24「ストーキング・ストーカー」

 ルーリエは息をひそめ、メイド達と捕まった仲間を追跡していた。

 メイド達は幾つか角を曲がり、ある部屋の前に辿り着く。


(解放するつもりじゃないの?)


 捕まった仲間を解放するつもりなら、正門や謁見用のバルコニーに向かうはずだ。

 しかし仲間を連行しているメイド達は、辿り着いた部屋が目的地だという雰囲気を醸し出している。


 部屋の前には1人のメイドが見張りをしていたが、2言3言話をすると、見張りのメイドはどこかに行ってしまった。


「行って、『ストーキング・ストーカー』」


 ルーリエは魔術を行使すると、仲間の一人の背中に植物の種を飛ばした。

 種は不可視の蔓を伸ばし、男の体に巻き付いた。


 ストーキング・ストーカーはルーリエの魔術の1つ。

 ひっついている対象の位置やある程度の映像を拾う事ができる。


 距離が離れたり、間に阻害物があったりすると精度は下がるが、壁を1つ隔てた位なら問題なく機能する筈だ。


「失礼いたします、ルドワイエ様」

(ルドワイエ?あの部屋はルドワイエの客室なの?)


 メイドは挨拶をして部屋に入る。

 迎え入れた部屋の人物は、どうやら来賓しているルドワイエらしい。


 メイドは10人の仲間を部屋に入れると、自分達は部屋に入らずに離れていってしまった。


(どういうこと?他の領主が奇想の断崖のメンバーに用があるの?)


 ルーリエは状況が分からず、判断が下せない。

 とにかく何が起きているのか把握せねばいけないと考え、意識をストーキング・ストーカーへと向けるのだった。

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