第2話 クリスマスのリン③探したりしない

 第一、失くした物を自分が探すだろうか? 他の人ならともかく。

 小さな頃から物を買ってもらうのが大好きな子どもだった。それどころか、デパートで気に入ったオモチャやゲームがあると、親が根負けするまで泣いて騒ぐ、イヤな子どもだった。

 そのせいか、自分の持ち物は決して失くす事がなかった。でも興味が無くなると捨てたり、そこら辺に放り出したり、本当にイヤなひどい子どもだったと思う。今も……かな。

 だからこそ失くした物を探しに来るトナカイってのが嫌味なやつに思えたし、自分を罰しようとしているやつのようにさえ感じられ、恐れていたんだ。

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