第13話 花びら

『花びら』


 地に落ちて

 花びらは乾いていった


 地に落ちて見る

 空 雲 光

 蝶のはね


 地に落ちて聞く

 風の音 雨の音

 みつばちの翅


 散った花びらは

 それらすべてを(   )ながら

 乾いていった


 問い ( )に入る最も適切な言葉を選び、記号で答えよ

 ①いとおしみ ②受けとめ ③反芻はんすう


 三択だ!

 これは、中学入試より抜粋し、更に私が改変したものだ。

 三択だよ。

 実際の入試は、4択だった。


 さあ、これを読んだ君!

 是非、挑戦してくれたまえ!

 正解した君には、きっと良いことがある、と思うぞ!

 私のキスでも良いが・・・・、いらんよねw


 さて、ヒントかもしれない話をしよう。

 実は、この詩の前には、文章があるのだ。

 そして、もちろん、この詩を書いた人、つまり詩人の書いた文章だ。

 内容をかいつまんで話そう。


『景勝地に行けば良い詩が出来るでしょうねと、友人に言われた。

 しかし、私にはできない。

 良い景色を表現する言葉は言いつくされ、そして、そのような景色は言葉を越えるものがあるからだ。

 詩にするには、完全でない部分に焦点を当てる。例えば、美しい花嫁を見る時、彼女の美だけでなく、彼女がはにかむ仕草、涙を浮かばせた目元を見る。花を見る時も、咲き誇る花だけでなく、雨に濡れる花、散りかけた花が詩になる。人間のあり様もそうだ。

 完全でない部分へのいたわりや励ましの言葉は温かく、美しさを産み出す要素となるのだ』


 さあ、この文章を踏まえて、どれが当てはまるのでしょうか?


 悩んでください。



 さあ、解説の時間だ。


 ①=愛情を持って大切にすること

 愛情を感じ、大切なモノと想う、ということだ。

 自分は、散って乾いていく、つまり、死んでいく。

 死んでは、そのような音も、景色も見られない。

 生きていた世界全てが、今死に行く自分には、愛しい。

 これは、死に行く花びらの、生への憧憬と愛情を言うものだ。


 ②受けとめる

 対象を受け取るという動作だけでなく、そのモノを理解し受容するという意味まである、なかなかに使い勝手のある言葉だ。

 これは、対象が善きモノに対しても、悪きモノに対しても使う事が出来る。

 ここの場合は、生なる世界を認識しそれを取り入れ、自分の記憶に刻もうとすることだと解釈できる。

 つまり、対象が美しいとか、好きとか、そのような事を含んだ言葉ではない。

 でも、今まで生きてきた世界を記憶に残したい、胸に刻み付けたいと思っての行為であることは確かだろう。


 ③=その対象を繰り返し考え、良く味わうこと

 これは、まだ生きている内に良く味わおうとする態度を言っている。

 つまりは、生なる世界への執着が為せる行為だと言えよう。

 つまりは、生に対して、未練があるのだ。

 これが、一番人間臭いモノだと、私は思う。

 もちろん、その生なる世界が堪らなく好きなのだ。

 もっと、生きたいのだ。


 さあ、ここまで解説したら、あなたなら、どれを選ぶだろうか?




 答えは、どれでもいい、だ!

 ごめんね、引っかけるつもりじゃなかったんだけど、わざと改変して、このようにした。

 それは、言葉一つで、いろいろと受ける感じが変わってしまう事が言いたかったのだ。

 よくTVでもやってる俳句の添削でもそうなのだが、言葉を選ぶという難しさ、奥の深さを知ってもらいたかったのだ。


 それと、言葉を使うときは、言葉の意味があやふやなら、直ぐに確認することだ。

 その言葉ひとつを間違って使ったら、読者に届かないし、会話もチグハグになるかもしれないからね。



 愛情を強調したければ①を、全部を受けとめてやるって良くラノベの主人公が使う、それを書きたければ②を、人間臭い生への執着に焦点を当てたければ③を。


 最後に、本当の入試問題の選択肢を書いて終わりにする。

 ①見つめ②あいし③悲しみ④にくみ


 敢えて、答えは書かない。

 どうしても、答えが知りたければ、コメントにて、自分の答えを書いて下されば〇か×かを言いますw


 今回は、ここまで!!







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