第199話 プレ花火大会 本番編 9月下旬

<<五稜郭建設予定地>>


ドン!  ヒュ~~~~~~~~~ ドゴン! しゅわしゅわ~~~


「おお~~すっげぇ! すっげぇぜ!」


夜空に打ち上げられる花火を見上げながら、ディーが目をキラキラさせて興奮する。


「ディー、大興奮じゃねぇか。いいだろ? 花火」


ある程度料理とお酒が入ったところで、花火の打ち上げ開始。俺はテーブル廻りを開始することにした。


まずは、ディーのテーブルからだ。


「いいなぁ。ロマンがある。綺麗だしなぁ。でも、これをサイレンでやるとなるとかなりハードルが高くねぇかなぁ。市民がみんな驚いて苦情が来そうだぞ?」


「ま、まあ、知らない人がみたらそうなのかもな。でもすぐ慣れるって」


「うう~ん。お前達はどう思う?」


ディーは、同じテーブルにいるトメやクリスや小田原さんに意見を求める。


「うちの古城の名物にしたいっすね。波の無い湖の方が、花火には向いている気がします」とはクリス。


「自分は、サイレンでもやっていいとは思いますが、事前に住民に対し、しっかりと周知しておく必要があると考えます」とはトメ。


クリスとトメが自分たちの意見を出してくれる。この2人は、元強制労働者でごつい見た目に似合わず、結構まともなことを言う。

いろんな意見を貰った方が、プレ大会をやった意味があるというものだ。


「よし! 兄上には前向きに話をしてみようか」とディーが言った。


「さすがディー。良い返事を待ってるぜ」


ドン!ドドンドン!  ヒュ~~~~~ヒュヒュ~~~  ドンドン!


夜空に巨大な花火が連続で打ち上がる。海に花火の色が反射して綺麗だ。


ふと見ると、軽空母の屋上から、うちのクルー達がこっそり花火を眺めている。まあ、大目に見よう。

夜は基本的に恐竜も大人しいし。そもそも、堀自体は出来ているしね。


さて、イセのテーブルに行く前に、少し厨房の様子を確認しよう。


・・・・


一旦、軽空母の中に入る。外の少し落ち着いた雰囲気とは真逆で、ここは戦場の様にドタバタしていた。


「イセ様のドリンクが8割切った。次を準備せよ」


「ディー様が飲まれるお酒の量は異常だ。大丈夫なのか? 誰か専属で付けよう。そして、後でウコンを差し上げよう」


「料理、そろそろメインに入ります。しばらく、花火はおとなしいヤツにしましょう」


「屋上にも飲み物を。クルーの方が楽しまれている」


スタッフ達が縦横無尽に奮闘している。


「多比良様。何かお困りでしょうか」と、スタッフの一人が俺に気づいて言った。


忙しいのに少し申し分けない。


「少し様子を見に来ただけです。困ったことはありませんか?」


「今の所はありません」


「了解です。引続きよろしくお願いします。私は、野暮用を済ませたらすぐに戻ります・・・いたいた」


厨房の奥に目的の人物を発見。


「どうなされました?」


「いやいや気にしないで」


・・・


厨房に行くと、油が入った鍋の前で集中しているオキタがいた。


「オキタ」


「何です?」


「今日の来客は見たか?」


「何の事です? 今日は忙しくって」


いや、こいつ、イセが来ていること、知らないはずはないはずだ。多分。だが、何なんだこの軽い感じは。


「少し、お前に頼みたいことがあってな」


「本当になんですか。僕、今日は揚物も任されてるんです」と、オキタがこちらを見ずに言った。集中しているのだろう。今はエビの天ぷら中だ。音で上げ時を見極めているはずだ。


