第10話 果たして間に合うか?いざ第五層
王侯騎士団駐屯地にあるファストフード店、マッカズに入った三人は、店内で何を食べるか決めていた。
「うわー地上とメニュー同じだー」
マリエラは驚いていた。
「しかも、アプリもつかえる」
メイリンはいつも注文するメニューをアプリに登録しているので
アプリから注文した。
「グラゴロボロネーゼセットで、飲み物はコークで、あと、ナゲット15ピース、店内で、あとアプリとかカードないです・・・」
それぞれが注文を終え、商品をもらうと
二階にある席で食べることにした。
「なんか不思議ー・・・ダンジョン内でマッカズ食べれるなんて・・・」
マリエラはダブチを頬張る
「よく、持ち込みで食うことはあるけど、できたてをダンジョン内で食うのは初めてだな」
ウーノはポテトを口に咥える
「ウーノ、ナゲットちょうだい」
メイリンはウーノからナゲットをもらい、期間限定のステーキソースに漬けて食べる。
ある程度食べ終わったところで、ウーノは今後について話し出す。
「さて、これからのルートだが、第四層を楽に進められる今、5層へのルートは・・・メイリンマップ見せて」
メイリンはスマホの画面を見せる。
それを見てマリエラは訪ねた
「どうやって5層に行くの?」
「五層に行くルートは二通りある」
第五層は少し特殊な階層となっている。
ウーノ達が通ってきたルートはここまで最短ルートを通り、間をすっ飛ばしてきたが、実際のダンジョンはそれぞれ複数のエリアが存在する。
第ニ層の沼地ですら、本来は二つのルートが存在し、第三層も2つのエリアが存在する。
そして第四層は王侯騎士団が占領する竜泉以外に、キノコの中原エリア、ゴーレム要塞、そして、北の隣国との中立地帯が存在する。
「えっ、中立地帯って、ダンジョン内にそんなのあるの?」
「そもそも、なんでここを王侯騎士団が占領してるかわかるか?」
ここ竜泉は本来はダンジョンであったが、かつて北の隣国がダンジョン内を通り、ユウラーク王国に侵攻してきた事があったのだ。
そのため、この場所が隣国と面している要所である以上、竜泉を駐屯地として隣国との防衛地点を定める必要があった。
「へぇーそうなんだ、ということは、このダンジョンって北と繋がってるの?」
「ああ、それだけじゃなくて、第三層は西側と繋がるルートが有るぞ、ただ西側諸国が関所を設けてるけどな」
そう、ダンジョンは地下世界であり、それぞれが様々な国と繋がっているのだ。
そのため、各国はダンジョンの支配、占有を主な目的としている。
「それで、話は戻すが、第五層への行き方はここから直ぐ近くに、下りの道があるからそこに向かう」
第五層は三つのエリアが存在する。
下りの道はそのうち、2つのエリアに繋がっており、そこを通ることで目的のダンジョン最下層に繋がっている。
「俺たちが向かうのは、まだ行ったことは無いんだけど、骸の夢回廊だな」
骸の夢回廊、攻略サイトによると、通過するだけならそこまで時間はかからないものの
かなりの体力消耗を強いる場所であり、自分たちに合わないと思ったのなら直ぐに引き返すことをオススメする、と書かれていた。
このダンジョン自体は、なんの報酬も得られないが、学者たちが研究のためによく向かう場所であり、戦闘力は要求されるものではないそうだ。
「なんか矛盾してない?学者が行くような場所なのに、体力の消耗が激しいの?」
「俺もそこはわからん・・・まあ、あんまし人気のないダンジョンなのと、正規ルートだと一番遠回りだから誰も来たがらないしな」
「とりあえず、俺達の向かうべきは決まった!まずは骸の夢回廊だ!」
三人は骸の夢回廊を目指すべく、マッカズで持ち帰りの品を買ってから、下りの道へと向かうのだった。
駐屯地を後にして、ほどなくすると、下りの道を見つけることが出来た。
ご丁寧に案内看板が立っている。よく見ると、騎士団駐屯地立入禁止等の看板もあるため、これらは騎士団が立てたのだろう。
看板の案内通りに、道を進むと、下り坂の曲がりくねった道へになる。
やがて道は螺旋状になり、更にその先で、二股に別れていた。
「結構歩いたな、なにもない単調な道だから助かるっちゃ助かるけど・・・」
メイリンはスマホを取り出し時間を確認する。
「マッカズで食事した時はお昼過ぎくらいだったけど、今は夕方は四時半くらい」
なんだかんだで一日半は使ったんだな、残り一日半で最下層にたどり着いて
そこからスマホを探すと・・・正直最下層の遺跡群はそこまで広いわけではなかったけど、建物が入り組んでるからな・・・それに、もし誰かに拾われでもしてたら面倒だな。
「よし、ここから先は未知のエリアだ、気合い入れて進むぞ!」
三人は左側の道にを進み、骸の夢回廊を目指すのだった。
三人が歩いてからしばらく、道幅が徐々に広くなっていった。
やがて、大きな洞窟に出ることになった。
洞窟内は、天井は高く、なぜか知らないが辺りを把握できるほどに、ほのかに明かりを帯びていた。
その理由は洞窟内の微生物や苔、そして何かの怨念のようなものが、淡い光を撒き散らしていた。
「あまり、いい雰囲気じゃないわね」
マリエラは身構えた。
洞窟内を漂う空気は、生き物、獣の臭いを感じさせなかった。
苔が生えているにも関わらず、虫なども見受けられなかった。
「むしろ、虫とかが居ないことのが気になるな、ここに来る途中何度か小さい虫は見かけたけど、それすら居ない」
しばらく進むと、人間の骨と思われる死体が、所々に散見していた。
ここに挑んだ冒険者達の死体だろうか?
やがて、洞窟は狭くなっていく、突き当りに近づいてきたようだ
このまま行けば、洞窟の出口に出るだろう。
そう思われた時、三人はあるものを見つけた。
「なんだこれ・・・焼け焦げた
そこには石の祭壇、と呼んでいいのかわからない台に、焦げのついた髑髏が祀られたった。
なんのために祀ってるのかはわからないが、あまりいい趣味ではない。
「薄気味悪いな・・・」
「あんまし、みつめていいものじゃない」
メイリンは何か怯えた様子だった。
すると、髑髏の祭壇の奥に、人工の石畳が見えた。
あの石畳の様子はどこかで見たことがある。
「あれは!水神遺跡の石畳だ!」
ウーノは石畳の様子から、自分がたどり着いた遺跡群を思い出した。
どうやらあの遺跡群にこの洞窟は繋がっているようだ。
「みんな!目的の場所は近いぞ!!」
その言葉に3人はやる気を出し、石畳の方へと近づこうとした。
その時である。
焼け焦げた髑髏が突然浮かび上がり、カタカタと音を立てた。
「ちょ、ちょっとなに!」
マリエラは怯えた様子で杖を構える。
三人はそれぞれに武器を構えるが・・・
すると、髑髏の目が光りだし、辺りを強い光が包む。
三人は自分たちの体が宙に浮く感覚に包まれると、光に飲み込まれるかのように
その場から消え去ったのだ。
焼け焦げた髑髏だけを残して。
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