「あえて『わかります』」とかいわない 2022年私的総括

 長らく更新もしてなかったので生存報告も含めて何か書こうと思ったのだけれど全然何も書けなくて、結局書きかけだった『さよなら絵梨』の感想も『レヴュースタァライト』に関する新しい文書も途中のまま消しちゃった。

 べつにないならないで何か書く必要もないのだけど、なんとなく久しぶりにカクヨムひらいたのでまあなんか書くかと思ってとりあえず今書いている。しかし理由はともかく、題材は欲しい。あっそうだ、去年みて印象的だった作品をざっとレヴューでもして2022年を総括してみるか。ということで唐突で今更だが私的2022年総括を以下。


『Gのレコンギスタ』

 正確には劇場版の第4部と5部。3部まではアマプラでみた。いわずもがな富野由悠季によるガンダム正統続編作品。御大自ら「ガンダムの失地回復運動」を掲げた作品であり、確かに初代ガンダムと対になるような表現が随所になされている。しかし最終盤にベルリを改めて旅立たせノレドと出会いなおさせるシーンは、今思い出すと少し説教くさすぎる気もする。まあ御大自身、若者への説教のためにつくったみたいなこといってたしな。

『リーンの翼』でヒロインのニュクスを演じた嶋村侑が本作ヒロインのひとりであるアイーダを演じており、富野が好きな(たぶん)背が高くて尻がでかくて高飛車なんだけどどこか抜けてるお姫様キャラに、これほど似合う声もないよなと思った。

 それでいうとニュクスは主人公とくっついた後、最後消えちゃうんだけど、アイーダさんはたぶんあれ最後ケルベスさんとくっついてるよね? まぁ姉だもんね。仕方ないね。

 富野って意外とっていったらあれだけど、結構政治的に正しい話や描写が多い気がする。演出のために派手に首とばしたり、セックスさせたりとかしないよね。Gレコは特に。あれべつにハーレムエンドでもよかった気がするんだよな。あとベルリが腹くだして女の子3人に見守られながら操縦席でうんこするシーンも笑ったけど、あれを女の子にやらせないところとかも。当たり前か。でもあの描写ひとつで、もしかたらアイーダさんも戦闘の合間とかにああやって用を足してるのかなと想像をかきたてさせるのはさすがです。Gセルフに音姫機能あるならGアルケインにもあるでしょう。えっちだ。

 ところでこの前『水星の魔女』がBPO審議入りしたって報道が流れたけど(結局誤報だった)、そのとき「ガンダムなんだから」という理由で擁護してたネットの人たちの反応みると、みんなのもつ「ガンダム」のイメージって富野が実際に描いているものと真逆なのでは? と思ったりした。そりゃ説教のひとつやふたつしたくもなるよな。

 最後に、ぼくは富野由悠季を劣等感の上で綱渡りする曲芸師だと思ってるんですよね。あの人の話聞いていると他の作家や文学や映画への劣等感がすさまじい。でも劣等感って必ずしもものをつくる原動力にはならないですからね。見て見ぬふりしてもいいし、そのうち忘れたり気づかぬふりしてるうちに克服できたりしてしまう。でもあの人は劣等感という細い綱の上を、まるで踏み外せば死ぬとでもいったようなおびただしい緊張感をみなぎらせて歩いている。劣等感があることをしかと認め、それに堕することも、それを克服することもなく、ただただそのうえで自己を保ち、歩み続ける。批評精神のなんとやらですね。

 ちなみに『閃光のハサウェイ』についても書こうとしたんですがあれ? ハサウェイって2022年だっけ? と思って調べたら2021年でした。嘘だろ。


『レヴュースタァライト』

 いや、今更書く必要もなくね? と思ったけど去年みたものがあまりに思い出せないから仕方なく…… 仕方なくじゃねえよ! 大傑作だったろ! いやでも今のわしにはこの作品をきちんと語るための言葉がまだ足りんのじゃ…… まえの『あえて「わかります」といっておく』だったっけ? あれはよくいっても片手落ち、悪く言えばうんこです。いや、うんこです。