「じゃあ、揚げたてを魔王のテーブルに運んでやってくれ」


「はあ? まあいいけど。これ揚げたら、僕が持って行くよ」と、オキタが、揚がった天ぷらを掬いながらがら同意した。


・・・


飛行甲板に戻ると、滝のある断崖絶壁に仕掛けられた花火が炎を吹き上げていた。立体的で綺麗だ。


「お疲れ様。しかし花火も凄い量だ。これは日本でもなかなか見られないと思う」と言いながら、今度はイセのテーブルに入る。


奮発したんだろうなぁ。でも感染症対策で花火大会が軒並み中止になり、花火も結構余っていると聞いた。ここぞとばかりに持ってきたんだろう。


「やっと来おったか。まあ、今回お前はおもてなしをする側だからのう。致し方ないか」


「そうそ。今回は接待だから。ここに旅館が出来たら、流石に誰かにお任せしようと思うけど」


俺は、旅館を利用したいのであって、旅館で働きたいわけじゃないのだ。


「ここに旅館か。当然温泉付きになるのだろうがな。もっと静かでひっそりとした旅館にすれば良かっただろうに。これは巨大すぎるだろう」と、イセが花火を見ながら言った。


「実はその辺、少し後悔してて。でも、城郭はともかく、旅館自体は小さめでいいかなと思ってる。若しくは2つ造るか? 団体様用と超高級旅館」


魔王の両腕が宙に浮いてタッチパネルを操作する。それを魔王の娘ナナセが受け取って見せてくれる。


『肉追加。酒もお代わり』


俺は近くにいたスタッフに魔王の注文を伝える。

誰とも直接対面せずに、花火と料理を楽しんでやがる、ある意味贅沢なやつめ。


「お待たせ。おじさん、揚物持ってきたぁ、ヒィィィ!!」


食べ物を持ってきたオキタが、テーブルに座っている人物を見て悲鳴をあげる。まさか、こいつ知らなかったのか?

誰か教えておけよ・・・ここに母親イセがいること。


「なんじゃ? 失礼なやつめ。こっちへ来い」


実の母親を見て悲鳴を上げるとか確かに失礼だ。オキタはおそるおそるイセに近づいていく。

ちなみにイセには、ここにオキタがいることはちゃんと伝えている。


「はいはぃいい・・・」


がっ! 「ぐわぁあああ」


イセがオキタにヘッドロックアンドアイアンクローを噛ます。

料理を乗せたお盆は、落とさないように俺がちゃんと受け取っておいた。


「躾がなっておらんのう。ああん!?」


「ぎゃあああ、止めて、止めてぇ。おかあ」「誰が、誰の何だって? おいコラ!」


「ぐわぁあああ」


オキタは必死にアイアンクローを外そうとするが、なかなか抜けないようだ。


というか、清洋建設さんテーブルにいる人達がドン引きしている。

端から見ると、粗相をした新人スタッフに暴力を振るっているようにしか見えない。

オキタは背が小さいし、まだ角も短いので、言われなければ親子とは分からない。


ディー達は大体の事情は知っている。だからなのか、微笑ましい光景に見えているようで、談笑している。


「まあまあイセ。この揚げ物は天ぷらといって、日本の料理だ。オキタが作ったらしいぞ。揚げたてが一番うまい」


目の前の皿にはエビや野菜、そして謎肉の天ぷらが盛られている。ほくほくで美味しそうだ。

そして、つゆ出汁の香りが立ち上る。なお、天つゆはザギさんが配ってくれた。


「ふん。まだまだ修行を始めたばかりのひよこだろうが」と、イセが言って、やっとアイアンクローを外す。


そのまま、天ぷらの皿を目の前にする。その後ろには、涙目のオキタが突っ立っている。


あの涙は再会の涙ではなく、単に痛かっただけだろう。


「ほらほら、仕事しなさい。オキタ」


仕方が無いので俺が助け船を出してあげることに。


「あ、あの、こちらはエビとイカ、こちらは旬野菜、こちらは極楽蛇になります。今回は日本の食材とこちらの食材両方を使用しています。つゆに付けてお召しあがりください」


イセがエビの天ぷらをつゆに付けて口にする。さくっ! といい音がした。


「ほう・・・まあまあじゃな」と言って、満面の笑みを浮べる。


口ではああ言うが、表情的においしかったのはばればれだ。よかったよかった。


・・・


「あの、締めはラーメンとお茶漬けを選べますが、いかが致しましょうか」


オキタがイセのテーブルにメニューを聞きに来た。あれ以来、オキタはこのテーブルの担当になったみたいだ。スタッフを差配している五星リゾートの人が気を使ってくれたのだろう。

