親の知らぬ間に

大田区のとある家庭からの依頼があった。

無線LANの接続設定だ。

家庭に1台息子さんのパソコンを接続する設定をしてほしいという簡単な内容だ。早速出向くと、息子さんの部屋に案内された。

部活で柔道をやっているらしく、帰宅が遅いらしい。

ログインのアカウントとパスワード記載したメモを渡される。

若干電波状況が悪く、設定に苦戦する。

何とかインターネットが普通に見れる感じに設定完了。

ご主人へ作業完了を伝える。

最近パソコンが重いので、それも何とか見てもらえないかとのこと。

時間もあるので、引き受けた。

Cのドライブを確認すると、データで圧迫されている。

残りのデータ領域は3GB程度しかない。

アプリを入れている形跡もなく、不思議に思った。

パソコン自体は1年前に購入したもので、スペックもそこそこ良い。

ドライブ全体の総容量は1500GBもある。

プログラムからドキュメントなど、細かく確認をした。

もしかしてと、予想通りの結果だ。

画像ファイルと動画ファイルがえらく保存している。

若い学生なら、エロ画像や動画は当たり前だから仕方ない。

それにしてもよくも集めたものだ。

問題は、親にどう説明するかだ。

考えた末、個人のデータ容量が限度を超過しているという具合に伝えた。

ご主人が息子さんと電話で話をしている。

息子さんからUSBメモリにデータを移動して、空き容量を増やしてほしいとのことだった。

10GBのUSBメモリを4〜5本渡された。

結構時間がかかることを伝えて、引き受ける。

動画も画像も1つ1つのサイズが大きく転送に時間がかかる。

お決まりの飲み物とお菓子のサービスが来た。

ありがたくいただき、その最中にデータを転送する。

転送中することもないので、どんな画像があるのか確認する。

目の前が真っ白になった。

データのファイル名は日付と意味不明のアルファベットだったのだが。

その内容は驚きだった。

いわゆる普通のエロ画像、エロ動画ではなく。

男同士の、、、ホモセクシャルなものであった。

それもすべて、実際にデジカメで撮影されたものだ。

そこに写っている男性は柔道着をまとっている。

正直参った。

女性のエロ画像なら普通に説明できるのに、、、。

もっとも厄介だ。

窮地に追い込まれた時にいいアイディアが浮かんだ。

すべてzip圧縮して見れなくすれば良い。

容量も軽量化する。

親も見れない。


そうすること2時間経過して、ようやく転送も完了した。

ドライブのデータはすべて抹消した。


ご主人が息子さんに作業完了の電話をしている。

途中で、ご主人が一言「息子がフォルダの中見たか聞いて欲しいと」


「圧縮はファイル開けなくてもできるので、そのまま圧縮しました」と伝えた。

絶句、俺は危うく命の危機を感じた瞬間であった。

首絞め、羽交い締めにでもあったら終わりだ。

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