 何が気に入らないって、追記にも書いたんですけどやっぱ物語分析に終始しちゃってるところなんですよね(その精度も怪しい。ご批判お待ちしております)。画面や音響のことには全く触れられていない。それは果たして映画をみた感想といえるのか。「体験型」アニメの『レヴュースタァライト』ならなおさらでしょう。ちゃんとした感想を書けるまでしばしお待ちを。

 ちなみに毎度のこと一口に『レヴュースタァライト』といっておりますが、ぼくが高く評価してるのはあくまでロンドロンドロンドです。テレビ版も悪くはありませんが凡作かなと。劇場版も傑作ではありますが、ロンドロンドロンドに比べればやはり一歩及ばない。そう感じる理由も含めて書きたいと思っております。


『シン・ウルトラマン』

 特報2まではめちゃくちゃかっこよかったのに、特報3で「あ、ダメだな」とは思った。案の定だった。脚本は庵野なのに監督が庵野じゃないってだけでここまで違ってくるのか。これはこれでいいとは思うけど、良くも悪くも本当にチープな作品。今日はびこっているいわゆる「B級映画」なるものを意図して完璧につくりあげた作品といっても過言ではない。そもそも今日はびこるその「B級映画」なるものの認識が本来のそれからずれているので、巷の評価も含めて総じてずれている感。米津玄師の主題歌もマジでクソチープ。ツイッターで長澤まさみのケツをしつこく映しまわすことにキレていた批評家がいたが、ぼくはあまり気にならなかった。それ以前の問題では。


『チェンソーマン』

 アニメのほうです。原作は好きです。実は1話しかみてないので語る資格はないです。なので全部みたOPとEDについてだけ。

 OP 映画クイズかよ。原作者の藤本タツキが映画好きだからという理由で様々な映画のオマージュを使っているらしいのだが、全然かっこよくないし、あれをみて「映画愛にあふれてますね!」なんていえるとしたら嫌味としてだけだろう。オマージュ云々は置いといても、冒頭のツルツルした3D素体を上から徐々に降下させつつ回り込みながら撮るカットが底抜けにダサい。

 ED たくさんあるが曲も映像も総じてかっこよくない。『ちゅ、多様性。』という曲が元相対性理論のメンバーがつくった曲だということでやたらツイッターでもてはやされていたが、あの曲調をかっこよく歌いこなせるのは、やはりやくしまるえつこだけなんだなと思った。

 総評 なんかおっさんたちが「今時の若者ってこんなのが好きなでしょ~笑」つってつくってる感じがしてまあ、怒りましたね。原作は結構好きなんですよ。それゆえほんと、怒りもあるしがっかり感はんぱなかったです。


『ドライブ・マイ・カー』

 なんかアカデミー賞のなんちゃら賞をとって有名らしいのでアマプラでみた。なかなかよかった。続けて同じ監督の『寝ても覚めても』もみて、あっこの監督はうまい人だなと思った。直前にみた『TENET』がひどかったから過大にみえるだけじゃなかった。セックス、手話、舞台演劇、ノンバーバルコミュニケーション、交わっているようで常に交わらない視線、うまいなとは思う反面、ツイッターにいる批評家ワナビーがいかにも語りやすそうな作品だなとは思った。個人的には『寝ても覚めても』のほうが好みです。


 以上です。もうちょい多岐にいろんなジャンルのコンテンツについて語ろうと思ったのですが、正直あんまりおぼえてません。あと書くの疲れました。とりあえず生存報告が主目的なので、今回はここまででいいんじゃないでしょうか。

 で、2022年の総括ですが、悪くはなかったです。図書館に通うようになって読書習慣もついたし、映画もみるようになりました。あんまり上のレヴュー関係ないですね。今年は執筆量を増やしていこうと思います。「まあ、どちらかといえばしあわせかな」といえるような一年一年にしていきたいですね。

 あとタイトルにもあるんですが、無駄に偉そうなことはいわないようにしていこうと思います。


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