母娘関係であることを知ったのだろうか。別に秘密ではないことだから、知ってもいいんだけど。


「両方でいいんじゃね? ラーメンをハーフにして貰ってもいいし」


というか、俺のテーブルは清洋建設さんのところだったんだけど、いつの間にかここのテーブルに居座っている。ここのテーブルの方が楽しそうだったし、仕方が無い。まあ、清洋建設さん達も席を立ってディー達と談笑しているし、固まっているよりはいいだろう。


「そうだな。両方気になるから両方じゃ。多かったらツツが食べるだろう」


「は、はい」


いきなり話を振られたツツがびっくりしている。

こんな冗談を言うなんて、イセは機嫌がいいのかもしれない。


虚空からデジタルパネルが現われる。『僕も両方。ハーフにしなくていい』と書かれていた。


「魔王も両方か。フルサイズで。もう、全員両方フルサイズでいいんじゃないか? 余ったら、ツツが食べるらしいし」


「はい、では両方お持ちします。全部フルサイズで」


オキタが少しニヤっとして厨房に戻って行く。


きっと、少し意趣返しができると思ってほくそ笑んだのだろう。


・・・・


ずるずる~~~とした音がテーブル中で聞こえる。


「おお、これがラーメンか。これは別腹じゃ」


ラーメンは概ね好評のようだ。というかこのラーメンは・・・


「これって、築地さんの竜骨ラーメン?」と、まだテーブルにいたオキタに聞いた。


「あ、はい。そうです。今回はわざわざサイレンからスープと麺を運んできました」


「ほう。こだわってるなぁ」


料理の方は全部任せていたから、俺は全然知らなかった。


「あの、父がおかわりだそうです」と、娘のナナセが教えてくれる。


それを聞いたスタッフ達が厨房に走る。

魔王はラーメンが気に入ったか。


「俺はお茶漬けの方をいただくか。これ、何の肉なんだろ」


米の入ったどんぶりの上には、肉が付いた何かの骨が乗っている。


お茶はまだ急須の中だ。


「それはアブラガエルの炙りです。お茶をかけるとよい出汁がでます」と、オキタが説明してくれる。


なんと。今は希少なアブラガエルだったか。


「どれどれ」


とととと~とお茶をぶっかける。いい匂いが立ち上る。美味しそうだ。お腹いっぱいのはずなのに、これは食べたくなる。


「これ、塩味は効いてる?」


「はい。効かせていますが、足りなければお申し付けください」


オキタの給仕ぶりも様になってきた。


「うむ。お茶漬けも別腹じゃ」


イセは気持ちいい食いっぷりでどんぶりを空けていく。


腕が出てきてどんぶりとお茶がここではないどこかの空間に消えていく。魔王もお茶漬けに取りかかったようだ。


ん? 飛行甲板の隅で五星さんが俺に対し、目配せしている。なんだろうか。


「ちょっと行ってくる」


・・・・


「お料理のコースとしては、後はデザートのみになります。それから、花火は尺玉を最後に残しております。発射のタイミングは多比良様にお任せしたいのですが」


なぬ? 大玉のタイミングとは責任重大な。


「多比良さん、今回は主催者でもあるんですから、最後に一言入れられてはいかがですか?」


後ろについて来たツツが余計な提案を。まあ、一理あるのは確かだ。だがしかし、何も用意していない。


「そ、そうだなツツ。お前の言うとおりだ。だが・・・ご、五星さん? 当たり障りのない挨拶って何かありますでしょうか」


「はい。お任せください」


五星さんは、何一つ嫌な顔をせず何か考えてくれることに。苦手な事は、どんどん人に任せよう。


・・・・


全員いることを確認し、手渡されたメモを手に挨拶を開始する。


「え~皆さん。少しよろしいでしょうか・・・・本日はお楽しみいただけたようで何よりです。この世界とあちらの世界。まだ正式な交流はありませんが、我々は言葉が通じ合う同じ人類であることが確認できました。このことはとても喜ばしいことです。本日は最後に尺玉と呼ばれる大きな花火をご用意いたしております。それでは、ご注目ください」


