ついに頼みの綱は切れたらしい。いたしかたない。男は自らの部屋で眠ることにした。
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「ねえおにいさん、友達とかいないの?」
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