第44話 ロゼ一派vsセシル、ドラン
「魔力量が半分になった……。やりにくいったらありゃしねぇな」
コランは悪態をついた。
黒い空間に包まれた中で俺はコランを横目に魔力を高めた。
「白魔術
「ロゼ君。そんなに高い魔術を出して大丈夫?」
リックは心配そうな表情でそう言った。
「リック、この結界はあの目が潰れてるやつの魔術だ。そっちは俺一人でやる。お前ら全員でもう一人と戦ってくれ」
「でも…」
その時、盲目の男、セシルがこちらに向かって来た。
「ぐずぐずしている暇はないぞ」
「黒魔術
ギイイイイイン
白と黒の剣がぶつかり合う。
セシルの不気味な殺気が俺の肌をヒシヒシと打っていた。
「残り39万か…、もう少し出して貰わないとな」
セシルはそう言って俺の腹を思いっきり蹴る。
大人に蹴られた俺は、体重差で結界はの壁まで吹っ飛んだ。そして黒い幕の結界に触れた瞬間、身体全身に衝撃を感じた。
「グアアアァ」
全身が痺れる。
「くそ、
俺は黒い幕に手を右手を付いた。すると手から風が吹く。風に体重ごと持っていかれて、俺は結界の攻撃から抜けた。
「……やはり5大魔力性質全て使えるのか」
セシルは見えない目で、俺の動きを見てそう言った。
「さて、俺も始めるか」
激しくやり合うのを見てドランは屈伸運動をした。
「ストレッチしてる場合かよ。
拳に土魔術の力を込めたコランはドラン目掛けて振りかぶった。すると手のひらから岩石が次々と現れて、ドランを襲った。
「ふん、くだらんな。
ドランの手前に魔力陣が現れた。だが、いつまで経っても攻撃が来ない。
「これは……? いかんな…」
後方から見ていたジルはドランの技を読み取った。
「みんな、ワシのところまで下がってくれ」
コランの近くにいたリスターとリックにも声を掛ける。
だが、遅かった。コランは妙な感覚に襲われた。全身が内部から振動した。
「グワァァァァ」
コランの全身の穴から血が噴き出した。
同じ様な現象がリスター、リックにも現れた。
「間に合わなかったか……、
土を固めた紐の様なものが血を流す3人に絡みつき、ジルの元まで引きずっていった。
「はぁはぁ……くそ、なんなんだ。あの攻撃は?」
コランは首元を押さえながら言った。
「あれは雷性質による電波攻撃だ。目には見えまい」
ジルは答えた。
「見えない攻撃…そんなものが…」
リックはドランを睨んだ。
「全ての攻撃をすり抜けもするが、一定期間距離を保つと攻撃は当たらない。それが唯一の弱点じゃ」
「厄介だな」
リスターが言った。
「君たち打たれ強いね。もっと出力を上げるようか。
ドランの正面に魔方陣が4つ現れた。それぞれ中央が回転し始める。
「みんな結界ギリギリまで距離を取れ」
唯一攻撃の仕組みを理解しているジルが指揮をとった。4人はバラバラに分かれて、距離を取る。
「へぇ…でもこちらから近づいたらどうかな?」
ドランは魔方陣を維持したまま、走って来た。
「まずは、ガキ。お前からだ」
ドランはリックに目をつけた。謎に高い魔力量も経験が浅ければ意味はない。
「リック、避けろよ〜。複合魔術
コランがドランの背後から氷のビームを打った。
「バカめ、無駄だ」
ドランは自身の4つの魔法陣のうち二つをコランに向けた。すると、瞬く間に氷は割れ、コランは体内にダメージを受けて倒れた。
だが、リックはその隙をついて背後に周った。
「
ドランの周囲360度全てに水滴が浮かび上がった。ドランは慌てて、
「………?」
不気味だと思ったドランは水滴の場の外に出ようと移動した。だが、水滴はドランの後を追いかける様にしてくっついて来る。
「囲め」
リックの合図と共に水滴はドランの元で一つの水の塊となった。
「ゴボボボボ……」
ドランは地上で溺れた。
「すごい魔術だな」
リスターは感心した様に言った。
「みんな、攻撃するなら今だよ」
リックはジルとリスターにそう返した。
「良し、
「
リスターとジルはそれぞれ魔術で攻撃した。不思議な水の塊の中で溺れているドランは魔術が来ていると分かっていても避けることが出来なかった。
ドオオオン!
水、雷、土の魔術の衝撃波と煙がリックの肌を打つ。やがて煙が晴れると、ドランは地に伏していた。
「はぁはぁ……どうやら殺った様だじゃな」
ジルが言った。ジルもリスターも魔力量が半分しか出せないからか、体力の消耗が早かった。
リックは同じ結界内で戦っているロゼとセシルの方を見た。とんでもない速さで剣がぶつかり合い、その間をついて魔術が放出されている。まだ余力のあるリックは二人の戦いにどう割り込んでいくか考えていた。
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