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僕は町を徘徊して、落ちているおカネを探すことにした。
これだけ大きな町ならあちこちに硬貨が落ちているだろうし、それらを拾い集めればそこそこの金額になるはず。塵も積もれば山となると言うしね。
だから僕は俯いて地面を注意深く眺めながら、メインストリートを歩いていく。
――でもその時だった。
「痛っ!」
不意に僕は誰かに当たってしまった。
顔を上げてみると、そこには目付きの悪いお兄さんがいて、額に青筋を立てながらこちらを睨んでいる。
「おい、クソガキ! ぶつかっておいて謝罪もなしか?」
「あっ! えっとっ、ご、ごめんなさいっ!」
僕は何度も頭を下げて、ひたすら平謝り。
でもお兄さんはそんなことで許してくれるわけもなく、怒りに満ちた表情で僕の胸ぐらを掴んでくる。その強烈な力によって僕の体は持ち上げられ、かかとの辺りが少し浮かぶ。
「骨にヒビが入っちまったよ。治療費を払ってもらわないとな」
「そんな……あれくらいで……。それにおカネなんて持ってないし……」
「じゃ、同じ目に遭ってもらうしかないな」
お兄さんは僕を突き飛ばしつつ、間を置かずに拳を僕の顔に向かって繰り出した。
直後、痛みと衝撃とともに脳が揺れて、気付いた時には地面に仰向けに倒れていた。鼻の奥にはツンとした血の臭いが漂い、頬は熱と痛みに満ちている。
痛い……痛すぎる……。
通行人の誰も助けてくれない。みんな見て見ぬ振りをして、僕のところを避けるようにして通り過ぎていく。
――その後も僕はお兄さんに殴られ続け、次第に意識が遠のいていくのだった。
BAD END 2-3
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