不倫は恐怖のパスワード

月替りの日は、やたらパスワードの問い合わせが増える。メールやインターネットなどさまざまだ。そもそもメモでもしていれば良いのだが、安易なパスワードだとすぐに乗っ取られるし。日本は海外と比較して相当遅れた認識だ。主婦からメールのパスワードの件で、問い合わせがあった。それも本人ではなく、ご主人のらしい。契約主は奥さん名義だ。だが、いくら夫婦でも教えるわけにはいかない。聞いているパスワードを入れても拒否され、メールが見れないとのこと。ご主人が仕事で出張とのことで、自宅のパソコンでメールを確認するように言われているという。履歴を見ると、2〜3日前にパスワード変更履歴があった。そのことを伝えると、そんなはずはないと激しく激怒された。直接ご主人に確認してもらうように伝えると、今新幹線で移動中らしく、連絡が取れないという。時間をおいてご主人と確認していただくように伝える。何だか騒々しい問い合わせだった。数時間後、再度奥さんからコールが入る。息を切らしたかのように、新幹線で電話が繋がらないので、こっちでかけてみてくれとの依頼。マネージャーに相談して、仕方なく連絡をとってみる。直ぐに電話は繋がった。奥さんからの依頼があり、事情を話すと。そんな依頼は奥さんにはしていないとのこと。奥さんかどうか確かめていただくようにご主人へ伝える。すぐに奥さんへ連絡するとのことだった。ちなみご主人は出張ではなく旅行と言っていたのが気になった。仮で依頼対応が保留ということを記録に入力した。気になったので履歴を見ると、過去にも2回ほど同じ内容で問い合わせが来ている。そんなにパスワード変更しているのか。何だか怪しい。翌日、マネージャーに、この依頼の件の進捗があったのか聞いてみた。特に連絡はなく、無事解決したのではないかという見解だった。それからも会員番号から、毎日その人の履歴に進展ががないか、チェックをするようになった。1週間ぐらいしてからだろうか、パスワードの変更履歴があった。またコールがあるのではないかと嫌な予感がした。

何気なく契約者の欄を見ると、何と名義が変わっているというより、旧姓カッコマークが付いていた。そして恐る恐る、初期設定されたパスワードに目をやった。ローマ字で何やらとても長い文字列。Kamisamawadoniirunoという文字列だった?数字は含まれていないが、これなら覚えやすいのか。何だろうこれ。その瞬間、顔瞬時に青ざめ恐怖のホラー映画をみたかのような、背筋に電流が流れた。「かみさまはどこにいるの。」ローマ字を普通に読んで聞くとこうなる。絶句、すべての経緯を理解した。ご主人は不倫か何かで愛人とのやり取りを奥さんに隠すために、パスワード変更をしていた。結果、離婚をして姓が変わったということだ。ちょっとしたB級ホラーの映画を見た気分だった。うちらサポートまで巻き込まないで欲しい。それにしても「神様はどこにいるの」こんなパスワード設定やめて欲しい。

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