第3章 引換と幽体と大鎌と。

覚悟と身代わり。

「え?なんだって?もう一度言ってくれ」

「だから、身代わりだよ。

「誰でもいいから、連れてくればいいってのか?」

「もちろん、誰でもいいってわけじゃぁないよ」


少女は、差し出す身代わりのことを語る。

というのも、身代わりになり得るは男の知り合いのみ。当然だが、相手が受け入れている必要がある。


そして……


「おにいさんはまず、見える人を探さなくちゃいけない」

「は?いったい、どういうことだ?」

「うーん――難しいんだけど……」


口元に前歯を輝かせながら、少女はやってみればわかるよ、と言ってみせた。


「どうする?」


男は暫し考えたが、少しれも希望があるなら、と覚悟を決めた。


「よし、分かった。やってくれ」

「えへへ、おにいさんかっこいいね」


大鎌を宙に浮かせたまま、少女は手を伸ばして男の額に触れた。


直後、男の意識は吹き飛ばされ、眼界が大きく歪んだ。

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