天然の新人
女性の新人が入社した。今でこそ、珍しくないが当時はIT系の職種に女性が従事するのはとても珍しかった。以前にも同様のサポートをしていたということもあり即戦力として少し期待されていた。色々と話を聞くと、ITのことはそこそこ熟知している様子だ。早速、新人向けのテストを受けさせる。同僚がお客になり、対応をさせるというものである。
内容は、インターネット接続できないという問い合わせに始まり、基本的なパソコンの操作などだ。リーダークラスがインターネット接続不可ということでコールする。
いつごろから発生しているのか、パソコンはいつ購入したのか、なにか変わった様子や設定を触れていないか、モデムという機器の様子、パソコンの起動時の様子、一連の流れをヒヤリングして問題のないことを伝えた。さてどうする、原因究明が始まる。誰もがそう予想して彼女のスキルに期待をしていた。すると、折返し電話をするということで終わった。何やら色々調査するのだろう。このテストの結果に期待して、通常業務に自分は戻った。ランチの時間になり、久しぶりに町中華へ例のセキュリティオタクくんとチャーハンを食べに行った。そこで彼女の話が出た。ところで調査して結果は出たの?
いや午前中では調査中で、まだ折り返し電話はしていないという経過らしいよ。おいおいまじかよ、もう2時間以上かかってるし、大丈夫なの。うん、本人に助け舟出すように言われたけど、自力で何とかするから集中させてくれと言われたとのこと。何だか嫌な予感がした。ランチを終えて戻ると。休憩も取らずに彼女は何やら調べていた。結局午後3時を過ぎても解決策が見つからず、リーダーがこういう場合にはここを確認すると正解を伝えて終わった。問題が難しすぎたのか、それとも深く考えすぎて無理だったのか。
定時終わり間際の休憩が一緒だったので、何気なく聞いてみた。問題は難しかったのか。
素直に彼女は答えた、私のパソコンはマックなので、ウインドウズのことはよくわからないんですよね。驚愕だった。更には自宅のインターネットについての話が出た。賃貸アパートらしいが、アパートにはネット環境が付いてるらしいが、大家の部屋が1階にあり、そこからルーターという機械で分岐して、LANという配線が各アパートの部屋に壁をつたわり、分離させているらしい。何とも画期的というか、手作り感満載のアパートだ。最後に彼女は言った。ネットの管理費で毎月1000円引かれるらしい。それを当たり前だと思っていることにも驚いた。
絶句、この子は相当やばいと同時に色々な笑いの引き出しを持っているに違いない。仲良くなろう。そう決めた日だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます