«第零話・弐»「今さっき見た景色」

気が付いたら、

今さっき見た画面の中に入っていた。


綺麗に整っている街中。

それでも人の気配は全くしない。




[ヨウコソ、インフィニティヘ]


機械音がした。


[キャラノガイケンヲキメテクダサイ]


状況が理解できていない

待って、僕今さっきまで

「ナニガデルカナナニガデルカナ」って京壱と…え?


「待って、抑々なんで目の前にさっきまで画面として見てた景色があるの?」


[キャラノガイケンヲキメテクダサイ]


「京壱は?…というかここどこ?」


[キャラノガイケンヲキメテクダサイ]


「お前に話してる訳じゃ…てかお前誰!?」


[キャラノガイケンヲキメテクダサイ]


「いやまぁNPCに話し掛けても同じ返答しか返ってこないのは分かるけど…」


[キャラノガイケンヲキメテクダサイ]


「もう分かったって!!!

煩いなぁもう!!!」


それにしても

まだ状況が理解できてない…


抑々ここどこ…

いやどう見ても「infinity」の中だよな…?


「取り敢えず…スキン決めるかぁ…」


「ん?何だこれ」


選択肢を見ていて

一つ気になったものがあった

それは、現実世界の自分になれるというものだった。


「…これにしてた方が後々楽な気がする…これにしとくかぁ…」


[キャラノセッテイガオワリマシタ、ソレデハショクギョウセンベツニウツリマス]


「…なんかこの声気味悪いな…ただの機械音じゃないっていうか…」


まぁ、取り敢えず状況整理はできた。


何故か京壱と一緒に居る時に

「infinity」の中に入った。

(何故かは分からない。分かってたらこんな理解するのに時間掛かってない())


そして今外見設定をした事によって

キャラが僕がゲームの中に入ってるという状況で完成した。

(つまり僕=キャラという解釈。

…できっと良い筈)


まぁ取り敢えず職業選別が終わったら一旦落ち着こう


[アナタノショクギョウハ「万事屋」デス。コレカラソノショクギョウトシテイキテイッテクダサイ。]


「…え?」


え?

待って?

確か京壱の説明には万事屋はなかった筈…

説明するのを忘れていた?

それとももしかして…


[ソレデハ、マズサイショハアナウンスニシタガッテイタダキ、ソノアトハスキナヨウニイキテクダサイ。]


[トモダチヲツクルモヨシ、コロシアイヲスルモヨシ、フツウニイキルノモヨシ。]


[ドノヨウニイキルカハアナタシダイデスガ、イチドシンデシマッタラ…ワカリマスネ?]


[ソレデハ、アナウンスガナガレマスノデ、ドウゾコノセカイヲタノシンデクダサイ。]


その言葉は機械が話してるとは思えない程重く、圧をかけられているように感じた。


…また理解が追いつかなくなった


急に中に入れられて「楽しんで下さい」だ?

楽しめる訳ねぇだろ…


しかも万事屋って何?

あのAIに聞いときゃ良かった…


一度死んでしまったら…って

どういう事だ…?


好きな様にって…

…まさか一生ここに居るのか…?


そんな思考が頭の中を駆け回っていると目の前の景色がぱっと変わった。


「うわぁ!…何だここ…」


そこにあった景色は真っ白だった。


「ようこそ「infinity」の世界へ!」


「うわぁ!?だ、誰ですか貴方…」


目の前に居たのは高級そうな黒スーツを身に纏った背の高い男性だった。


「あぁ、僕かい?僕は一応ここのアナウンス役をやらせて貰ってる…まぁ、「ガイド」とでも呼んでくれ」


「は、はぁ…?」


「あ、一応言っとくと、僕人間じゃないから」


「え、あ、まぁそうでしょうね」


「あまり驚かないんだねwまぁそういう子の方が説明しやすいし良いんだけど」


「は、はぁ…?」


「急に出てきて何だこいつって思ってるかもだけど、詳しくは説明できないんだ…ごめんね」


いや、そんな事思って…

…ちょっと思ってたかも()


