26「見えぬ影」

「誰!?」


 ルーリアは気配を感じ、ストーキング・ストーカーとの接続を切る。

 自身のスカートを捲り、太もものガーターベルトから武器を引き抜いた。


 手にした武器は10センチほどの筒。

 ボタンを押すと槍の長さに伸び、刃が飛び出た。


「サスケと言います。覗き趣味は良くないですね」

「いつの間にっ!?」


 ルーリエを眺めるように、人影が立っていた。

 背格好は少女の様だったが、姿がうまく認識できない。


 認識阻害の魔術を使っているのだろうか。


「う……っ……」


 ルーリエは認識阻害の魔術を透過すべく目に魔力を込める。

 しかし彼女を見ようとすればするほど、強い頭痛に襲われた。


「無理に見ない方がいいですよ。下手をすれば脳が壊れてしまいます」


 サスケと名乗った影は優しく忠告する。

 ただ手には弦のついた剥き出しの刃を握っており、穏便に済ませる気がない事が見て取れた。


「やああああああ、『スピア―・ウィップ』!!」


 ただならぬ危険を感じたルーリエは、槍に魔力を纏わせて振るう。

 槍の先端が赤く光ると鞭のようにしなり、影へと迫った。


「意外に好戦的な人ですね。それとも命の危機でも感じましたか?」

「っ!?」


 鞭槍は鋭く影を薙ぎ払った。

 しかし既に影は消え、ルーリエの頭上からサスケの声が降ってくる。


「あぁっ!!」


 ルーリエの両足に痛みが発生する。

 見るとサスケが投げた2本の刃が、ルーリエの両足の甲を貫いている。


「ちょっと……なにこれ!!」


 刃は深々と刺さり、ルーリエの足を床に縫い止めている。

 更に刃の根元に繋がった弦が、ルーリエの両手と首に絡みついていた。


「騒がれるとめんど……厄介なので、眠って貰います」

「うぅ……」


 サスケの声と共に弦が締めあげられ、ルーリエの首が締まる。

 弦は細いが頑丈で、切れる気配はない。


 暴れれば暴れる程弦は食い込み、ルーリエの肌を切り裂いていく。


「抵抗すると苦しいだけですよ」

「う……」


 弦で首を絞められてルーリアの呼吸と血流が途絶え、一瞬でブラックアウト。

 意識は深い闇へと落ちていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る