久しぶりに外の空気を吸った。

 青く澄み渡る空を飛んでいる。ここだけを見れば、まるで遊覧飛行をしているかのようだ。しかし、ヘリの下には地獄が広がっていた。未だ燃え続ける建物、ひたすら歩き続けるベクターの姿、そして死体の山。

 真理子は隣に座る西条の顔を見た。何か怒っているのか、唇を噛み、ずっと考えている彼の姿。いつもと違って声を掛けにくい……。そんなことを思っていると、彼女の前に座る一人の隊員と目が合った。隊員は気まずそうに目を逸らした。真理子はそんな彼を見て声を掛けた。

「あの……私たちはどこに向かってるんですか?」

「あ、説明がなくすみません。今から、総理がいる議事堂へ行きます」

「議事堂……ですか……。そこで私たちは何を……?」

「それは我々にも分かりません。聞かされていなくて。我々が聞かされているのは、あなたたち二人を丁重にもてなすことと、安全に総理の元へ連れていくことなんです」

 ヘリは議事堂へと向かって行く。目の前に大きなシンメトリーの建物が見えた。

 これが日本国東西議事堂か……。初めて見た……二人はその建物に釘付けになった。ヘリがゆっくりと降下する。機体が大きく揺れ、着地した。扉が開き、外へ出るよう促された二人は隊員の指示のもと、建物の入口へと歩いていった。

「うわぁ……広いね……。ね?西条さん」

 真理子は敢えてそう言い、西条を見る。

「ああ」

 彼が返したのは素っ気ない言葉だった。ため息が出る真理子。前方から数人の男性が近づいてくる。

「よくお越しになられました。私、総理秘書の中田と申します。安藤様と西条様ですね?」

「はい。あの……総理に……」

「お話は聞いています。どうぞ、こちらです」

 中田に案内され二人が通されたのは、大道寺のオフィスだった。

 何重にも立ちはだかる扉。セキュリティはもちろん、ベクターの侵入防止なのか。何をするにも、秘書がロックを開けていた。そして、荘厳な扉を前に中田が中にいるであろう大道寺に声を掛けた。

「総理、お二人がお越しになられました」

『入っていただいて……』

 大道寺が言う。中田は扉に手を掛け、二人を中に招き入れた。

「安藤さん、西条さん、初めまして。私が大道寺です。この度はこんな事態に巻き込まれて、大変ご苦労様でした。さぞかし、辛かったでしょう。さあ、とりあえずここへお座りください」

「あの……私たち……」

「新田から聞いております。お二人が治療薬の開発に尽力なさり、完成させたと」

「それが……治療薬を投与した女性の状態確認が出来ていないんです。なので、効果があるのかどうかは……」

「そうですか……。いやしかし、治療薬が出来たのは進歩です。完成しているのかどうか、効果があるのかどうかはまた検証していただくとして……。なんにせよ、この事態から人類を助けることが出来る。本当に感謝しています」

 大道寺は二人に頭を下げた。そして、本題に入った。

「お二人にここへ来てもらったのは、他でもない。我々の計画に参加していただこうとお願いするためです」

「……また計画ですか……俺たちは今度は何に巻き込まれるんだ……」

「この国が東西に分かれてしまったのはご存知の通り。今回の事態を招いたのは関東……つまり大統領側です。我々関西は、関東の暴虐を止めるべく、優秀な人材を集め組織化してきました。ただ、研究員が不在なもので……。そこでお二人には組織のトップに立ち、研究員として私を助けていただきたい。それだけです」