「取り敢えず、先ず君の職業について説明をしようか」


そういうと彼はどこからかホワイトボードを出した。


「君の職業は「万事屋」だね。

この職業は「隠れ職業」と呼ばれていて、本当に物凄く希少性が高い。

「道具屋」「武器屋」「防具屋」3つの性質を持ってる。」


そう言いながら彼は異常に整った字でホワイトボードに説明を書く。


…そんな凄い職業だったのか

ほぼチートじゃねぇか()


「武器屋とかの説明は要らないよね?」


「あ、はい」


「まぁつまりチート職業って事だね。だからまぁユーザーの…1億人に1人居たらいい方」


世界的に見てもくっそ確率低いやんけ…

というか隠れ職業を僕が当てて良かったのか…?


「ま、まだ隠れ職業はあるけどね」


「…それは、どういう事ですか」


「ひーみーつ。やっていったら出会えるかもね?」


何だよそれ

なんか言い方腹立つ…


「隠れ職業の確率は全部約1億人に1人。

ユーザーは約5億人…まぁそこから中高生以外抜いてるから…2億人いれば良いかな?」


「…それってつまり…」


「そ。あと1人居たらいいねぇ…」


「あ、あの!」


「ん?なーに?」


「け、京壱は…僕の知り合いは居るんですか…?この世界に…」


「あぁ、多分最初に飛ばされる所ら辺に知り合い沢山居ると思うよ」


ならば先に京壱を探さなければ

あいつが居れば大体の事は分かる筈


「あ、そうそう

流石にこの世界じゃそのチート職業だけじゃ生き延びるのはきついと思うから」


「能力」が皆に付与される、と彼は言った。


「ここでいつも発表するんだけどさ、皆混乱しちゃうからいつも時間掛かってるんだよねぇ…」


「は、はぁ…?」


「まぁ取り敢えず君は取り乱しそうにないから安心してるけど」


「まぁ、色んな事が次々と有り過ぎて脳の処理が追いついてないってのが現状なんですけどね」


「成程」


「まぁ取り敢えず、ちゃちゃっと説明すると」


彼がそう言い終わると目の前にウィンドウが表示された


────────────────────

能力:

・「連絡«コネクター»」

・「詳細透視«プロフィールクリア»」

・「嘘発見器«サンアンドムーン»」


「連絡«コネクター»」:

その名の通り他の人との連絡が取れる。但し連絡先を登録している人のみ。


「詳細透視«プロフィールクリア»」:

相手の詳細が見れる。職業や能力、年齢や身長等。


「嘘発見器«サンアンドムーン»」:

その名の通り相手が嘘を付いているかどうか分かる。

────────────────────


「「連絡」に関しては皆が持ってる能力だね。

基本的に振り分けられる能力は3つで、大体糞強いのと糞弱いのが一緒に付くんだけど…

君のはどっちも結構強いね。中でも相手の詳細が分かるのは中々無いから運がいいんじゃないかな。」


「はぁ…?」


「まぁ取り敢えず君の詳細を纏めると」


名前:藍里乃蒼

外見:«現実»

職業:万事屋

能力:「連絡«コネクター»」「詳細透視«プロフィールクリア»」「嘘発見器«サンアンドムーン»」


「…?ちょ、ちょっと待って?」


「ん?どうした?」


「名前…名前は現実世界での名前になるんですか…?」


「あぁ、説明してなかったね。

まぁ言うまでもないけど本名にしておかないと知り合いと分からない場合があるだろ?