言い終わるとすぐに五星さんを見る。

すぐに無線機で花火班に合図を送ってくれる。


しばらく待つ。


ドゴン!  ヒュ~~~~~~~~~ ドッゴォオオオン! バチバチバチ~~シュワ~・・・・


「わぁ~~~」「おおきぃ~~」「おお~~~」


確かに大きい。真上を見上げないと全体を把握できない。連発もいいけど、巨大な単発もいい。もの凄い迫力だ。


見ると、イセも目をまん丸にして驚いている。


よかった。楽しんでくれているようだ。


その後、同じくらいの大きな球が数発打ち上げられて、花火大会は終了。


モンスターの来襲も恐竜トラブルも無く無事に終わった。


・・・・


花火が終わると、帰宅タイムが始まる。


まず最初に帰っていったのはイセ達だ。

ジニィとザギさんは俺を応援するように小さく手を振って帰っていった。


次に花火班と清洋建設3人組と五星リゾートの人達を送る。

後片付けはこちらのスタッフで行う予定だ。


最後に小田原さんがトメとクリスを連れてサイレンに帰って行った。

ディーと徳済さんはここに残るみたいだ。祥子さんも残るし、2次会をしたいのだろう。


飛行甲板に出していた『パラレル・ゲート』から戻り、「ふう~~終了!」と言ってみる。


アッシーの仕事をして戻った先の飛行甲板では、フランやアルセ達が洗浄の水魔術で掃除をしていた。


「お帰りなさい。花火凄かったです」「興奮したけろ」


「それは良かった。サイレンでも出来たらいいんだけど」


「タイガの川縁かわべりでやってもきっと綺麗けろ」


「そうだな」


クルーとしゃべっていると、奥からディーが出てきて、「お! 戻って来たな。2次会と行くぞ。今日を楽しみにしてたんだ」と言った。


「いやいや、皆掃除してるし」


「厨房の連中はまだまだやる気だぞ。まかない料理ついでに軽くつまみを作ってくれるそうだ」


「飲んできてくださいよ。旦那様」


フランに背中を押される。


「そっか。無礼講でみんな飲んでしまえ。監視と護衛以外」


俺はお酒はセーブしていたから、確かにもう少し飲みたい。


「あはは。ここで全員酔っ払たら流石に危険だからな。中のラウンジで飲み直そうぜ。どうせお前あまり飲んでいないんだろう?」とディーが言って、軽空母の中に入っていく。


・・・・


「はい。カワイカの炙りです。はい」


オキタがつまみを持ってきてくれる。少しほっとした顔をしている。


「サンキューオキタ」


厨房の横にあるラウンジには、俺、ツツ、ディー、徳済さんで二次会をやっていた。

厨房横にあるハイカウンターには、ラムさんとノルンが座っており、バーテンダーの祥子さんと談笑しながら飲んでいる。


「今日は楽しかったわ。呼んでくれてありがとう」と徳済さん。


「はい。カクテル。私も助かるわ。報酬が破格だもの。道具類もお酒もいいの貰っちゃったし」と、祥子さんがハイカウンターからわざわざ飲み物を持ってきてくれた。


バーテンダー姿の祥子さんはとても格好いい。


「出張バーテンダーって結構需要ありそう。今後も呼んでいい?」


「もちろん。今は綾子におんぶにだっこで少し、ね。稼げるんなら助かっちゃうわ」と祥子さんが言って、ウインクして去って行く。チャーミングだ。


「バーテンダーなら、うちのベガスにも習わせようと思っている。いろんな酒が自宅で飲めたら便利だしな」とディーが言った。


ディーが炙りイカを食いながらテキーラを呷る。直ぐにお代わりを注文している。

ベガスさんのバーテンダーはとても似合いそうだ。


「祥子さんを講師に雇えばいい。シェイカーとかお酒は俺が日本から買って来てもいいし」


厳密には買って来てもらうんだけど。