「ですが総理、俺とま……安藤さんが仕事をする場所、つまり研究所はもう……」

「何を言ってますか。あるでしょう研究所は。IFGR……いや、日本病原体学研究所が……」

「病原体学研究所……?それって父の……」

 真理子が言った。

「そうです。あなたのお父様の研究所です。そこが、関東のやつらに乗っ取られてしまい、IFGRとなったのです」

 大道寺はそう言った。


 【IFGR内にて―――】

「ここが、安藤の……!?」

 言葉を失った相良。それもそのはず、この研究施設は元々、真理子の父の物。厳密にいえば、真理子の父の物になるはずだった研究所だ。

 こうなる前の関西では、唯一の研究機関で、主に微生物や病原体を扱っていた。関東にもこういった研究所は存在していたが、関西には劣っており、BSL・Ⅳを設立するだけの資金も研究できる人材もいなかった。そのため、関東側の研究者や学者、大統領までもがこの施設を狙ったのだ。

「今、彼女の父が生きているのかは分からない。でも、もし亡くなっていたら、この研究所は彼女の物になる」



 【議事堂内にて―――】

「日本病原体学研究所は、関西の……いや日本の唯一無二の研究機関だった。誰もがそこに入りたがり、研究をやりたがる。そんな機関だったんです。それは関西だけでなく、関東も同じだった。そこなら自分の思う研究ができる。実際、そう言った理由で関東から移り、こっちへ住み始めた人もいました。そこで日本病原体学研究所に勝るとも劣らない研究施設が出来たのが、あなたたちのいたULIです」

「なぜ、彼女の父の研究機関は奪われたんですか……?」

「ある仮説が原因です」

「仮説って……なんとか計画……ですか?」

「そうです。学者が立てた計画は三段階ありました。まず、第一段階……」

 三段階の内の第一段階、それは“ハデスの選択”だった。

 国民一人一人に与えられたバンド型ICチップ。それは常時装着することを義務付けられていた。二四時間、三六五日、外すことはない。それにより、政府は国民の監視を続けた。人種、性別、年齢、装着者個人の状態など、それを分析しふるいにかけること。それを冥界の神であるハデスの名を付け、ハデスの選択と命名した。

「このICチップがそんなことに使われていたなんて……私はただ便利なものだとばかり思っていました」

「確かに便利なものだ。けど、いつも監視されているようなものだもんな……」

 西条は腕に着いているバンド型ICチップを手で触った。

「そして、第二段階。これが今回のこの事態です。君たちが発見し、治療薬を作ったウイルス、これをばら撒き、ハデスの選択を生き延びたものがさらに、篩にかけられた」

「ラルドウイルス……」

「そうです。そのラルドウイルスが今回の発端だった。ラルドウイルスをばら撒き、人類の数を減らすことが目的だった。これが“人類減衰計画”と言うバカげた計画です」

 大道寺は人類減衰計画について説明した。

 二人は大道寺から一度も視線を外さなかった。

「人類減衰計画とは、簡単に言えば、生存能力・共存能力・競争能力がどれだけあるかを確認するために人類を篩にかけ、基準に満たなかった者を落としていくという残酷極まりない計画です。ラルドウイルスの散布により生き残った者がこの計画の勝者となる。あいつらはまるでゲームのように語った……。そしてこれは“パンドラ計画”と命名された」

「パンドラ計画……?」

 真理子が尋ねる。説明したのは西条だった。

「恐らく、ギリシャ神話のパンドラから取ったものだろう。パンドラは神によって作られ、人類の災いとして地上に送られた女性の神だ。地上に送られた際に、全ての災いと悪を封入した箱を持たせたって。マリちゃんも聞いたことがあるだろ?パンドラの箱って」

「あ……聞いたことある。パンドラの箱って言うのは開けると何か悪いことが起こるかもしれないって言う例えで、箱の中に最後に残ったものが、確か希望……」

 真理子がそこまで話したとき、再び大道寺は話し始めた。

「そのパンドラの名前をとってこの計画をパンドラ計画と名付けた。この計画が成功し、最終まで残った人類が次のステージに進む。そして次が第三段階です。これはプロメテウス計画と呼ばれています。この計画は、ハデス、パンドラと二つの計画を生き延びた人類が、次の世界を創っていくという無謀な計画です」

