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「キミ、どうかしたの? 体の具合でも悪いの?」


 僕がしゃがみ込んでいると、不意に声をかけられた。


 それはやや高音で、芯のある女性の声。顔を上げるとそこには僕より少し年上くらいのお姉さんがいて、眉を曇らせながらこちらを覗きこんでいた。


 お姉さんは透き通った白い肌と整った顔立ちに翡翠のような色の瞳。月のような白銀の髪をショートボブにしている。服は黒を基調とした貴族っぽいデザインで、胸は握った拳を少し大きくしたくらいか。


 また、雰囲気はハキハキとしていて、話しかけやすそうな印象がある。


「えっと……具合が悪いわけではないです。実は僕、おカネがなくて困ってて……」


「財布を落としちゃったとか?」


「あ……えーと……おカネを入れた袋が行方不明で……」


 事情を詳しく話すわけにはいかないので、嘘をつかない範囲でうまく誤魔化しておいた。



 ――うん、財布を落としたことは肯定も否定もしていないし、おカネを入れた袋が行方不明なのは間違いない。僕にしては咄嗟にうまく答えられたと思う。


 すると僕の言葉を聞いたお姉さんは人差し指を唇に当て、視線を少し上に向けながら考え込む。そして一拍の間が空いたあと、真顔で僕を見つめてくる。


「キミ、これから時間ある? 私の買い物に付き合ってくれないかな? 洋服屋さんとか小物屋さんとか、そのほか何軒か。そうしてくれたらお小遣いをあげる」


「えっ? それって荷物持ちということですか?」


「そんな感じかな。それにひとりで買い物をするのもちょっと寂しいなぁって思ってたんだ」


「そうだったんですか! はいっ、ぜひお供させてください!」


 捨てる神あれば拾う神ありだ。僕は一も二もなくこの申し出を受け入れる。


 だって買い物に付き合って荷物持ちをするだけでおカネがもらえるなんて、そんな好条件の話はなかなかないことだから。運が良かったなぁ。


 僕が感激していると、お姉さんはクスクスと微笑みながら満足げに頷く。


「うんっ、決まりっ! 私はレーナ。キミの名前は?」


「アレスです!」


「じゃ、アレス。行きましょっ♪」


 僕はレーナさんの差し出した手を握り、引っ張ってもらってその場から立ちあがる。その手はスベスベとしていて、お日様のように温かかった。



 ――ここでダイス判定。六面ダイスを二個振ろう。数値の合計は?



●7以上……→3へ

https://kakuyomu.jp/works/16816927859115438262/episodes/16816927859115803178


●6以下……→28へ

https://kakuyomu.jp/works/16816927859115438262/episodes/16816927859116789277


 

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