第7話 到着!ダンジョンの北側!ってまたまた落ちるの!?

樹木の上から釣り竿を投げて水面を揺らしながら沼地を移動する三人。


樹木が動くたびに樹木が水面を揺らす

そのたびに、それを感じた他の樹木も釣られて集まってくる。

気がつけば樹木の大行進だ。


この樹木の行進に他の沼地の獣たちも怪しんで、向かってくるものは少ないだろう。

そしてついに


「あっ」

マリエラが声を漏らす


「みんな!陸地だ!沼地が無くなったみたい。」

どうやら投げていた釣り竿の針が、チャポンと言わなくなったようだ。


どのくらい進んだのだろうか、陸地に突き当たるということは、やはりここは・・・


マリエラの肩を借りながらゆっくりと樹木から降りる

メイリンは石を沼地の方に投げて沼の方向に樹木を誘導する

これで彼らは、また沼地の獣達の足音を頼りに生きていくだろう。


とりあえずスマホで大まかの現在地を割り出す。

たぶんこのまま陸沿いを歩いて行けば目的の場所につくぞ


ウーノとメイリンは意気揚々と歩いていく

しかし、マリエラは気が進まなかった。



しばらく歩くと、壁沿いに小さな光が見えた。

そしてわずかだが、風が流れていることに気がついた。


「そ、外の臭いだ!沼のくせー臭いじゃない、外の臭いがするぞ!」


三人は走っていく、やがて風は徐々に勢いを増し

そして光もどんどん強くなっていく。


暗がりから明るい場所に出たことで、外の光に目がくらむ

ゆっくりと目を開けると、そこは・・・


「大洞穴の大穴だああああああああ!」


眼前に広がる景色は それはもう壮大だった。

直径にして2km2キロほどの巨大な穴だった。


この穴はダンジョンを縦に貫いており

外の光がダンジョンの下へと差し込んでくる。 

「ここは本当にダンジョンなの?ダンジョンの外に出ちゃったんじゃない?」

マリエラは疑問を投げかけた。


実際のところを言おう、ここはダンジョンではない。

もともとは天井がありそこに小さな穴が空いている程度の縦に続く穴だったのだが

それを王侯騎士団が穴を吹き飛ばし、ダンジョンの下に続く三層を飛ばして

四層へと繋げてしまったのだ。


この大穴の下には何があるのか

それは・・・


ワイバーン系の竜種が住む竜の住処 通称がある。

しかし、今現在ココはダンジョンではない。


そう、この場所は

東大陸神聖ユウラーク王国、王侯騎士団直轄 駐屯地である


この直径2kの大穴の範囲は王侯騎士団の駐屯地であり

縦2kに続く上空から下層に続くこの空間は

冒険者立入禁止の場所である。


この大穴がある場所は飛行禁止区域

王侯騎士団の飛行生物以外通ることは出来ない。


なので、たまにmyチューバーがこの駐屯地に入ろうとしては逮捕され人生を棒に振る。


そう、我々3人の秘策は、この禁止区域を落ちることで

ダンジョンの三層をすっ飛ばし、一気に四層に向かう作戦である。


「ねえ、ちょっといい・・・?」

マリエラは神妙な面持ちで話しかける


「分かってる、マリエラ・・・これは違法行為だ、見つかれば唯じゃ済まない」

ここまで彼女を連れてきてしまった責任はあるが

それでももう引き返すことは出来ない・・・


「あの、そうじゃなくてねウーノ」

「なんだマリエラ?」


「この穴をどうやって降りるつもりなの?まさかとは思うけどまた・・・クモに乗って・・・」


ああ、そのことか

「安心してくれマリエラ、ちゃんと秘策がある」

「マリエラ、沼地で移動したときのことを覚えてる?」


メイリンは語りだす


この大洞穴の崖でしかない縦穴を降りる方法。

それは・・・


「大地に嫌われる呪いをかけて降りる!?」

マリエラは驚いた。


そう、大地に嫌われる呪いをかければ、この高さから飛び降りても

地面に激突する寸前に呪いが発動し、地面にぶつかることはない。


「だからこの高さから飛び降りても大丈夫よ」

メイリンは太鼓判を押した。

メイリンは呪術の天才だ。

彼女の五大元素にかける呪いは他の呪術師を凌駕する。


彼女は信じるに値する。