 真理子は尋ねた。「でもそれは、いい計画なんじゃ……」と。しかし大道寺は首を横に振る。

「そこだけ聞けばいい計画に聞こえるかもしれない。けれど、本当の狙いは、関東の大統領はじめ学者たちのいいように世界を変えていくと言う、関東にとって都合のいい計画だった。これらの計画を阻止するために、私は警察組織の中でも優秀な人材を確保し、独自に精鋭部隊を作った。それをまとめ、計画を阻止するために新田朋子と言う女性をスパイに、研究施設へ潜り込ませた」

「新田さんは内側から、総理は外側から……というわけですね……」

 西条はそう口に出す。

「その通りです。ただ、パンドラ計画の阻止は失敗してしまった。何としてでも、プロメテウス計画だけは阻止しなければなりません。もうすでに実行されかかっている。今はまだ本当の実行の前の準備を進めているところなんです。この準備を阻止すれば、計画自体を阻止できる。だから、君たちの力を貸してほしい」

 大道寺に頭を下げられた二人は、戸惑い、言葉を発せずにいた。

「マリちゃん、西条くん……。絶対に力を貸してほしいと言うわけではないのよ。ただ、あなた達の力があれば、阻止できると思っただけなの」

「おばちゃん……」

「なか……新田さん……いつからそこに?」

「たった今着いたとこよ。総理に話をしようと思って入ったら、あなた達の会話が聞こえてきたの」

 朋子は真理子たちの横に座り、大道寺に報告を始めた。

「総理、プロメテウス計画が進んでいます。これ以上進行すると……もう……」

「……二人とも、老いぼれのわがままとして、頼まれてくれないですか……?日本の、いや地球の危機なんだ……」

 口には出さないが、このプロメテウス計画とは相当危険なものだろう。それを民間人である自分たちに助けてくれと頼んでいる。しかも総理直々にだ。二人は顔を見合わせた。断れない。そう思った西条は条件を出し、それと引き換えに手伝うことを承諾した。

「よし、分かりました。男に二言はありません。それで……お二人の条件は?」

「まず一つは、今回のラルドウイルスによる感染者、例の施設にいる感染者たちの状態を把握したいんです。なので、施設にいる感染者を隔離し、観察ができる場所を確保してください。地下は……新田さんによって破壊されたので。出来れば、研究と治療が同じ場所で出来るように……」

「分かりました。確保しましょう。ところで……破壊って……」

 破壊と聞き、大道寺は朋子に視線をやった。彼女は頬を搔きながら気まずそうに口を開く。

「あ……いや……幹部たちを説得しようと、その……ラボに仕掛けた爆弾を……」

 ラボに仕掛けた爆弾を爆破させ、感染者が地下から出てきた。そして条件付きで射殺……と言うことは、感染者はもういない……。西条は朋子に聞いた。

「あ、あの……ラボに爆弾を仕掛けてそれを爆破させたんですよね。と言うことは、感染者たちは……」

「職員たちの安否は不明ね……。あの施設にはもういない。あ、でもキャリアの女性は無事よ……?爆弾を仕掛けた時に、彼女だけ避難させたから」

 そう言う問題じゃない……と西条は突っ込みたかったが、ここは抑える。

 キャリアの女性が生きているのなら、薬は作ることが出来る。それに、経過の観察も可能だ。

「女性が無事なら良いです……。それと、二つ目の条件です。研究や治療、総理の頼みは聞きます。なので、それ以外の行動に干渉したり、行動に制限だけはしないで頂きたい」

「うん、分かりました。私はこの関西が無事で、地球がこれ以上悪くならなければいい。あなたたちの条件は飲みます。では、契約成立ということで……」

 大道寺は右手を西条に差し出した。西条もまた、その手を強く握る。

 西条の隣にいた真理子は、その様子を見ていた。また大変なことになったな……と心の中で思ったのは秘密だ。

 それからも話は続いた。そして何時間か経った末、今日はゆっくり休みなさいと、総理は二人に部屋を用意した。温かいシャワーを浴び、温かい食事をとる。そして温かい布団で眠る。それがこんなに嬉しく、ありがたいとは思わなかった。