「なるほど。お願いしようかな。しかし、今日は有意義だった。美味しい物を食べられたし、珍しい物も見れた。日本人とも知り合いになれたからな」


「そうだな。今日は俺が連れてきた人だったけど・・・第2世界は、ここと違って人間が飽和状態で。土地の取り合い、富の奪い合いなんかやっている。そんな彼らが異世界に並々ならぬ感心を示している。ま、感心を示す事自体は仕方がないことかな? 今後、やってくる人もドンドン増えると思う」


「そうね。大金を払ってでも異世界に入りたいと考える人や組織は多いでしょうね」とは徳済さん。


「俺には彼らの国家戦略やら宗教的使命やらを語る知識はないけど。ラメヒー王国も少しは気にしておいた方がいいと思う。アメリカに中国にヨーロッパにさ、色々と情報収集しておいた方がいいだろう」


「ああ、今、オダワラに頼んで本やらデータやらを送ってもらっている。いずれ誰か人を雇いたいんだが。誰かいい人はいないか? 今の所マ国から情報貰ってるけど、国家として独自にブレーンを持っておくべきなんだよなぁ」とディーが言う。


「ううむ。今思い当たる人はいないけど。何か縁があったら考えておく。聞きたいことがあれば、今日来た人を連れて来てもいいし。高遠さんに相談してもいい。そういえばさ、エンパイアとかリン国はどう考えてるんだ? 今回の異世界転移が出来るようになった点は」


「ああ、マ国から連絡が行っているはずだ。今度4カ国会議があるから、そのあたりで正式に動きがあるだろう」


「4カ国会議か。マ国、ラメヒー王国、リン・ツポネス国、それからエンパイアの会議か。そういえば俺、エンパイアの人と会ったことないわ。大国なんだよなぁ。確か」


リン・ツポネス国も留学生しか見かけたことないけど。


「ん? 大国というかさ、私がエンパイア出身なんだけど」と、後ろで声がした。


カウンターでちびちび飲んでいたノルンが、こちらの会話に入って来た。


「そうなのか? そうか・・・あそこにはお前みたいなのが沢山いるのか・・・」


「いないわよ! 私は単に、あっちにいられなくなって・・・」


「一体何やったんだ? 一応聞いてみても?」


「やんごとなき人を襲った」


「うん。予想してた。想定内」


「というのは冗談。島流しにあったのよ」


島流しでバルバロというのもどうなんだろう。バルバロに失礼では?


「その割には楽しそうだな。夜な夜な男性を襲ってるんだろ?」


「・・・私が沢山の男性と性行為をしないといけない罰を受けているとしたら?」とノルンが妖艶な笑みを見せながら言った。


「なんてはた迷惑な罰なんだよそれ。まあ、それだけだったら、お前は美人だからクリア自体は楽勝だろうな」


「うふふ。ありがとう。おじさんだったら、してもいいわ」


「いや、俺は既婚者だから。不倫はしないから」


「・・・は?」


ノルンが固まった。徳済さんも固まっている。


「いや、俺既婚者だから」2度言ってみる。


「・・・私としたことが混乱したわ。まあ、貴方のことはいっか。でも、覚えておいて。私はね。沢山のいろんな男性と性的な行為をしないといけないの。だから、好きな人としてはだめ。絶対に独占欲が生まれて、拘束し合ってしまう。だから、嫌がる人とばかりしているのよ? ま、半分は趣味だけどね~」


「なんだよ、そのもっともらしいけど嘘くさい理由は。あまり迷惑かけるなよ。ったく」


「はいはい。でも、最後はみんな許してくれるのよ?」


ノルンは、長細い耳をぴょこぴょこさせながら、上機嫌でお酒を呷った。


俺もそこそこ酔ってきた。


プレ花火大会。やってよかった・・・・

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