元々ユーザーだった人にも最初から外見や職業、能力を振り分けているから、

まぁ名前が変わっても支障はないだろう。」


「な、成程…」


「あとはこの世界でのルール説明かな。

面倒いから取り敢えずウィンドウ出してから説明するか…」


彼がそう言うと僕の目の前のウィンドウにルール説明が表示された。


────────────────────


«この世界でのルール»


1.決して現実世界に自力で戻ろうとしない事


2.ここでは現実世界での常識は通用しない事。


3.死んでしまったら戻れない事。


4.チート行為はしない事。


5.出されたミッションを遂行しないと死ぬ。


────────────────────


「こんな感じかな。

分からない所とかある?」


「現実世界での常識が通用しないって…?」


「あぁ、それは所謂犯罪行為と言われるものがないって事だよ。

例えばレイプや殺人、窃盗とかね。

ここはあくまでもゲームの世界だから何をやっても法律が抑々無いからねぇ…。」


やっぱりここゲームの世界だったんだ…

まだちょっと信じられないけどまぁ慣れれば…

…なんかこの状況をこのスピードで慣れていってる自分が怖いな…

まぁVRMMOとかばりばりやってたし

そういうものだと思えば何とかなる気はする


…取り敢えず質問できる内にしとくか


「じゃあ、ミッションって?」


「あぁ、それは何か、よくあるじゃん、「何の武器を使って何人殺す」とか。

ああいうのだよ、言ってしまえば。

まぁ、そういう殺しとかじゃなくてももっと過激なR-18指定のとかもあるけどね」


「えぇ…」


「ま、言ってしまえばやっていったら慣れる。」


「え、えぇ…」


「まぁ困った時はヘルプって言ったら

僕が駆けつけるから」


「は、はぁ…」


あ、来てくれるんだ

そこら辺なんか優しいな()


「大体分かった?」


「まぁ、一応…

何でここに居るのかが

まだ分かってないんですけど…」


「…それは後々分かるさ」


後々、かぁ…

気が遠くなる程先な気がするけど()


「あぁ、あとここでは現実での1年が

…大体5年ぐらいかな?

だから大体5倍の速度で成長する」


「早いな」


「そうでしょ?だから成長期の人達にとって

は良いんじゃない?

まぁ取り敢えず、説明はこんなものかな。

あとなんか分からない所ある?」


「特には…」


それにしても色々な事教えてくれるな…


「まぁこの世界には

自分で経験しなきゃ駄目な時とかあるから

その辺は呼ばれてもヒントしか出せない」


「ヒントは出してくれるんだ…」


「まぁ一応ガイドだし、優しくなきゃねw」


それもそうだ…そうなのか…?


「…取り敢えず、

このプロフィールで間違いないね?」


「はい。あ、ユーザー名の変更とかって…」


「多分大分先になるけどできるようになると思うよ」


「分かりました、有難うございます。」


はー…取り敢えず…京壱探すかなぁ…


「あ、そうそう、最初のミッションはここで伝える事になってるんだった」


そう言うと彼はウィンドウを出した


────────────────────


«First mission»


仲間を4人作る。


────────────────────


「お、やっぱ最初は仲間作りだよな。

そういや君友達居る?」


「…聞かないで下さいよ…」


「あぁ、ごめんごめん。

まぁこのミッションは

友達多い方が有利だからなぁ…

まぁ、頑張ってくれたまえ」


「あ、はい…」


この人絶対僕のコミュ障ぶり知らない

いや逆に知ってたら怖いけど()


因みに僕のコミュ障ぶりは

陽キャと話せるは話せるけど話した後吐く

初対面の人とかと絶っっっ対話されへん()

関西弁訛り出るの嫌だし()


「ではでは、心の準備は?」


「…OKです」


「では、またいつか会いましょう。楽しんでねー」


そう彼が言うと白い景色がばらばらになり

さっき見た街中の中に居た。


「…取り敢えず、京壱探すかぁ…」


こうして、僕の旅が始まった。





第零章─完

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Geistige Manipulation─政府による大規模粛清─ ( ᐖ ) @ai_gairi

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