 二人は長い疲れを、久しぶりにゆっくり消化した。

 翌朝、朝食をとった後、総理から話があった。研究所と治療、観察ができる場所を確保できた。あとは研究所のメンテナンスをするだけだとのことだ。

「今日は彼女について、我々の施設や計画を聞いてくると良い」

 そう総理に言われ、西条たち二人は朋子と一日を過ごすことになる。

 議事堂の横に併設されている一際大きな建物。それが真理子たちが仕事をする場所だった。総理直属の精鋭部隊メンバーを紹介され、彼らの任務やこれから自分たちが活動を行うことになる拠点など、さまざまな説明を受けた。

「彼らがうちのメンバーね。左から、佐伯君、中崎君、半田君、佐々木君、安田君。彼らは元々は警察組織のメンバーだったんだけど、事態が発覚した際に総理が自ら選抜した。そして、このチームを作った。ちなみに、このチームの隊長が佐伯くんね。それともう一人いるんだけど、今はここにいないみたいだから、また後で紹介するわ」

「佐伯です。初めまして。お二人のことは聞きました。とても優秀な研究員だそうで。我々が総理とお二人をお守りしますので、ご安心を」

 施設の隊員たちとは異なる雰囲気に、少し戸惑う二人。朋子がそれを察したのか、活動の場となる場所を案内する。

「そしてここが私たちの主な活動場所。あの施設に比べると狭いけど、別に区切られてるわけではないし、所員たちとの会話も制限なし。むしろ、情報共有はうちのモットーね」

 朋子の言う通り、ここでは誰もが会話し、笑い合っていた。本来の人間の姿を垣間見た気がする。施設では仕事内容について話すことは禁じられていたからだ。

「俺とマリちゃんの場所は……」

「私もまだ聞いてないわ。でももうすぐ教えてくれるんじゃないかしら。それよりも西条君……私のこと、気付いてたの?」

「ええ、まあ……」

「いつから気付いてたの……?」

「気づいたのは、本当に最近です。実は少し前から、怪しい行動をしてるなと思っていて……で、たまたま電話をしているのを聞いて。それから色々と考えてたら実はガイアの仲間なんじゃないかって」

 朋子は「なるほどね……。さすがだわ」と感心した。真理子も関心の眼差しを西条に向けていた。

「新田さんっ!」

 誰かの声が聞こえ、朋子は振り返る。 

「飯田君……走らないの。またこけるわよ?」

「大丈夫ですよ。それより来てたんですね!」

「ええ。この二人が例の二人よ。今日から私たちと共に仕事をすることになったの。まあ、色々と教えてあげて?」

「はい!了解です!僕は飯田です。お二人、お名前は?」

 飯田のテンションに引きながらも、二人は自己紹介をした。

「よろしくお願いします!あ……新田さん、総理がお呼びでしたよ。何でも、お二人の研究所のメンテナンスが終わったとか。部屋で待ってると総理が言ってました!」

「そう?ありがとう。じゃあ、行きましょうか」

 二人は飯田に軽く会釈し、朋子の後を追った。

 彼らは朋子に連れられ、総理がいるという部屋に着いた。

 室内に入ると大道寺が一人の男性と席に座り、二人を待ち構えていた。

「西条さん、どうですか?この施設は……」

「そうですね。いい雰囲気でした。職員も生き生きとして、人間らしくて」

 西条の答えに、思わず笑ってしまう大道寺。

「それはさておき、お二人の研究所が出来ましたよ。案内するので、彼について行ってください」

 そう紹介された男性は、二人の前に立ち、自己紹介した。

「俺は黒川だ。よろしく」

 黒川は「俺についてきてくれ」と、二人を案内する。案内された場所は、ついこの間まで二人が働いていたULIだった。いや、そっくりと言うべきか。しかし、あれは関西にあったはず。ここ関東にあるはずはないのだが……。

