第40話 サウザーvsウェルト
残り魔力量
サウザー 45万
ウェルト 25万
クリスタル工場の扉の正面付近ではブースター軍団3千と工場長アント配下の従業員5千が戦いを繰り広げていた。魔術を使う者、武器を持って戦う者、それぞれだった。その中でサウザーは長い銀髪の男と対峙していた。
「ウェルトと言ったな。確か
「ああ、そういえばそんな事もあったな。あの時は少々驚いた。白魔術を既にあのレベルで使えていたとは。サウザー、お前が教えたのか?」
「俺が魔術を教えていた事も知っているのか。お前らシルバーエンジェルはどこまで監視していたのだ?」
「ふっ、それには答えられんな。お前はもう裏切り者扱いされている。大人しく捕まった方が良いぞ」
「それを決めるのはお前じゃない」
サウザーはウェルトにそう吐き捨てた。
「
サウザーは高速で動き物凄いスピードでウェルトの元に詰め寄った。
「三尖刀
サウザーは自身が持っている三尖刀に魔術で炎を纏わせた。その炎はウェルトの顔面のほんの手前を通り過ぎた。ウェルトは慌てて後ろに飛び退く。
「やっぱり強いな。でも魔力量だけが全てじゃない事を君もわかってるだろ」
そう言ってウェルトは鎧に仕込んでいたマスクを取り出した。
「暗殺魔術
ウェルトの前に魔法陣が出現した。そこから深い毒の霧が発生しウェルトはその影に隠れて見えなくなった。
「この毒を吸うと2秒で全身が痺れ、1分吸い続けると死ぬ。私はもちろんガスマスクで無事だ」
霧の中からウェルトの勝ち誇った声が聞こえる。
「なるほど…厄介だな」
サウザーは周囲を見渡した。ブースター軍団と工場の従業員の激しい戦いは続いている。あちこちに死体や負傷者が転がっている。俺の魔術一つでこの毒の霧は吹き飛ばせるだろう。だが吹き飛ばした毒霧は別の元に向かう筈だ。こいつらを巻き込まない様にするのが一番厄介だった。
そうこうしている内に毒霧はサウザーの近くまでやって来た。毒の分散を最小限に抑えて且つウェルトを攻撃する魔術を放つ必要があるだろう。
-サウザーは子供の頃の記憶-
「この子は魔術の才能がある。魔力量50万なんて我が家始まって以来始めてだ」
青い髪をした少年サウザーは父に連れられて魔軍局の道場を訪れていた。父の側にはもう1人青髪の少女がいる。少女はサウザーの一つ上の姉だった。
2人に見守られながらサウザーは現国王のオズワルドに頭を下げた。
「オズワルド様、我が子サウザーを立派な魔術使いにして下さい。我々は
「金は要らないよ。必要なのは、この子の意志で入りたいかどうかだ。どうだサウザー。訓練はきつい時もあるぞ。魔軍局に入ってクリスタル王国を守り抜く立派中な戦士になりたいか?」
「うん、なりたい。なってこの国を守るんだ」
そう言ったサウザーは直ぐにクリスタル城の真下にある巨大な魔軍局に連れて行かれた。最初に行ったのは放出魔術についての訓練だった。
「目の前の空間に魔術を放出するのが放出魔術だ。これは全て魔術の基礎なんだよ。それと同時に最も応用が効く魔術でもある。例えば、範囲だ。より大きな的全体に当てる事も出来るし、逆に魔力を圧縮して小さな魔術を放つ事も可能なんだ」
オズワルドはサウザーに説明しながら離れた所にある大小の的にそれぞれ炎の性質を持った放出魔術を当てて見せた
「スゲー。俺も特訓して出来る様にしよう」
「なに、焦ることは無いさ。ゆっくりと毎日練習して身体に覚えさせるんだ」−
迫り来る毒気を前にサウザーは意識を集中した。濃い霧でも感知魔術で敵の位置は分かる。その一点だけを打ち抜く。
「複合魔術
サウザーの魔力性質である炎、雷、風の3つの魔力が目の前に発生した。それは小指の先よりも小さなサイズまで圧縮されると人差し指から弾丸の様に発射した。
毒霧の中でウェルトは何か膨大な魔術がこちらに向かってきている気配を感知魔術で察知した。このサイズとスピードなら余裕で避けれる。ウェルトは毒霧の中でそう思っていた。だが予想外に加速した為、避けるタイミングを見失った。
サウザーはウェルトの魔力が唐突に失われていくのを感じ取った。遠くからでも大量に出血しているのが分かった。サウザーはもう安心だと思って近づいた。
「クソ…私は羨ましかったんだ…魔軍局に入った時から特別扱い…その影で私は…シルバーエンジェルに入って暗殺魔術を鍛えたのだが……ふっ私の昔話はいいか…私をここまでだ…後は頼んだ……」
最後にそう言ってウェルトは息を引き取った。
「特別扱いなんかじゃなかったさ。普通の人よりも厳しい訓練の日々だった。ウェルト、あんたも影でクリスタル王国を守り抜いた同士だ。お疲れ様」
残り魔力量
サウザー 31万9千
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