「わかったは、メイリン、あなたなら信じれる」


こいつ俺のことは信じてないなと思ったが決して口に出さず

温かい目で見守ることを決めたウーノであった。



「さあメイリン、呪いをかけてくれ!」


メイリンは呪文を唱える。

彼女の声が2人の体にひりつくような感覚を与える。

やはり加護と違い、呪いだけあって 

体には嫌ものが走る感覚がある。


呪文を唱え置いた時、三人の足は大地からふわっと浮き出した。


「すごい!沼地と違って凄く浮いている、ふわふわだ~」

マリエラはフワフワの状態にはしゃぎだす


「一応言っておくけど、これは呪いだから・・・前回かけたのより威力は強いの」


加護と違い呪いは肉体に影響をもたらしやすい

メイリンは呪術の天才だからこそこれを扱えているが

本来ならば肉体に悪影響を及ぼしやすい

できるだけ早く大洞窟の大穴を降り、そしていち早く解呪しなければいけない。


「よし、それじゃあこの穴を降りるぞ!」

「「おおー!」」


三人はせーので飛び降りた。

マリエラはウキウキだった、一度空を飛んでみたいと想っていた。

昔空を飛ぶ夢を見た事がある。

その時はふわふわと綿毛のように漂いながら華麗に舞う

そんな夢だった。


マリエラはその夢を現実にできると思いくるくると回りながら落下していった。




「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


高速で落下していく三人

当たり前の話だが、大地に嫌われているだけで空に対して何かあるわけではない。

すなわち地面のない場所ではそのまま普通に落下する。


つまり、これはただの飛び降り、それもかなり高所からの飛び降りでしか無い。


「なんでなのよおおおおおおおおおお」

マリエラはただただ叫んだ

風圧と落下の高速で気絶しそうになったが、なんとか気持ちを持ちこたえたが

迫りくる地面に対して恐怖が勝り マリエラは気絶した。


あと少しで地面に激突する!かに思えたが地面近づくに連れ三人の体は

徐々に浮き上がる感覚になり、地面に到着する頃には速度は不思議と消えていき

地面に足をつけることなくフワフワと漂うことが出来た。


「楽しかったなー」

「ねーたのしかったねースカイダイビング」


ウーノとメイリンは楽しそうに話す

マリエラは泡吹いて白目向いてた。



「おいマリエラ起きろ」

ウーノに起こされたマリエラは口元の泡を拭いウーノに詰め寄った

「なにが秘策じゃボケ!こんな危険な事させておいて!ころすぞ!」


するとウーノはマリエラの口を手で塞いだ

「馬鹿、大声出すな・・・マズイ事になったぞ」


ウーノはヒソヒソ声で話した。


ウーノが目線をやると、そこには王侯騎士団の団員が巡回に来ていた。


「この辺に女の死体があるはずだ」

「叫び声揚げながら落ちてきたって言うからな・・・事故なんだろうけど」

「たまに禁止区域だと知らずに来て足滑らせて落ちるやついるんだよなぁ」

「たぶん、グシャグシャだろうな・・・ああ、気持ちわり」


どうやらマリエラが叫びながら落ちたことで、その声を聞いた騎士団が

この辺りに落下したであろう冒険者の死体を探しに来たのだ。


「いいか、死体を見つけたら報告しろ、骨でも肉片でもちゃんと集めろよ。それを元に蘇生できるかもしれないんだからな」

どうやら落下事故で死んだ冒険者をちゃんと蘇生させてくれるそうだ


「へー、王侯騎士団って意外といい人達なんだ」

「馬鹿、彼奴等は蘇生させてその後に罰金払わせるんだよタダで返すわけねーだろ」


「どうする?」

メイリンは杖を握る


「事を起こすのはマズイ。なんとか隠れながら進もう」


そう言っていたのもつかの間


「おい!そこに誰か隠れているぞ!」


声が聞こえたのは上空からだった

上を見ると、飛竜にまたがりながら空を飛ぶ王侯騎士団の団員が居た。


三人は騎士団にあっという間に囲まれてしまったのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る