「ここって……」

「二人がいた研究施設だそうだな。総理に聞いたよ。二人なら今のこの日本を救えると。だから俺は協力することにしたんだ」

「この建物は一体……」

「外観や施設内部の造りを再現してある。動きやすいほうがいいかと思ってまあ、簡単に言えばあの建物をここに持ってきたってことだな」

「持ってくる……?建物を?」

「ああ。あ……持ってきたと言っても、建物を移動させたわけじゃないぞ。造りを正確に再現して、ここに立て直したんだ。今の技術なら、一日もあれば余裕だからな。動いたのは人間じゃなくロボットだしな」

 二人は早速扉を開け、中に入った。そこはまるで本物の、自分たちがいた研究所だった。あのULIが今自分たちの目の前に……。これが再現してある建物だと言われても、信じられない。そっくりという言葉では言い表せないでいた。

「二人がいた時は大勢の人間が働いていたそうだが、今、職員と呼べるのは君たち二人だけだ」

「どうして私たちだけ……さすがにあと何人かは職員が欲しいんです。だれか雇ってもいいですか?」

「あ……君たちはニュースを見ることはできなかったのか……。実は、人口はかなり減ったんだ。特にこのウイルスの影響は日本が最も強かったらしく、人間は少なくなった。今は国家に関わる者と、その部下、重要人物、そして限られた一般人のみしか日本にいない。他の者はウイルスによって亡くなったか、ゾンビ化して射殺か……」

 そうだ。黒川の話を聞いて思い出した。ラルドウイルスに感染した者の中で一部の感染者がゾンビのようになっていたんだ……。真理子は黒川に尋ねた。

「あの、黒川さん……ラルドウイルスに感染した人の中で、その……ゾンビみたいになった人たちがいたんです。それって……」

「あ~……俺も聞いたことがある。何でも、一度は死んだが再び生き返ったとか。俺はそう言うのに詳しくないから良くは分からないが……思い当たることは無いのか?」

 黒川のその言葉を聞いて、西条はふと何かに気付き口を開いた。

「ゾンビ・パウダー……」

 その言葉に二人は反応する。

「ゾンビ・パウダーと言うものがあると聞いたことがあるんだ。ゾンビは架空のものだがそれを実際に作るにはそのパウダーがあって、そのパウダーにはテトロドトキシンが含まれているらしい。確か起源はナイジェリアの少数民族だったはずだ。このパウダーを傷口から浸透させ、意図的に仮死状態を作り出す。仮死状態にある脳は酸欠に陥るから、ダメージを負う。つまり、自発的意思が消滅するか減少する。意思を持たず、動き回ることが出来るからゾンビだって……。けど、今回の事態とゾンビ・パウダーは関係ないな……」

「だとすると、脳幹かもしれません。もしかしたら、ラルドウイルスは脳を破壊するのかも。脳幹を含む組織を破壊されたものは死に至り、脳幹を避けて破壊されたものはゾンビのようになる。これならラルドによって変化した者とそうでない者の辻褄が合いませんか?」

 西条と真理子の会話を聞いていた黒川は、手で顎を触り、二人の会話を聞いていた。やはり、総理が目を付けただけある。この二人は優秀だ……。優秀すぎるといっても過言ではない。彼はそう思った。二人が会話を続けていた時、どこからかポップなメロディーが鳴った。

「ん?あ、俺か……はい、黒川……」

 黒川のインターネットメガネだ。彼はそれを取り出し、装着した。電話の相手は大道寺だ。

「総理、どうかしましたか?今、二人を例の研究所へ……」

『それどころじゃないんだ!予定より早く実行された!もう日本は終わるぞ!早く、二人を連れてこっちへ戻ってくれ。新田にも伝えた。早く来い!』

 電話は切れた。ただ事じゃない。黒川は二人への説明を省き、大道寺の元へと連れ帰った。

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